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ー波乱ー74

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 愛しいから抱き合いたい、愛しいから大事にしたい。 だから、この瞬間を大切にしたい。

 そして君の事を胸に刻みたい。

 これからまだまだ大変な試練がこの二人にはあるのかもしれないのだが、そういう時は一緒にその試練を乗り越えようか? それだけ今は本当に大事な物を手に入れたのだから。

 二人は薬の効果が切れてからも和也のベッドへと向かって朝まで抱き合い二人だけの甘い時間を過ごす。

 次の日も仕事があるのだが今はそんな事は関係ない。 心が最高潮に盛り上がってきているのだから今は寝る暇さえも惜しいという事だろう。

 二人は今日は何度もキスを交わす。 愛しい恋人の唇は何度重ねても甘く飽きる事はない。

 日が昇り、朝日が大地を照らす頃、二人は本当の愛を確かめるかのように何度も唇を重ねていた。

 今日は昨日の空とは違い青い空が広がっている。 冬のこの季節、暖房が入っていないと寒い位なのだが今の二人にはその暖房さえもいらない位に熱いだろう。 体もだが、きっと、心の中は温かいに違いない。

「後、二時間位だけど、そろそろ流石に寝ようか? 気持ちだけでも寝ておいたら倒れないで済むだろうしな。 少しの間だけお前と離れる事になっちまうんだろうが、夢の中で会えるといいな」
「そうですよね……って、たまに和也ってくさい事いいますよねー」

 と裕実はクスクスと笑い出す。

「そ、そうか!?」
「……って、目を広げてまで驚く所じゃないですよー。 自覚ないんですか?」
「自覚ねぇ……ないのかな?」

 和也は照れ臭くなったのか今度は天井の方へと視線を向けてしまう。

「ま、いいんですけどー、だって、僕はそんな和也さんの事が好きなんですからね」

 裕実は和也に腕枕をされながら和也の体を抱きしめる。

「ああ、そうだな。 んじゃあ、おやすみ……裕実……」

 それから、やっとのことで夢の中へと落ちていく二人。

 その一時間半後位に望の方も満足そうな笑みを浮かべながら雄介の病室から部屋の方へと戻って来るのだ。

 どうやら昨日は望の方も雄介と楽しんで来たようだ。 しかも、あの望が鼻歌を歌いながら戻って来ているのだから。 そして部屋へと入るとソファへと腰を下ろす。

 多少は疲れは残っているものの恋人と一緒に過ごせたのだから満足しているのであろう。

 時間まで体を休ませる望。

 それから三十分後位だろうか? 和也の目覚まし時計が起きる時間だという事を知らせ和也も裕実も目を覚ました。

 そして半身を起こした二人は視線が合い再びクスクスとし唇を重ねる。
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