【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー記憶ー104

　望の言葉にクスクスと笑う雄介と和也。

　そう二人も初めて、この家に来た時に今の望と同じ反応をしていた時の事をしていたのだから。

「なんで、二人とも笑ってるんだよ」

　望は二人に対して頰を膨らませてまで抗議している。　きっと望からしてみたら二人に仲間外れにされた気分なのであろう。

「いやぁーなぁ、誰も望の家を見た時の反応って同じなんやな……って思うてなぁ」
「じゃあ、和也もお前も同じ反応をしてたって事なのか？」
「ああ、まぁな」

　今の望の言葉に一つ引っかかる言葉があったような気がしたのだが、雄介は一応返事をしておいたようだ。

　そう望は和也の名前はしっかり言っていたのに雄介の事は『お前』呼びしていたからだ。

　それはそれでいいのかな？　とは思いながらも車を車庫へと停める雄介。

「んー！　久しぶりに運転すると疲れるわぁー！」
「じゃあ、俺が運転してくればよかったじゃねぇか」
「いやなぁ、たまには俺も運転せんと、鈍ってまうんやないかと思うてなぁ」
「なら、言うんじゃねぇよ」

　和也はそう雄介に突っ込みを入れ車を降りていく。

　雄介はトランクの方を開け入れておいた荷物を下ろすと荷物を両手で抱え望の家へと向かって行くのだ。

「望……ちょい、スマンなぁ」

　雄介はそんな事を言うと、徐に望の上着のポケットに手を突っ込んで望の家の鍵を拝借すると鍵を開ける。

　そうまだ雄介は望から望の家の鍵を渡されてなかったからだ。

　……一緒に住もうか？

　と言われたのは望が記憶を失くす前の事で、しかも一緒に住むという事も実行されないままでいたのだから。

　そう雄介は望から合鍵なんて渡されてなかったから望のポケットから家の鍵を拝借する。