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ー雪山ー189

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「やっぱり、そうだったんですね。 僕は最初っから望さんはスキーが出来ない人なんだっていうの分かっていましたよ。 最初、スキーの話をした時に、望さん……僕が言った事に顔色を変えてましたしね。 僕はスキー教室の時に風邪を引いてしまって行けなかったけど、スキー教室に行っていたとしても、もしかしたら、骨折していたのかもしれないってね……って言った時にですよ」

 その裕実の言葉に一瞬目を丸くした望だったのだが、

「お前って、本当に凄いんだな……親父がウチの病院に呼んだ意味が分かったぜ……」

 初めて、こうやって二人きりになった望と裕実。 二人の会話は変に盛り上がっているようにも思える。 ただ和也達とは違うには二人共、相当中身の方は真面目なんだろう。 真面目な話で盛り上がっているというところであろうか。

 だが外の方は段々と暗闇の世界が広がって来ている。

 東京とは違い周りには何もない世界。 昔の人達は夜こんな世界にいたのであろうか。 という位、望達がいる山小屋周辺には何もない。

 その時、木のドアが開く音が聞こえたような気がした。

 その音に警戒する望と裕実。

 男性がここへと入って来たのであろうか。 段々と荒い呼吸の息遣いで部屋の中へと入って来ているようだ。 勿論、足音も近付いて来ているのだから。

 望と裕実は体も顔も強張らせ音が聴こえてきている方へと視線を向けていた。

「裕実と望はここにいるのか?」

 そう、まだ裕実達の姿が見えない死角から、裕実と望の名前を呼ぶ声が聞こえて来て裕実と望はほぼ同時に視線を合わせるとドアの方へと向かうのだ。

「和也さん……?」
「雄介……?」

 裕実と望が向かった先には和也が雄介の肩を抱き抱えている姿が目に入ってくる。

 和也は口にまでしていたマフラーを取ると、

「良かったー! ここに望達がいてくれて……」
「たまたまあったからな。 だから、吹雪がおさまるまではここに居ようと思ってたしよ」

 そこまで望は和也に説明すると、

「ところで、雄介はどうしたんだ? 和也が雄介の体支えているみたいだし、雄介の声が聞こえねぇんだけど?」
「ん? 説明の方は後でするからさ、とりあえず、雄介の方、応急手当て位はしねぇと……」

 和也はそこまで言うと雄介の体を暖炉側まで運んで行くのだ。

「へ? え? 治療って!?」
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