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ー雪山ー216

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「さて、マジに和也の事起こさないとだな!」

 望はそう言いながら立ち上がろうとしたのだが、

「望さん! 本当に今は無理しないで下さいね。 和也さんは僕が起こしますから……」

 そう言って裕実は立ち上がると望の事を座らせて裕実は和也の事を起こしにかかるのだ。

「和也さん……起きて下さい……朝ですよ」

 裕実は和也の顔に近づき、そう言うと軽く唇を重ねる。

 その裕実の行動に顔を赤くさせてしまうのは望の方だ。

 まさか裕実がそんな起こし方をするなんて思ってもみなかった事だったからなのかもしれない。

 確かに恋人同士なら、そう言う起こし方っていうのはありなのかもしれないのだが、望自ら雄介に対してそんな起こし方をしたことが無いからなのかもしれない。 そう望は裕実とは同じ立場なのだから意識してしまったからなのであろう。

 とりあえず一瞬でも顔を赤くさせてしまった望は誤魔化す為にも顔を俯ける。

「あ、もう……朝なのか? 裕実ー、朝から、キスで起こしてくれるなんて、嬉しい事してくれるじゃねぇか……じゃあ、俺からも……」

 和也の方は半身を起こすと裕実の後頭部を手で押さえ和也からも裕実の唇へと唇を重ねる。

「ん……和也さん……朝から、そんなキスしないで下さいよ」
「サービスだよ」

 そう和也は言いながら子供のような笑みを浮かべていた。

「もー! 和也さん! その笑顔ズル過ぎですからねー!」
「クス……ホント、お前って可愛いのな……」

 裕実は頰を膨らませてまで和也の事を見ているのだから和也からしてみたら、そんな裕実の事が可愛くて仕方がないという所であろう。

 そんな朝からイチャイチャしている所を見せつけられている望はもうそろそろイライラとしてきているのかもしれない。

 さっきまでは顔を赤くして伏せていた顔なのだが、今度は怒りの方で顔を赤くさせているようだ。

「お前等なぁ、イチャイチャすんのはいいんだけどさ……今の状況を考えてくれねぇかな?」
「ん? あ、ゴメン……そうだったな。 で、望……俺達はどうしたらいいんだ?」

 流石に和也もその望がイライラとしている事に気付いたのか、和也はいつもの自分へと戻すと望の方に視線を向けるのだ。
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