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ー雪山ー171

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 その裕実の言葉に驚いたのは望の方だ。 望はその裕実の話に興味を持ったのか上半身を裕実の方へと乗り出し、

「その話、マジか!?」

 流石に嘘だとは思わないのだろうが人間というのはそういう風に聞いてしまうものだ。

「そうですよー。 僕は専門学校を出た後、もっと技術や話術、心理学等を実践的に学びたいと思ってアメリカの方に行ったんです。 そこで、望さんのお父様に出会う事が出来たんですよ」

 そこまで聞くと裕実がどこまで凄い人間なのか。 っていうのが分かるような気がする。

 望の親父である裕二は院長という立場でありながら病院はかなり留守にしていたのだが、あの間はアメリカに行って技術やら何やらと学んで来ていたらしい。 裕二は日本でもかなりの技術者らしいのだが、それでも足りないと思ったのであろう。 だから裕二は暫く病院にいない時期があった事がある。 だが医療というのは日々、進歩もしていく、そして新しい病気だって発見されていくのだからゴールというものはない。 だから裕二も色々な事を学び日々勉強したいと思っているのであろう。

 しかも裕二が行っていたアメリカのその病院では世界中の技術者が更に腕を磨く為に来るという噂も聞いたことがある所だ。 それだけレベルが高いと言われているその病院で裕実は働いていたというのだから、やはり裕実は実力を持っているという事なのであろう。

 そこで初めて裕実の凄さを知ったのかもしれない。

「……む、さん? どうかしましたか?」

 望が考えている間、裕実は望がボッーと何か考えている事に気付いたのであろうか。 裕実は望に声を掛ける。

「あ、おう……大丈夫だから」

 その望の答え方にクスクスとする裕実。

「ん? 何がおかしいんだ?」
「え? 望さんって案外、天然さんな所があるんだなーって思いましてね。 今、一瞬でしたが、僕と会話になってませんでしたよ。 僕は『どうしました?』って聞いたのに、望さんは『大丈夫だ』ってね。 ちゃんと、僕の話聞いてなかったって事になりますよね? フフ……今度っから望さんが話を聞いていない時に、こうなにか色々と聞いちゃおうかな? そしたら、望さん、色々と話してくれそうですしね」

 裕実の方はそう楽しそうに話しているのだが望の方はやはり裕実というのは侮れないと思っているのかもしれない。

  その頃、やっと和也と雄介の方は料理の下準備が出来たのかテーブルの方に食材を運んでいた。

「肉ばっか食わないで、ちゃんと野菜も食べるんだぞ!」
「俺はお前じゃないんだから、そこのところは大丈夫だって」
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