【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

文字の大きさ
上 下
669 / 2,140

ー雪山ー98

しおりを挟む
「やっぱりか……」

 そう雄介は独り言のように小さな声で言ったつもりだったのだが、どうやら、それは望にも聞こえてしまっていたようだ。

「『やっぱり』って何だよ」
「あ! え? いやー、何でもあらへんよ……こっちの話やし、気にすんなや。 ただな、いつもの望の方が扱いやすいって思っただけだしな」

 そう雄介は望に向けて笑顔を向ける。

 望の方はその雄介の言葉に顔を赤くし料理には箸を付けるものの顔を俯かせながら食べていた。

「まったく、いつもの俺の方が扱いやすいって」
「まんまやな」

 そう雄介はクスクスとしながら言うのだ。

「俺はいつもの望の方が幸せ感じるようになってきたしな」
「朝から変な事言ってないで、早く飯食って仕事に行けよな」
「まぁ、望の場合には、そういう事言う時って照れ隠しなんやもんな」

 雄介の方はそうニコニコしながら言うのだが望の方は何やら拳を握っているようだ。

 その望姿を見て余裕をかましている雄介。 そして、

「ホンマ、望って可愛えよなぁ。 ほんで、その握った拳はどうする気なん?」
「うるせぇーよ! こうする気だっ!」

 そう望は雄介に向かい、その拳で雄介の事を打とうとしたのだが、雄介の手によって軽々と押さえられてしまっていた。

「お前は俺には勝てへんのやから、朝から無駄な体力は使わん方がええと思うで、望やって、俺との差は知っておるやろ? それに、今のは殺気さえも感じへんかったしな。 ほな、俺の方は時間無くなってきてるし、先に行くな」

 雄介の方は立ち上がると望の額にキスをし家を出て行く。

 一人残された望。 雄介が家を出て行った後に一人部屋の中で呟くのだ。

「決まってんだろ? 俺が本気で好きなのはお前だけなんだよ。 だから、本気で打つ訳がねぇだろうが。 それに、朝、俺がお前の事突き放そうとするのは、お前を仕事に行かせる為でもあるんだよ。 今のだって……『頑張って来い』っていう俺なりの気合いの入れ方だっつーの……。 しかし、昨日の夜の事、本気で覚えてないんだよな?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

騎士は魔王に囚われお客様の酒の肴に差し出される

ミクリ21
BL
騎士が酒の肴にいやらしいことをされる話。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...