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ー海上ー41

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「お前も俺に優しすぎだ。 どうして、雄介もお前もそんなに俺に優しいんだろうな」

 何で、今の望は和也の事をそんなに優しいと言っているのかが今の和也からしてみたらチンプンカンプンの状態なのかもしれない。 ある意味、今のは望の独り言みたいなもんなのだから。

「さっき、雄介からメールがあってさ、和也に地下室の事を教えたって入ってたんだよ」

 その望の言葉に引っかけられたと和也の方は思ったのかもしれない。 だけど自分も望に雄介からメールが来た事を告げなかったのだから。 お互い様という事だろう。

「まぁ、俺の方はお前に引っかけてみたっていうのかな? お前ってさ、人の心の中とかって気にし過ぎなんだと思うんだけど。 でもって、自分を犠牲にし過ぎなんだって思ったしな」

 望の方はそう言いながら立ち上がると、

「ほら、今日は俺の事、ドライブに連れて行ってくれるんだろ? それから、今日は雄介の事忘れる位に楽しませてくれるんだろ?」
「あ、ああ! 勿論!」

 望にいつもの調子を狂わされた和也だったのだが、その望の言葉でいつもの自分を取り戻すと望より先に出て自分の愛車の方へと向かうのだ。

「車はさ、俺のでいいだろ?    望の車はやっぱ運転し辛いしさ」
「まぁ、そこは構わないぜ……お前に俺の車を貸して事故られても困るしな……なら、慣れてる方がいいだろ?」
「あ、ああ……勿論!」

 二人は車の方へと乗り込むと和也の方はエンジンを掛けて駐車場から車を出して出掛けるのだ。

「……で、何処に行くつもりだったんだ?」
「んー? そこはまだ決めてないかな? 裕実とだったら、少しドライブとかして……即ホテルなんだけどさ。    望とだとそういう訳にはいかないだろー」
「当たり前だ。 それに俺達の方はホテルなんかより全然いい所があるからな」
「ん? って事は早速望達はあそこの部屋を使ったっていう訳だ」

 そうふざけて言ったつもりだったのだが望からしてみたら完全な自爆だったのかもしれない。 顔を真っ赤にしてまで腕を組んでしまったのだから。

「はい! ビンゴ」
「……じゃねぇっ!」
「……ってか、今更怒っても遅いんだよー!」

 先程までとは違い、いつもの調子を取り戻した和也だが、その一方で望の方はと言うと腕を組んだままムッとした顔を継続したままだ。

「まぁ、それだけ、望と雄介っていうのは仲がいいって訳なんだよな。    前まではあんなにすれ違っていたようにも思えたのにさ。 それに、そんな事で喧嘩ばっかしてたのにな……まぁ、良かったんじゃねぇのか?」

 和也というのはふざけた後には必ずフォローを入れる性格のようだ。

「しかっし! 俺の方はだなぁ。 仲の方はいいんだけどさ……ここ一週間してないんだぞー!」
「こんな所でそんな事言うんじゃねぇよ……まったく、恥ずかしいんだからよ」
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