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ー波乱ー104

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「ん……ちょ……雄介っ!」
「嫌だとは言わせへんで……。 望はなそないな事せぇへんでもええんやって、望の白くて綺麗な手が汚れてまうしな」

   雄介はそこまで言うと唾液を絡ませて望も指をも丁寧に舐めていく。

 その度に望の体はビクビクと反応し上がりそうな声を必死に抑えているようだ。

「ま、指の方はこんくらいでええねんかな?」

 そう雄介は独り言呟くと半身を起こして望の事を背中から抱き締める。

「今日は望どないしたん? いやに積極的なんとちゃう? 自分の中に指入れてみたり、俺の事押し倒してみたりしたな……。 別にそれはそれで嬉しいねんけど……なんか、いつもの望とちゃうねんなー? せやから、その理由を聞きたくなったんやけど?」

 その雄介からの質問に望は黙ってしまっていたのだが、

「お、俺だってな……お前が入院している間、ずっと、寂しかったんだからな! 病院じゃあ、あんなに近くにいるのに雄介には業務的な事でしか会えなかったし、触れる事だって、業務的な事でしか出来なかっただろ? キスさえもままならなかったんだからな! 好きな人が側にいるのに何も出来なかったって、どんなに俺が寂しい思いしてたかわかってるのか? 家に帰ってきたって、お前の気配なんか全くしねぇし、これじゃあ、お前が大阪に行ってる時と変わらない生活をしているんじゃないかと思ってな。   いや、お前が大阪に行っている時よりも入院してる時の方がより辛かったのかもしれねぇよ。   側にいるのに話す事も出来ない、触れる時は仕事している時だけってな……」

  そう望は同じ言葉を何度も繰り返す。 本当に望は雄介が入院している間、寂しかったのであろう。

「だからさ……もう、怪我なんかすんじゃねぇぞ。 やっと、俺は分かったんだからな。 俺はお前がいないとダメになっちまうって事がな」

   今の望は顔を赤くする事なく、そう淡々と話していた。 寧ろ今の望は雄介の目を見て真剣に言っていたのだから。

 その望の真剣な瞳で雄介の方もちゃんと望が言いたい事が分かったのであろう。

 雄介はフッと微笑むと望の体をガッチリと抱き包む。

 雄介は望の体のふた回り位のがたいはある。 だから背後から望の事を抱き締めるとその中に望の体がすっぽりと入ってしまう程だ。

「望……一つだけ聞いてええか?   俺……レスキューの仕事……辞めてもええか?」

   こんな時にそんな質問をしてくる雄介。 望はその雄介の質問に目を丸くしながら雄介の事を見上げる。
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