【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー雪山ー54

　欠伸をしなはらリビングを出て行く雄介の姿を目で追う望。

　そして完全に雄介がリビングを出て行くと大きなため息を吐くのだ。

「今日はせっかくの休みなのにな、俺が怪我しちまったから、何処にも行けねぇし」

　望はテレビを半分見ながらも半分は雄介の様子を伺っていた。

　雄介が部屋の中に居るとテレビなんかより雄介の様子が気になるに決まっている。

　例え好きなテレビ番組を見ていても雄介が部屋にいるっていうだけで集中して見られるわけがない。

　いくら相手のことが好きだとしても趣味は違う。

　一人で見ているなら構わないのかもしれないのだが、二人いるのだから相手の様子が気になってしまうのは当たり前だろう。

　確かにここは望の家なのだから。　主導権は望にある。　だが雄介がいたんでは自己満だけでは済まない。

　今は一人ではないのだから相手の気持ちも組まないとならないだろう。

　でも雄介の性格上そんなことは気にしないのかもしれない。

　前に望は雄介に「見たいものはないのか？」という質問をしたような気するのだが「望が見たいもんでええで……」と言われたような気がする。

　となると雄介の好きな番組というのが分からない。　望の方は無意識に雄介には自分も趣味を教えているのに雄介からは何も聞いていないような気がする。

「……て、俺だけが、アイツの趣味知らないのはさ。　アイツ関係で知ってると言えば、性格と洋服の趣味位なもんか？」

　やはり、それだけでは足りないような気がする。　恋人同士なのだから、もっと相手の事を知りたいと思う。

　だが望の性格上、望から雄介にそんな事を聞ける訳もない。

　それに気付いた望は大きなため息を吐くのだ。