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ー天災ー110

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 転勤の前に望からハッキリと雄介に愛の言葉でも言っていたのなら、雄介は転勤を止まってくれたのであろうか。 いや、やはり、そこは無理な話なのであろう。 例え望が雄介の事を止めた所で、雄介の仕事上の都合で転勤なのだから、そこは何も言えないのかもしれない。

 でも雄介がちゃんと転勤の事を望に言ってくれさえしていれば、もしかしたら残りの時間を有効に過ごせていたのかもしれない。

 そうだ、有給でも使って何処かにデートとかをする事だって出来た筈だ。 旅行でも何でも雄介が転勤でどっかに行ってしまう前にそういう事は出来ていた筈なのに、雄介は望には何も告げずに行ってしまっていた。

 だが神様は何の縁でまた二人に再会をさせてくれたのかは分からないのだが、突如いなくなって突如望の前に現れてくれた雄介。 そんな雄介に言葉では何か言える訳ではなく、こう雄介の頰を叩いてしまっていた望。

 そうだ、こう言葉で今までの事を表せなかったから、それを雄介にぶつけてしまっていたのであろう。

 でも、あんなもんでは雄介の事を許せる事は出来なかった。 雄介はその後も本当に言い訳なんかなかなか口にしないで、ただひたすら望に謝っているだけだった。 すぐに言い訳をする人もいるのだけど、こう雄介の場合には言い訳もせずにただ謝って来るだけ、そこに何だか許せてしまったという所であろうか。 そして望がやっと雄介の事を許したという所で雄介は言い訳をしてきている。 言い訳というのか説明というのか和也に怒られたって雄介は本当に自分が悪いのは分かっていたから、絶対に言い訳は先にせずにずっとずっと謝り続けていた事を思い出す。 逆にそこは凄い事なのかもしれない。

 普通の人間は多分謝るより言い訳が先になる事が多いのかもしれないのだが、雄介の場合には本当に本当にただ俺達にひたすら謝っていた。 そこは自分が一番悪いって分かっているからこそ謝り続けていたもであろう。 でも和也の言う通り謝るにはちゃんと理由がある筈だ。 そして理由があっての謝罪だとも思える。

 でも、実際、どっちが正しいのかは分からない。 本当に雄介はひたすら謝った後に言い訳をしていた。 多分、今回の事についてはその事で望は雄介の事を許す事が出来たのであろう。
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