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ー雪山ー150

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「ま、俺の方は望やったら、大歓迎な所やけどな」

 またニヤケている雄介なのだが、そんな雄介の頭を軽く叩くと、

「確かにお前にだけなら問題ねぇんだよ。 この前の月曜日、お前さ、俺に望の事任せただろ? その時、俺は望に襲われかけたんだよ! 幸い、裕実が来てくれたおかげで難は逃れられたんだけどさ」

 和也の方はそう言うと息を吐く。

「そうそう! 俺にはさ、今は裕実がいるんだから、望には一切興味ねぇんだし、そんな事、されても俺の方が困るっていうのかな? それに、今まで通りの俺たちの関係でいたいしさ。 だから、望が熱を出してる時は気を付けてくれって言っての!」
「そういう事な。 話はそんだけか?」
「ああ……」

 和也はそう言うと後部座席のシートへと寄り掛かかる。

「あ! そうや!」

 そういきなり車内で大きな声を出す雄介。

「うるせぇな……いきなり、耳側で大きな声を出すんじゃねぇ!」

 望はそう言いながら左手で自分の耳を塞ぐ。

「あ、スマン、スマン……」

 雄介の方は望に向かって両手を合わせ謝ると、

「前に、望が記憶喪失になって、そん時、俺はレスキュー隊の訓練の方に行ってもうたやろ? ほんで、望の事は和也に預けて行ってもうた事あったやんか、その時の望ってどうやって記憶が戻ったん? 確かに、電話で望の記憶が戻った。 っていうのは聞いておったは聞いておったんやけど。 あん時はさ、ほら、望の記憶が戻った! って、そこに感動してもうて、聞くの忘れておったんやけど」

 雄介はそう言いながら望の顔を和也の顔を交互に見る。 だが望の方はどうやらその話で顔を真っ赤にしているようだ。

 和也の方は一つまたため息を漏らすと、

「まぁ、そこはショック療法ってやつだな」

 和也の言葉に雄介はまた首を傾げる。

「まぁ、ついでに言えば、また、俺が雄介に謝らなきゃいけないとこって言うのかな?」

 もっと、その和也の言葉で意味が分からない様子の雄介。 雄介は腕を組みながら眉間に皺を寄せているだけだ。
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