【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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ー雪山ー105

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 そういつものように明るく言った和也なのだが、望からしてみたらきっと空元気に振舞っているようにしか見えない。

 望はそんな和也にひと息吐くと掃除用具をロッカーの中へとしまい着替える為にロッカー室の方へと向かった。

 望が出てきた後は和也の方もロッカー室へと入って行く。

「あ! そうそう! 帰りにスーパーに寄ってていいか? 買物して行かないと家には何もないしさ。 裕実とは外食ばっかりだったから」
「ああ、それは別に構わないけどさ。 あ、和也の車で行かせてくれよ。 車は二台あってもしょうがねぇだろ?」
「ああ」

 昔、この二人は喧嘩した事もあったのだが、今はこうして親友として仲良くしている。

 あんな事があったのが嘘みたいに今は本当に仲良くなっていた。

「そういやー俺、雄介が東京に住んでた時、雄介の家には行った事なかったなぁ。 いや、あったのかもしれねぇけど、忘れたって事なのかもしれねぇんだけどな」
「へ? そうだったのか!? 俺の方は一回だけあったかな?」
「へ? それ、いつだよっ!」

 そう望は興奮気味に和也へと問う。

「いつって……大分前だけどさ……ほら、お前等が喧嘩した時があっただろ? 俺の方は雄介の事を説得しに行った事があるっていうのかな?」
「そうだったのか……」

 最初は興奮気味に聞いていた望だったのだが、和也のその言葉を聞いて少し安心したのか大人しくなる望。

「ま、とりあえず行くか」
「ああ、そうだな……」

 和也は朝、裕実の事は後、後って言っていたのだが、仕事を終えてからだって裕実の事は全然気にしてないように思える。

 そんな和也の事を気にしながらも和也と一緒に駐車場へと向かう望。

 その途中、望は和也へと問うのだ。

「お前さぁ、本当に裕実の事はいいのか?」
「だって、今はそうなってしまったんだから、しょうがねぇだろ? 俺が今裕実の所に行ったってどうしようもないんだしさ」
「って、ちょっとは気にしたらいいんじゃねぇのか?」

 和也は足を止めて望の方に視線を向けると、

「俺が裕実の事心配しないとでも思っているのか? だけど、あっちが今そういう気じゃねぇんだから何を言ったって無駄なんだと思う。 だから、今の俺には何も出来ないんだからさ、何か言ったって仕方ねぇじゃん。 だから、俺はもう裕実には何もしないだけだ。 それに、気になって来たら、裕実は俺の方に戻って来るって信じてるからさ」

 そう和也は望の質問に静かに答える。

「ゴメン……。 お前がそんな気持ちでいたなんて事知らなくて、だから、言っちまっただけだしさ」
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