852 / 2,140
ー波乱ー61
しおりを挟む
「それがお前の本音なんだな。 そんな事言って、自分がカッコいいとかって思ってねぇだろうな?」
望は和也の胸に人差し指を差して再び和也に問う。
「思ってなんかいねぇよ……すっげー、必死さぁ……考えて考えた結果がそういう事なんだからさ……」
和也はそう自分の服を皺になるまでギュッと掴みながら答えるのだ。
「本当に今は……自分が何言ってるかさえも訳分からねぇよ……頭が回っているようで頭回っているようには思えないしよ。 本当に本当にどうしたらいいのか分からねぇのが本音だよ。 だけど! 患者さんの方が優先なのはわかってる。 こういう仕事に就いたのだから、人の命の重たさはどんだけ重たいか!? っていうのも分かっているつもりだ。 どんな簡単な手術だって、俺は仕事の方を優先する! そう決めてるって事なんだよ」
望はその変わらない和也の言葉に息を吐くと、
「分かったよ。 お前の心の中は俺達がこんなに言っても変わる事がねぇみたいだから、なら、もう、裕実の事は雄介に任せて、和也、行くぞ! 時間ねぇんだからな!」
「ああ……」
「それと、手術室にお前を入れるけど、もし、心を乱したり、焦ったような様子を見せたら、直ぐに手術室から追い出すから覚悟しておけよ」
「ああ、分かってる」
「じゃあ、俺等は行くぞ!」
和也は望にそう声を掛けられていたのだが裕実の方へと近付き、
「俺は行っちまうけど、本当に俺……お前の事が好きだからな……そこだけは誰にも譲る事はねぇからさ」
和也はそう言うと裕実の唇へと唇を重ねる。
「和也さん、僕は……和也さんが……はぁ……はぁ……戻って来るまで……っ……待ってますからね……」
「ああ……頑張ってくれよ」
和也はそれだけ言うと今度は雄介の方に体ごと向けて、
「本当にもしもの事があったら、雄介! お願いします!」
そう言いながら雄介に向かって頭を下げる和也。 それから望と和也は急いで雄介の病室を後にする。
雄介は和也達が部屋を出て行ってしまった後に裕実が寝ているベッドへと近付き、
「なんやろ? お前と二人きりにされるのは初めてだったような気がすんねんけど……」
雄介の方は頭の中で何か裕実に声を掛けて上げようと必死に考えて出た結果がそれだったのかもしれない。
望は和也の胸に人差し指を差して再び和也に問う。
「思ってなんかいねぇよ……すっげー、必死さぁ……考えて考えた結果がそういう事なんだからさ……」
和也はそう自分の服を皺になるまでギュッと掴みながら答えるのだ。
「本当に今は……自分が何言ってるかさえも訳分からねぇよ……頭が回っているようで頭回っているようには思えないしよ。 本当に本当にどうしたらいいのか分からねぇのが本音だよ。 だけど! 患者さんの方が優先なのはわかってる。 こういう仕事に就いたのだから、人の命の重たさはどんだけ重たいか!? っていうのも分かっているつもりだ。 どんな簡単な手術だって、俺は仕事の方を優先する! そう決めてるって事なんだよ」
望はその変わらない和也の言葉に息を吐くと、
「分かったよ。 お前の心の中は俺達がこんなに言っても変わる事がねぇみたいだから、なら、もう、裕実の事は雄介に任せて、和也、行くぞ! 時間ねぇんだからな!」
「ああ……」
「それと、手術室にお前を入れるけど、もし、心を乱したり、焦ったような様子を見せたら、直ぐに手術室から追い出すから覚悟しておけよ」
「ああ、分かってる」
「じゃあ、俺等は行くぞ!」
和也は望にそう声を掛けられていたのだが裕実の方へと近付き、
「俺は行っちまうけど、本当に俺……お前の事が好きだからな……そこだけは誰にも譲る事はねぇからさ」
和也はそう言うと裕実の唇へと唇を重ねる。
「和也さん、僕は……和也さんが……はぁ……はぁ……戻って来るまで……っ……待ってますからね……」
「ああ……頑張ってくれよ」
和也はそれだけ言うと今度は雄介の方に体ごと向けて、
「本当にもしもの事があったら、雄介! お願いします!」
そう言いながら雄介に向かって頭を下げる和也。 それから望と和也は急いで雄介の病室を後にする。
雄介は和也達が部屋を出て行ってしまった後に裕実が寝ているベッドへと近付き、
「なんやろ? お前と二人きりにされるのは初めてだったような気がすんねんけど……」
雄介の方は頭の中で何か裕実に声を掛けて上げようと必死に考えて出た結果がそれだったのかもしれない。
0
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。


イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる