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ー雪山ー65

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 雄介にそんな事言われても望には記憶のない事だ。

「とりあえずな、俺が起きた時にはお前が俺のパンツ握っておったし、望の事起こさないようにする為には脱ぐしかなかったんやからな」

 その雄介の言葉に顔を赤くする望。

『あ、あのさー、とりあえず、そこってスーパーなんじゃねぇのか? そんな公共の場でそんな事よく言えるよな?』

 雄介は望にそこを指摘されて気付くのだ。 正確には忘れていたという事なのかもしれない。

『あのさ、家の中でそう言うんだったら、いいんだけどさ、そこ、外だろ?』
「あ、まぁ……そやな? と、とりあえず、買物してから帰るし、待っておって!」

 そう雄介は言うと慌てて電話を切って会計を済ませると再びバイクに跨って望の家へと帰って行く雄介。

 さっきまでオレンジ色だった空が今ではグラデーションを作っていた。

 雄介はバイクを庭へと置くと買物袋を二つ程持って部屋へと入って行く。

 荷物は一旦冷蔵庫の中に詰めるだけ詰めると、もう起きているであろう望の部屋へと向かうのだ。

 望の部屋へと通じるドアを開けると、

「大丈夫か?」

 そう雄介は望へと声を掛ける。

「多分、平気だ」

 そう望は返してくるのだが望の言葉というのは当てにはならない。 望の場合、怠くても大丈夫って答えてしまうのだから。

 雄介は望がいるベッドの端へと腰を下ろすと望の事を笑顔で見上げる。

 その雄介の視線に望は気付いたのであろう。 望はいつものように顔を赤くし、

「なんだよ」

 そう返すのだった。

「元気になったんかなーって思うてな」

 雄介は外から帰って来た冷たい手で望の額へと当てる。

「ん……」

 ヒンヤリとした冷たい手が望の額へと当てられるとそれだけでもビクつかせてしまっている望。

「まだ、熱いみたいやな……」

 雄介はそう言うと立ち上がり、

「もう、しばらくだけ待っておいて、今、飯の方作ってくるし、薬の方も飲まないとアカンねんやろうしな。 それと、足の包帯の方もかな?」
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