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ー友情ー16
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「なぁ、和也がもし男に告白されたらどうするんだ?」
望は本当に和也の気持ちは全くもって分かってないのでだろう。 そんな気も知らずに普通にそういう事を聞いているのだから。
「え? あ……あ、うん……そうだぁ?」
和也は少し考えると、
「好きになってくれたら、やっぱ、男も女も関係ない……かな?」
考えたつもりだったのだが、普通に望の言葉に答えてしまっていた和也。 だが内心の方は穏やかではないだろう。 そう、こうやって言葉を詰まらせながら答えているのだから。
だけど和也は望には告白していない。 だから望が和也の気持ちを知る由もなく、その事について淡々と答えなければならない自分に胸の中というのは本当に苦しい思いをしているのかもしれない。
「そっか……和也はそう思ってるんだ。 なら、付き合ってみようかな?」
「……へ?」
その望の言葉に慌てたように顔を上げ望の事を見つめる和也。 そして、
「え? あ、ちょ、ちょっと待ってよ!」
そう和也は戻ろうとしていた望の体を止めると、そのまま望の体をフェンスへと押し付ける。 それと同時にフェンスのガシャンという音が屋上へと響き渡るのだ。
「ちょ、ちょっと、待てよ! あのさ、お前がまだアイツの事好きになったっていう訳じゃねぇんだろ? だ、だったら、まだ付き合わなくてもいいんじゃねぇのか?」
「でも、お前が言ってくれたじゃねぇか。 告られたら、男も女も関係ないって。 それに、今は俺……アイツの事嫌いじゃなくなってきたしな」
「え? あ、う、うん、確かにそうは言ったんだけどさ」
和也はこれ以上、望を言葉で止める術はなくなったのか、ただただ和也は望の肩に置いてある手に力を入れているだけしか出来なくなってしまったようだ。
「あ、あのさ、望……一つだけ聞いていいか? 望は本当に本当にアイツの事が好きになったのか?」
更に和也の手に力が籠ってしまったようで望の方も本格的に痛くなってきたのであろう。
「ちょ、痛ぇって!」
和也が掴んでいる肩に痛みが走り顔を歪める。
「あ、ちょ、ゴメン……」
和也は今の望の言葉で思わず力を入れてしまっていたという事にやっと気付いたのか、入れていた手の力を緩めるのだ。 だが和也はまだ望の肩を掴んでいる。 それは和也的にはまだ望の事を離したくはないからであろう。 だがそんな和也はもう既に望を止める術はない。 そのよく分からない状況の中で和也は望の事を止めてしまっていた。 でも和也の中では望の事を離したくはない。 いや、もしこの手を離してしまったらきっと望は桜井の所に行ってしまう。 今の和也はそう思ってしまっているのであろう。
「た、確かに今はまだそんな気持ちにはなってねぇよ。 でも! もし付き合ってみたら、好きになるかもしれねぇじゃねぇか」
「じゃ、もし、付き合ってみてアイツの事を好きにならなかったら!? ただ単にアイツの事を傷付けるだけになっちまうんじゃねぇのか?」
そう焦ったように答える和也。
「確かにそうだけどよ……でも! それは傷付けるかもしれねぇし、傷付けないかもしれねぇし、そこは今のところ分からねぇ事だろ?」
その望の言葉でやっと和也は望の事を諦めたのか掴んでいた手を緩めその手を離し、和也はそのまま深刻そうな表情をしながらそこら辺にある少し高さのあるコンクリートへと腰を下ろし顔を俯けるのだ。
今の和也は今回あった事について色々と考える事があるのであろう。
だからなのか顔を俯けた後も頭を必死に掻いてみたり百面相のように表情を変えてしまっているのだから。 今の和也はきっと色々な感情が入り混じっている状態なのかもしれない。
望は本当に和也の気持ちは全くもって分かってないのでだろう。 そんな気も知らずに普通にそういう事を聞いているのだから。
「え? あ……あ、うん……そうだぁ?」
和也は少し考えると、
「好きになってくれたら、やっぱ、男も女も関係ない……かな?」
考えたつもりだったのだが、普通に望の言葉に答えてしまっていた和也。 だが内心の方は穏やかではないだろう。 そう、こうやって言葉を詰まらせながら答えているのだから。
だけど和也は望には告白していない。 だから望が和也の気持ちを知る由もなく、その事について淡々と答えなければならない自分に胸の中というのは本当に苦しい思いをしているのかもしれない。
「そっか……和也はそう思ってるんだ。 なら、付き合ってみようかな?」
「……へ?」
その望の言葉に慌てたように顔を上げ望の事を見つめる和也。 そして、
「え? あ、ちょ、ちょっと待ってよ!」
そう和也は戻ろうとしていた望の体を止めると、そのまま望の体をフェンスへと押し付ける。 それと同時にフェンスのガシャンという音が屋上へと響き渡るのだ。
「ちょ、ちょっと、待てよ! あのさ、お前がまだアイツの事好きになったっていう訳じゃねぇんだろ? だ、だったら、まだ付き合わなくてもいいんじゃねぇのか?」
「でも、お前が言ってくれたじゃねぇか。 告られたら、男も女も関係ないって。 それに、今は俺……アイツの事嫌いじゃなくなってきたしな」
「え? あ、う、うん、確かにそうは言ったんだけどさ」
和也はこれ以上、望を言葉で止める術はなくなったのか、ただただ和也は望の肩に置いてある手に力を入れているだけしか出来なくなってしまったようだ。
「あ、あのさ、望……一つだけ聞いていいか? 望は本当に本当にアイツの事が好きになったのか?」
更に和也の手に力が籠ってしまったようで望の方も本格的に痛くなってきたのであろう。
「ちょ、痛ぇって!」
和也が掴んでいる肩に痛みが走り顔を歪める。
「あ、ちょ、ゴメン……」
和也は今の望の言葉で思わず力を入れてしまっていたという事にやっと気付いたのか、入れていた手の力を緩めるのだ。 だが和也はまだ望の肩を掴んでいる。 それは和也的にはまだ望の事を離したくはないからであろう。 だがそんな和也はもう既に望を止める術はない。 そのよく分からない状況の中で和也は望の事を止めてしまっていた。 でも和也の中では望の事を離したくはない。 いや、もしこの手を離してしまったらきっと望は桜井の所に行ってしまう。 今の和也はそう思ってしまっているのであろう。
「た、確かに今はまだそんな気持ちにはなってねぇよ。 でも! もし付き合ってみたら、好きになるかもしれねぇじゃねぇか」
「じゃ、もし、付き合ってみてアイツの事を好きにならなかったら!? ただ単にアイツの事を傷付けるだけになっちまうんじゃねぇのか?」
そう焦ったように答える和也。
「確かにそうだけどよ……でも! それは傷付けるかもしれねぇし、傷付けないかもしれねぇし、そこは今のところ分からねぇ事だろ?」
その望の言葉でやっと和也は望の事を諦めたのか掴んでいた手を緩めその手を離し、和也はそのまま深刻そうな表情をしながらそこら辺にある少し高さのあるコンクリートへと腰を下ろし顔を俯けるのだ。
今の和也は今回あった事について色々と考える事があるのであろう。
だからなのか顔を俯けた後も頭を必死に掻いてみたり百面相のように表情を変えてしまっているのだから。 今の和也はきっと色々な感情が入り混じっている状態なのかもしれない。
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