【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

綺羅 メキ

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ー天災ー38

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 ほらなせっかく二人で一緒に住めるようになった矢先やったやんか、だから、その、俺が言えんかったっていうのが確かに悪い、そこは許してくれとは言わんし。 流石に俺やって、こないな風に望と別れるとは思うとらんかった。 望にこの事言えんかった俺のせいでもあるしな。 もし、今度、本当に春坂または東京とか近場に来る事があったら、真っ先に望の所に行くしなっ! そう、確かに今回はこんな形で離れてしまう事になってもうたけど、俺はお前が好きな気持ちは絶対に変わへん! これだけはホンマのホンマに好きやって言い切れるわぁ。 ほな、また。 雄介』

 そう手紙には雄介の直筆で書いてあった。

 確か前にもこんな事があったような気がする。

 そう前に初めて雄介がここに来た時に喧嘩してというのか話がすれ違ってしまっていて喧嘩みたいな事になっていて、その時にも雄介は望に手紙を残していた。

「そういう事だったのかよ」

 そう独り言を呟く望。

 あの日、望と雄介はレストランで食事をした時から雄介の様子はおかしかった。

 確かに雄介は望に何か隠し事をしていたのは間違いなかったような気がするのだが、望の性格上それを問う事も出来ずにそのままになっていた事だ。

 あの時、望は雄介に恋人でも出来たのか。 と思ってしまったのだが実はこういう事だったらしいと雄介の手紙で気付く。

 でも手紙なんかより、こういう事は本人の口から直接聞きたかったというのが本音なのかもしれない。

 これからまた雄介がいない日々が続く。

 もう温もりとかっていう問題ではない。

 雄介はもうここには戻って来れないと思った方が気が楽なのかもしれない。

 そりゃ恋人なのだから戻って来て欲しいという気持ちは十分あるのだけど雄介の仕事上は無理な事だろう。

 望はフッと周りに視線を向ける。 それと同時に出てきたのは雄介との思い出だ。

 ここで笑いながらテレビを二人で見ていた事もあった。 抱き締められた事だってあった。 髪を拭いてもらう事だってあった。 寧ろ望がお風呂に入ってからの恒例になってしまっていたようにも思える。

 そうだ、たった少しの間だったけど、ここには雄介との思い出がある場所だ。

 でもまだ何だか雄介がいなくなった事に実感が湧かないのは、きっと今までが今までだったからなのかもしれない。

 そう毎日のように雄介には会っていなかったからだ。 すれ違いな生活が二人にとって当たり前だったのだから自然過ぎて雄介がいなくなったって事を実感するには時間が掛かるだろう。

 だからもう明日には、この家に雄介が帰って来るような気がするのは気のせいなのであろうか。
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