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ー波乱ー177

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「せやな……」

 雄介その望の言葉に微笑むと望の唇に唇を重ねる。



 それから一ヶ月後。

 望の方は大変だったリハビリも雄介のお陰で何とか頑張って今では大分普通に腕を動かせるようになるまでになっていた。 まだ細かい作業は出来ないようなのだが、ごく一般的な事までは出来るようになったようだ。

「望ー、今日は退院やんなぁ」
「まぁな……」

 そう病室で楽しそうに話す雄介と望。

 雄介は昨日、二十四時間の勤務を終えて今日はたまたまオフの日だったらしく望の病室へと来ていた。

 雄介の方は椅子に座って窓の外を眺める望の背中を見ている。

 望が見ている方向には既に桜が咲いていて薄いピンク色花弁が開いているのだ。

 風が吹く度に舞い散る花弁はピンク色の雪を散らしていた。

 大地の方はそのピンク色の絨毯を作っているのだから。

「今年はお花見逃しちまったな」
「ま、来年にまた行こうや。 まぁ、東北の方はこれからやと思うねんけど」
「確かに」
「望って、桜好きやったんか?」
「んー、まぁな……花は基本的にはあまり好きじゃねぇんだけどさ、桜は何となく好きなんだよなぁ」
「それなら、今からドライブ行こか?」

 何故かその雄介の言葉に動揺している望。

「あ、いや……いいって……」

 挙句、何故か顔を真っ赤にさせ瞳を宙へと浮かせている。

「何で、顔赤くしてるん?」
「あ、いやぁー、気にすんなって……」

 そう望が言った直後、望の病室のドアが開き裕二が顔を出す。

 その裕二の姿に驚いたのは雄介だ。 そうだ、きっと雄介はまさか裕二がこの病室に来るとは思ってなかったからであろう。

 雄介は動揺しながらも椅子から立ち上がる。

 そんな雄介の姿に裕二の方はクスリとして一回咳払いをすると、

「とりあえず、君達の新しい家の方は決まったよ。 荷物の方もそこにもう運んであるから、場所の方は病院の近くにある一軒家。 家賃の方は私の方が払っていくから心配しなくても大丈夫だからね」

 その裕二の言葉に雄介の方は目を丸くしながら口もパクパクとさせている。

「ちょ、ちょっと待って……へ?  あ、ん? いきなり、家って何!?」

 完全にパニック状態の雄介。

「雄介……覚えてないのか? 前に親父が言ってただろ? 親父がこっちに住むようになるから、親父が俺達の為に家を見つけてくれるってさ」
「せやけど、急すぎるっていうんか……え? あ、まぁ……ん?」

 未だにパニック状態の雄介。 完全に言葉もどうしたらいいかわかってないようだ。

「ん? そうか? 親父は俺達の事、新居に住ませる気満々だったぞ」
「あー」
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