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ー波乱ー31

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「はぁー、めっちゃ、望のおかげお腹いっぱいやわぁ」
「じゃあ、これ、置いてくるな」
「ありがとうな」
「今は仕方ない事だろ?」

 望はそう言うと雄介が食べた食器を片付けに向かう。

 食べ終えた食器を置きに行くと再び雄介がいる病室へ戻って来る望。

「もう、後三十分位かな? 俺がここに居られるのはさ」
「もう、それしかないん?」
「仕方ねぇだろ? もう、面会時間が終わる時間なんだからさ」

 そう無意識なのか本音なのかわからないのだが望は寂しそうにそう口にすのだ。

「ほなら……望とキスしたい」

 望もそろそろ雄介不足の限界だったのであろうか。 その雄介の言葉に小さな声ではあったのだが、

「俺も……」

 そう口にする。

 その望の言葉に雄介が反応しない訳がないだろ。

「今、なんか言うたか?」
「ん? あ、それか……聴こえてなかったんだったらいい」

 望はそう言うと急に雄介から視線を逸らしてしまう。 正確にはプイとしてしまったということだ。

 その望の反応に気付いた雄介はクスリとすると望の手首を掴み望の事を自分の方へと引き寄せる。

「望も俺と同じ気持ちみたいで良かったわぁ。 な、もう、これ以上は何も言わんし、せやから、大人しく、望とキスだけさせて」

 望はその雄介の言葉に顔を赤くしながらも雄介の方に顔向けると瞳を閉じる。

 それを合図に雄介はもっと望の体を自分の方に引き寄せると唇を重ねる。

 もう望が掛けている眼鏡には慣れたという事だろうか。 雄介は望のメガネ外さずに唇を重ねる事は簡単になったようだ。

 キスをし、それでも望不足だった雄介は今度、望の体をギュッと抱き締める。

「ホンマに俺は望の事が好きなんやって……ずっとずっと、俺は望とおりたいって思うておるしな」

 今日の望はいつものように拒否しない。 寧ろ望の方も雄介とのこんな時間を待っていたのであろう。

 さっきもこうやって雄介に抱きしめられたのだが、さっきの時は和也達がいた為か心の中で焦っていたのかもしれない。 今はもう二人だけの空間なのだから、ゆっくりとした時を過ごしている望と雄介。

 しかし面会時間は迫ってきているという焦りはある。 こう恋人の時間というのはあっという間に過ぎてしまうものだ。 もし魔法使いが現れたなら時間止めて欲しいと思うだろう。
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