【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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ー雪山ー56

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「せやな……毛布は一枚でええんか?」
「ああ」

 望はそう雄介に一言だけ返すと立ち上がる。

 さっきの傷は少し血が固まったくらいだろう。 血が出ている時に比べたら多少は痛くなくなったような気がする程度だ。

 望は足の様子を見ながらゆっくりと窓側へと足を進める。

「ほなら、毛布持って来るなぁ」
「ああ」

 望は部屋を出て行く雄介に手を振りながら先に絨毯の上へと横になるのだ。

 そこから窓の外へと視線を向けると今日は真っ青な空が広がっていた。

 今日は雲一つない快晴。

 本当に空をこんなにゆっくりと眺めたのはいつぶり位なんだろうか。

 今は仕事、仕事で毎日が忙しすぎて、こうのんびりと空を眺めている暇なんかなかったような気がする。

 そして気持ちがいい事に窓際に向かうと太陽の暖かさが望の体を包んでくれているようだ。

 そんな気持ちのいい気温の中、

「やっべー、マジに眠くなってきた」

 昼になる前のこの静けさの中で聴こえて来たのはヘリコプターのプロペラ音だ。

 そのヘリコプターのプロペラ音だって本当にいつぶりくらいに聞いたのであろうか。 っていう位に聞いていなかったのかもしれない。

 そのプロペラ音だって眠気を誘ってきているような気がする。

「望ー、毛布持って来たで」

 そう言うと雄介は望の隣へと横になって望と一緒に空を見上げる。

「今日の空はめっちゃ青空なんやなぁ」

 その雄介の言葉に頭だけをコクリと頷かせる望。

「こうたまには静かな時っていうのはええもんなんやなぁ」

 その雄介の言葉に再び頭を頷かせる望。

 いつもだったら本当にこんなのんびりとした時というのはない。 だから、こんなのどかな時を過ごすのは本当に久しぶりの事なのかもしれない。

 望は体を横向きにさせると、まだ仰向けで寝ている雄介に向かい微笑む。

 そうする事で久しぶりに雄介の横顔が見れたような気がした。 その頰に触れたいと思うのだが、やはり、まだ望にはそんな事が出来るような勇気はなく、ただただ雄介の横顔を覗いている事しか出来なかった。

 雄介はその望の視線に気付いたのか、ゆっくりと首だけを動かし、

「ん? 何?」

 そう聞かれた望は急に慌てたように天井へと視線を向けてしまうのだ。
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