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ー友情ー9

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 食事を終えて二人は食堂のカウンターにお盆や食器を食堂のカウンターへと戻すと一旦自分達の部屋に戻ってから回診を始める。

 そして全ての担当患者の所に行った後に最終的に訪れた病室は桜井さんの病室だ。

 二人は桜井さんの病室まで来ると部屋へと入った直後、望達が言葉を失うような事が起きていた。

 次の瞬間には声を荒らげる望。

「ちょ! 君! 何してんだっ!」

 その望の声は病室内へと響き渡る。

「はぁ……はぁ……ちょっとな……運動しておかないと体が鈍ってしまって、直ぐに仕事に復帰出来んやろ? せやから、運動を……」

 そう息を切らし額からも汗を流しながら言う桜井。

 望が声を荒らげた理由は誰にも分かる。 まだ数日前に怪我をして来て手術したばかりでしかも立ち上がりベッドの柵に掴まって歩いていたのだから。

 本来ならまだ安静にしておかないと傷口が開いてしまうくらいの時期で、そんな体で動いてしまっている患者さんに怒るに決まっている。

 そして医者として、そんな姿を見てしまったのだから、つい声が大きくなってしまうのは当たり前の事だろう。 寧ろ、そんな患者さんに対して怒らない医者はいない。 いや寧ろ望がしている事は間違った事ではないのだから。

 そんな望の姿に和也の方は仕方なさそうに息を吐く。 寧ろ怒られても仕方が無いというため息だろう。

 和也だって望と同じような立場だ。 だから自分もこういう姿を見てしまったらきっと声を荒らげているに決まっている。 それが望の方が一歩早かったという事だ。
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