【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー雪山ー9

　雄介が洗い物をして望が片付ける。

　最近、一緒に住むようになってからは気付いた時にはそうなっていた。

　丁度、洗い物を済ませた頃、和也や裕実がお風呂から上がってくる。

「あ、悪ぃ……二人に洗い物やらせちまって」
「え？　あ、ああ、そこは別に構わねぇよ」

　そう望の方は笑顔で答える。

「ん？　あれ？　裕実どうしたんだ？」

　望が気付くと和也の腕の中でぐったりとしている裕実の姿があった。

「え？　あ、大丈夫だからさ。　裕実の奴、お風呂の中で逆上せちまっただけだからさ」

「ソファ貸してくれ」と和也は付け足すと裕実の事をソファへと寝かせるのだ。

　和也は裕実の事をソファへと寝かせるとうちわを手にし扇ぎ始める。

　望はコップに水を汲んでくると和也へとそれを渡す。

　和也がうちわで扇いでいると裕実の方は気付いたようで、ゆっくりとだが瞳を開けてきていた。

「か、和也さん？」
「あ、ああ、大丈夫かぁ？」

　そう和也は裕実に向かって笑顔で答えるのだ。

「え？　あ、大丈夫ですよ……って、僕は、お風呂に入ってたんじゃあ？」
「んーとりあえずさぁ、水飲んでからにしないか？」

　何があったんだか分からないのだが、和也曰く裕実は逆上せたという事だ。

　裕実は一先ず半身をソファへと起こすと和也から渡された水を一気に飲み干す。

「お前はさ、お風呂で逆上せちまっただけなんだけど、他に何か症状とかってないか？　例えば、気持ちが悪いとか？」

　その和也の言葉に裕実は少し考えると、

「……はい！　大丈夫ですよっ！」
「そっか、なら、良かった」

　だが裕実は完全に意識が戻って来ると体に違和感を感じたようで、

「か、和也さん！　な、何で、このままの状態で僕をここに連れて来たんですかぁ！？」

　裕実の方はそういう姿を流石に和也以外の前では恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしながら和也に抗議するのだ。

「そこは仕方ねぇじゃんか。　緊急な事だったんだしな、俺だって、そうなんだからよ」
「別に和也さんはいいじゃないですか！？　僕の方は恥ずかしいんですからねっ！」
「別にここじゃ、いいだろ？　だって、男しかいねぇんだからさ」

　和也の方は特に怒った様子もなく平然と裕実とその事について言い合っているのだが、そこへ望が声を挟んでくる。

「裕実の方も治ったみたいだしよ。　とりあえず、いいから、服を着ろ！　服を！　こっちは見たくもないもんを見せられてるんだからよ」

　そう言いながら望は和也の顔目掛けてパジャマを投げ渡す。

「痛ってー！　ったく、望はやっぱ、相変わらずなんだよな。　望って、ホント患者さん以外には優しくねぇの」

　そう和也は小さな声でブツブツと文句を言いながらも望から受け取ったパジャマを着ていく。

「和也、何か言ったか？」
「言ってません！」
「ま、いいや。　とりあえず、二人は二階にある客間な。　場所は分かってんだろ？」
「あ、ああ、裕実の方もまだ復活したばかりだし、先に休ませてもらうわぁ」
「あ、ああ」