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ー友情ー56

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 和也はその男に向かってにっこりと微笑むと、その男は和也に心を開いたのか、

「……本当ですか?」

 そう俯けていた顔を上げ二人の事を見つめ望も和也も二人同時に頷くのだ。

 そして和也は雄介の病室のドアを開け、その男に病室に入るように促す。 すると雄介は人が入ってきた気配に気付いたのかベッドへと半身を起こし、その人物の方に視線を向けると思ってもいなかった人物に声を上げるのだ。

「え? さ、坂本かぁ!? ホンマに坂本なんか!?」

 雄介は坂本の姿を目にするとベッドから降りて坂本の元へと向かい、

「良かったわぁ、釈放されたって事なんやね! 今回の事はお前は絶対に悪くない! 俺のミスやし、それに坂本が変わってしまったんは俺のせいでもあるしな。 そういう所に行くのは俺もって事やしなぁ」
「本当に今回の事件について、桜井は俺の事許してくれるのか?」
「ああ、勿論や! それにホンマ俺が悪かったんだし、まぁ、とりあえず、会えて良かったわぁ」

 雄介は坂本の事を抱き締める。 流石の雄介も坂本に対しては友人として抱き締めているのであろう。

 その二人の再会を和也達が見ているのはいいのだが、和也と望はこの病室に仕事をしに来ただけで、

「あのー、スイマセン……お二人が再会出来て嬉しいのは分かるのですが、俺達の存在忘れてませんか? 俺達は仕事でこの部屋に、来たんですけど」

 その和也の言葉に雄介はちゃんと聞いていたのか、和也の言葉に、

「あ、あぁ! それな……俺の方はもうめっちゃ元気やし! 後回しにしてくれへんかな? それに今は坂本と話したいしなぁ」
「そっか……んじゃあ、後でな」

 和也は雄介のその言葉に仕方なさそうな息を吐くと、望と一緒に雄介の病室を出て行く。

「ま、これで、解決だよな」
「ああ」

 これからも望と和也、雄介と坂本の友情は続くのであろう。

 そして、やっとの事で望と雄介も恋人同士になれて、これからゆっくりとではあるのだが、愛情の方も続いていくのかもしれない。

 友情の中にも、愛情の中にも、仲がいいからこそ言い合いが必要な時もあるもんだ。

 これから、いくら仲がいいとしても喧嘩や擦れ違い等が起きた時、そのまま別れる事があるのかもしれないのだが、別れないでどう解決していくかというのも必要な事なのかもしれない。

 人間というのは人生の中で試練に向き合いながら成長していくものだ。

 きっと、このカップルもそんな試練に向き合いながら成長していくのかもしれない。



ー友情ー END

NEXT→【ー記憶ー】
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