【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー天災ー8

　他の消防隊員が消化活動している最中、一人雄介はマンション内へと入って行く雄介。

　雄介が走ってマンションに向かっている中、誰かに「桜井！」と声を掛けられたような気がしたのだが、今はそんな事に構っている余裕がなかったようだ。　寧ろ無我夢中で火の海の中へと入って行ってしまったのであろう。

　だが今雄介がやっている事は明らかに命令違反だ。

　でもそんな事は今の雄介には関係ない。

　そう人一人の命が掛かっているのなら助けに行くのが消防士の役目だからだ。

　とりあえずこのマンションのロビーらしき所に出た雄介。　だがそこはまだ一階だからなのか火の手もなくヒンヤリとしていた。

　そう火というのは上に登る習性がある。　だからなのか一階の方はまだ平気だという事なのであろう。

　そして雄介は非常用階段見つけると非常階段を駆け上がって行く。

　駆け上がっていくにつれ火元である十階へと近付いているのだから段々と周りの気温も熱くなってきていた。

　鉄製の非常階段を上がって行くと雄介の視界には『十』の文字が入ってくる。

　ここからが本番。　今上がって来た階段には防火扉のお陰で火は回っていなかったのだが、この扉の向こう側にはきっと今もまだ火が回っているのであろう。

　そうだこの向こう側は今の気温より熱いと思って飛び込んだ方がいいのかもしれない。

　そこで一度自分に気合いを入れると扉のドアノブへと手を掛ける。

　確かに雄介はこういう仕事をしているのだから何度も現場に踏み入れては来ているのだが何度経験したって慣れる事はない。

　死と隣り合わせの仕事。

　彼には分かっている事だ。