1,137 / 2,140
ー崩落ー17
しおりを挟む
「ですよねー。 でも、やっぱり、望さんの言葉が引っかかってるんじゃあないんですかね?」
「そだな。 雄介は優しいから、きっと、俺達の事も気使ってくれてんだろうしな。 それに、雄介にも望が言っていた言葉伝えちゃったしな」
「『雄介には教えないでくれ』ですよね?」
「そうそう! 何とかなんねぇのかな?」
「そこは難しい所ですよね……」
和也と裕実は二人の為に何かいい案は無いかと考えているようだ。 裕実の方は顎に手を当て和也の方は首を傾げて考えている。
「あ! 分かりました! 僕達が犠牲になればいいんじゃないんですか? で、望さんには雄介さんに正直に話をしたってね」
「そうだよな。 二人の為にならそれしかねぇよな?」
丁度、二人が考えをまとめた所で雄介の方も望の為に作ったお粥ができたようだ。
「お粥、出来たでー!」
そう嬉しそうな声がキッチンの方から聞こえて来る。
「ほな、和也達宜しくな。 これを望ん所に持って行ってくれたらええし」
雄介はそう言いながら出来立てのお粥をテーブルまで運んでくる。
「分かった。 これ、俺が望ん所に持ってくな。 でもさ、これ……雄介が望ん所に持って行ってくれてもいいんだぜ」
「まだ、ええって。 今んとこまだ望ん所に行かへんでも大丈夫やしな」
「そっか、分かった」
和也はそう雄介の言葉に納得するとお粥を持ち望の部屋へと向かう。
そして和也は二階にある客間へと入って行くのだ。
「望……大丈夫か?」
和也は望に声を掛けてからベッド横にあるテーブルの上へとお粥を乗せる。
「体の方は熱いけど……何とか大丈夫だ」
そう答える望なのだが、和也が望の事を覗き込むと額には汗を掻いて顔をかなり赤くしている姿が目に入って来たようだ。
「おい……お前さぁ。 それでも医者なのか? 薬飲んで寝てればいいっていう問題じゃねぇんだよ。 しかも、帰宅してきてから着替えもしてねぇだろ? Yシャツなんか汗で濡れたままなんじゃねぇのか? とりあえず、今だけでもいいから俺の言う事聞いてくれねぇかな? 俺がお前の着替え手伝うのと雄介に着替え手伝ってもらうのとどっちがいい?」
その言葉は瞬時にして出てきた言葉だ。 後は望がどう答えてくれるかが和也からしてみたら賭けみたいなもんだ。 もし望が『雄介に』と答えてくれればここで雄介に看病をバトンタッチする事が出来る。 だが、もし望が『和也に』と言えば交代は出来ない。 いや寧ろ望の場合には『和也に』の方はないのかもしれない。 恋人がいるのに和也に着替えさせてなんて望が言う訳がないのだから。
望は暫く考えた挙句、和也の方に顔を向けて小さな声でぼそりと、
「そだな。 雄介は優しいから、きっと、俺達の事も気使ってくれてんだろうしな。 それに、雄介にも望が言っていた言葉伝えちゃったしな」
「『雄介には教えないでくれ』ですよね?」
「そうそう! 何とかなんねぇのかな?」
「そこは難しい所ですよね……」
和也と裕実は二人の為に何かいい案は無いかと考えているようだ。 裕実の方は顎に手を当て和也の方は首を傾げて考えている。
「あ! 分かりました! 僕達が犠牲になればいいんじゃないんですか? で、望さんには雄介さんに正直に話をしたってね」
「そうだよな。 二人の為にならそれしかねぇよな?」
丁度、二人が考えをまとめた所で雄介の方も望の為に作ったお粥ができたようだ。
「お粥、出来たでー!」
そう嬉しそうな声がキッチンの方から聞こえて来る。
「ほな、和也達宜しくな。 これを望ん所に持って行ってくれたらええし」
雄介はそう言いながら出来立てのお粥をテーブルまで運んでくる。
「分かった。 これ、俺が望ん所に持ってくな。 でもさ、これ……雄介が望ん所に持って行ってくれてもいいんだぜ」
「まだ、ええって。 今んとこまだ望ん所に行かへんでも大丈夫やしな」
「そっか、分かった」
和也はそう雄介の言葉に納得するとお粥を持ち望の部屋へと向かう。
そして和也は二階にある客間へと入って行くのだ。
「望……大丈夫か?」
和也は望に声を掛けてからベッド横にあるテーブルの上へとお粥を乗せる。
「体の方は熱いけど……何とか大丈夫だ」
そう答える望なのだが、和也が望の事を覗き込むと額には汗を掻いて顔をかなり赤くしている姿が目に入って来たようだ。
「おい……お前さぁ。 それでも医者なのか? 薬飲んで寝てればいいっていう問題じゃねぇんだよ。 しかも、帰宅してきてから着替えもしてねぇだろ? Yシャツなんか汗で濡れたままなんじゃねぇのか? とりあえず、今だけでもいいから俺の言う事聞いてくれねぇかな? 俺がお前の着替え手伝うのと雄介に着替え手伝ってもらうのとどっちがいい?」
その言葉は瞬時にして出てきた言葉だ。 後は望がどう答えてくれるかが和也からしてみたら賭けみたいなもんだ。 もし望が『雄介に』と答えてくれればここで雄介に看病をバトンタッチする事が出来る。 だが、もし望が『和也に』と言えば交代は出来ない。 いや寧ろ望の場合には『和也に』の方はないのかもしれない。 恋人がいるのに和也に着替えさせてなんて望が言う訳がないのだから。
望は暫く考えた挙句、和也の方に顔を向けて小さな声でぼそりと、
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる