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ー波乱ー150

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「院長! 犯人からのメールはパソコンにしか来ないんですか!? 院長の携帯の方にはメール来ないんですよね?」
「まぁ、今はパソコンにだけだよね?」
「……って事はですよ……僕達は当たり前の事を忘れてませんか? まぁ、今まで自分達が冷静になれてなかったからなのかもしれませんがね」

 裕二はそういう風に言っている和也の方を首を傾げて見上げている。 どうやら、今、和也が言いたい事が裕二には分かっていないようだ。

「つまりはですね……今回の犯行は内部犯の可能性が高いっていう事なんです。 ウチのスタッフなら、みんな院長のパソコンのメールアドレスを知ってるって訳ですよね? 何か報告したい時があった時に院長に直ぐに報告が出来るようにです。 で、その犯人は院長のパソコンのアドレスしか知らないという事はそういう事なんだと思いますよ。 まぁ、流石に自分のアドレスの方はどっか外国のサーバでも使っているんだと思いますからそこから割り出すのは不可能なのかもしれませんけどね。 だから、犯人は警察に連絡するな! とでも言ったのかもしれませんよ。 だって、警察に持っていけば、もしかしたら、その犯人のメールアドレスから犯人が誰なのか? っていうのが分かってしまいますからね」

 裕二はどうやら和也が言ってる事を理解したようだ。

「それと、内部犯なのかもしれないと思った要素っていうのが沢山あるんですよ。 さっき望が狙われた頃の話はしましたよね? その時に確認した事があったんです。 部屋の外にある廊下に取り付けられている防犯カメラの事です。 それが、何者かの手によって、廊下とは反対方向を向いていたのですよ……。 それを簡単に動かせる犯人ってスタッフだけな感じがしませんか?」
「なるほど、それなら、スタッフの中に犯人がいるっていう線が濃くなってきたね」

 裕二はそれを和也に聞いて手を顎に当てて考えているようだ。

「あ! 後……僕の知り合いで警察関係者がいるんですけど、確か……アイツ……ネットに詳しかった筈!」
「梅沢君……それは流石に犯人の約束とは違う風になってしまうと思うものだけど……」
「大丈夫です! アイツには病院の関係者のように白衣を着て院長室に入ってもらいますから」

 そう和也は笑顔でポケットに入っている携帯を取り出すのだが、

「あー! 忘れてたー! 俺の携帯、朝水没しちまってたんだー!」

 そんな風に言っている和也に対し裕二の方はそんな和也に笑っているようだ。

「君って、仕事では真面目みたいだけど……普段はどっか抜けてる所があるみたいだね」

 そう裕二の方はたった三十分位和也といる中で、どうやら和也の性格を見抜いたようだ。
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