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ー海上ー92
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望と和也は部屋へと到着すると出発の合図と共に船はゆっくりと進み始めたようだ。
これで、これから一週間二人は恋人には会えない。
望は部屋の窓から陸を離れて行く景色を眺めながら溜め息を漏らすのだ。
和也はそんな望の前へと向かうと、
「本当、日本を離れなきゃ行けないと思うと、やっぱり寂しく感じるよな?」
望はその和也の言葉に席を立つ。
「まぁな……」
と口にすると望の方は部屋を出て行くのだ。
そんな望に和也は、
「望! 何処に行くんだよ!」
和也の方は望にそう声を掛けるのだが望はその和也の声はもう聴こえていないのかあるいは無視しているのかは分からないのだが何も答えずに部屋を出て行ってしまう。
和也の方はそんな望に追い掛ける事等出来ず一人部屋の中で息を吐くと、さっき望が座っていた窓際にある椅子へと座るのだ。
「寂しいのは望だけじゃねぇんだよ」
和也の方も一人部屋で愚痴ると和也の方も一人窓の外を寂しそうに眺める。
とっくに船の方はもう陸からかなり離れてしまっているのか今ではもう陸がほんの少し見えるだけだ。
「それに、日本から離れるなんて事……初めてな事だしな」
和也の方もどうやら寂しいようだ。
和也は今度部屋のベッドへと向かうと仰向けになる。
窓から見える景色ももう水面しか見えないのだから横になって天井を見上げているのと変わらないとでも思ったのであろう。
一人になると人間というのは本当に考え事をしてしまうもんだ。 和也は何を思ったのか自分の母の事を思い出してしまったようで、
「お袋……何してんのかな?」
なんて事を言い出し始めてしまったようだ。
体を丸めて和也にしては本当に寂しそうな表情をしている。
和也は一人っ子でしかも母子家庭だ。 和也は地方から出てきて看護学校に通ってその間の学費なんかも母親に払ってもらっていたのだが仕事を始めてからは毎月のように仕送りをしている。
だが今の状況は本当に一人になってしまい急に母親の事が頭に出てきてしまったのであろう。 しかし本当に和也は今まで好き勝手にやってきたと思う。 それに望の病院で働くようになってきてからなんだかんだで忙しくてしかも裕実という恋人が出来たのだから休みの日に実家に帰るって事はしていなかった。 だから余計に気になってしまったのかもしれない。
「たまには帰ってやらねぇとな。 ま、次の休みにでも行ってみるか……」
一方、望の方は甲板の方へと向かい一人ボッーと潮風に当たりながら船が出している水音を聞きただただ流れ出る水面を見つめていた。
今日は信じられないほどの青空で今の望の心とは違う。
これで、これから一週間二人は恋人には会えない。
望は部屋の窓から陸を離れて行く景色を眺めながら溜め息を漏らすのだ。
和也はそんな望の前へと向かうと、
「本当、日本を離れなきゃ行けないと思うと、やっぱり寂しく感じるよな?」
望はその和也の言葉に席を立つ。
「まぁな……」
と口にすると望の方は部屋を出て行くのだ。
そんな望に和也は、
「望! 何処に行くんだよ!」
和也の方は望にそう声を掛けるのだが望はその和也の声はもう聴こえていないのかあるいは無視しているのかは分からないのだが何も答えずに部屋を出て行ってしまう。
和也の方はそんな望に追い掛ける事等出来ず一人部屋の中で息を吐くと、さっき望が座っていた窓際にある椅子へと座るのだ。
「寂しいのは望だけじゃねぇんだよ」
和也の方も一人部屋で愚痴ると和也の方も一人窓の外を寂しそうに眺める。
とっくに船の方はもう陸からかなり離れてしまっているのか今ではもう陸がほんの少し見えるだけだ。
「それに、日本から離れるなんて事……初めてな事だしな」
和也の方もどうやら寂しいようだ。
和也は今度部屋のベッドへと向かうと仰向けになる。
窓から見える景色ももう水面しか見えないのだから横になって天井を見上げているのと変わらないとでも思ったのであろう。
一人になると人間というのは本当に考え事をしてしまうもんだ。 和也は何を思ったのか自分の母の事を思い出してしまったようで、
「お袋……何してんのかな?」
なんて事を言い出し始めてしまったようだ。
体を丸めて和也にしては本当に寂しそうな表情をしている。
和也は一人っ子でしかも母子家庭だ。 和也は地方から出てきて看護学校に通ってその間の学費なんかも母親に払ってもらっていたのだが仕事を始めてからは毎月のように仕送りをしている。
だが今の状況は本当に一人になってしまい急に母親の事が頭に出てきてしまったのであろう。 しかし本当に和也は今まで好き勝手にやってきたと思う。 それに望の病院で働くようになってきてからなんだかんだで忙しくてしかも裕実という恋人が出来たのだから休みの日に実家に帰るって事はしていなかった。 だから余計に気になってしまったのかもしれない。
「たまには帰ってやらねぇとな。 ま、次の休みにでも行ってみるか……」
一方、望の方は甲板の方へと向かい一人ボッーと潮風に当たりながら船が出している水音を聞きただただ流れ出る水面を見つめていた。
今日は信じられないほどの青空で今の望の心とは違う。
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