【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー崩落ー44

　その和也の言葉を聞いた途端に裕実の方は表情を曇らせ暫くその場で黙ってしまっていたのだが意を決したように和也の方に視線を向け、

「この事を言って和也の方は僕の事を嫌いませんか？　これを望さんに言ったら、望さんは全然気にしてないって感じでしたけどね……」
「望が平気だったんだったら俺も平気なんじゃねぇかな？」
「分かりました……では、和也にもお話しますね」

　裕実の方はそこまで言うと望に話した事を全て和也にも打ち明ける。　そう昔イジメに合っていたという話をする和也。

　その話を聞いた和也は、

「なんだー、そんな事かよー。　そんな事大した事ねぇじゃん。　過去がそんな事があったんでも、そんなお前の事が好きだって奴が目の前にいるんだろ？　それに望も同意見だったんだろ？　それに、過去の事なんかどーでもいいんじゃねぇか……今が幸せなんだったらさ。　ま、裕実の過去はそうだったのかもしれねぇけど、俺等は絶対に違うからな。　俺の方は性格もだけど、俺はやっぱ顔でも裕実の事が本気で好きなんだからさ、逆に言えばお前の嫌いな所なんか一切無い位なんだぜ。　まぁ、そいつ等はいつかお前と同じ目に合うと思うしな。　それに、心に傷を負った人間っていうのは普通の人よりも優しくなれるんだからもっと自分に自身もってもいいんじゃねぇのかな？」
「分かりました！　いつか、和也みたいな看護師になりますから！」
「なんだよそれー！」
「気に食わないんですか？　僕からしてみたら和也は立派な看護師さんなんですからね」

　裕実はそう和也に向かい笑顔向ける。

　流石の和也もその裕実の言葉にはてなマークが浮かんでいるのかもしれない。　首を傾げながら裕実の事を見上げているのだから。

「そこは、流石に秘密ですよ」

　裕実はそう和也に自分の過去を暴露した事で気持ち的にスッキリしたのかいつも以上に明るい声で言ったのはいいのだが急に恥ずかしくなってしまったのか和也とは反対側を向いてしまう。

「もう、寝ないとですからね」
「あ、まぁ、そうだけどよー。　むっちゃ、気になるじゃねぇか……」
「和也って、人間観察の方は得意みたいなんですけど、自分の事をなるとそこは鈍感ですよね」

　更に裕実は和也に向かって謎の言葉を残し裕実の方は先に目を閉じる。

「まったく……」

　と和也の方もため息を漏らしながらも裕実の体を抱き締めて瞳を閉じるのだ。