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ー記憶ー116

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 しかも同じ事を言っていたのだが、一回目より二回目の方がやや声が高めに聞こえたような気がするのは気のせいであろうか。

「ス、スマンが、今の声でもう一度言うてくれへんか?」
『まったくもう! しつけぇんだよっ! 切ってもいいのか? って聞いてんだよっ!』

 そう電話の相手は今度はちょっとキレ気味で言ってきていた。

「あぁ……ぅん……せやな……切らへんでええよ」

 流石の雄介も今の声が誰なのかっていうのが分かったのであろう。

 そして、その電話の相手に対して何故だかベッドの上に正座をしてしまう雄介。

「……今の声は望やろ?」
『ああ! そうだ! 何、恋人の声忘れちまってんだよ。 それほど、疲れちまってるって事なのか?』

 きっと、こんな事を言っている望は電話の向こう側できっと顔を赤くしているのであろう。 それを想像してしまい雄介の方はニヤケたようだ。

「あぁ! おうっ! 大丈夫やって、確かに望の声やんな」
『ま、いいや……とりあえず、今、雄介はそのレスキュー隊の研修に行ってるんだろ? まぁ、頑張って来てくれよっ!』
「ああ! おう! ほなら、待っておいてっ! 終わったら速攻で望の所に行ってやるしなっ!」
『ああ、じゃあな。 ああ! そうだ! もう一つだけ言っておきたいことがあるんだけどさ。 記憶が戻ったのは、家に居て、朝目が覚めた時だったんだよな。 だけど、俺の隣には雄介はいなくて、その代わりっていうのは変だけど、和也が側に居てくれたから、記憶のない時の俺の事、全部和也に聞いたからさ』
「そうやったんか。 ま、とりあえず、望の記憶が戻ったみたいで良かったわぁ。 ほな、またな」
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