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「あ……」

 ……確かにそれはあるのかもしれない。

「それに私は音楽が好きだったので、そこは、辞める訳には行きませんでしたから……」
「そっか……」

   これで少し春馬のことが分かったような気がする。

 そして話が切れた所で春馬は俺の事を見上げ、

「ん?」
「洗い終えたなら、浴槽の方に入ってきませんか?」

 ……あ、忘れてた……。 っていうか、いきなり初めての家に来て堂々と浴槽に入っていくのも悪いと思ってたからある意味春馬に声を掛けて貰うの待っていたんだけど……。

「ああ、うん……」

 そう言うと俺は春馬の家の浴槽に入って行く。

 迎え合わせに入るのも恥ずかしい。

 だが春馬は堂々としていた。

 ……そりゃ、当たり前か……自分の家のだもんな……。

「そういう形もいいのですが……恋人なんですから、私の上というのか……こちらに来てみてはいかがでしょうか?」
「……へ?」

   ……どういうこと!?

   そういうことに関して彼女も出来たことのない俺……。 だから、春馬が言ってる意味が分からなかった。

 とりあえず、春馬に言われた通りに春馬とは反対側を向いてみると春馬の手が伸びてきて俺の体を誘導する。

 そう俺は春馬の足と足の間に体を置いた感じだ。

 ……んーーこれだとちょっと狭い!? 本来なら、きっと、がたいのいい俺が下になった方がいいと思うのだけど、そこはタチである春馬は譲れない所なのかな?

 そして後ろからギュッと抱きしめられる。

 恥ずかしいけど温もりが伝わって来て何だか心地よくも感じるけどなんか落ち着かない。

 恋人同士って、なんか温かくていいのかも……。

 恋人同士って抱き合うだけが恋人ではない。 こうして、お互いの温もりを感じることも出来ることが恋人同士なのであろう。

 よくは分からないけど幸せな気持ちにもなってくる。

 今まで生きてきた中で幸せって思った瞬間なんてなかったのだけど今初めて幸せと思った瞬間だった。

 そして急に蕾の方に違和感を感じる。

「……へ?」

   声と共に俺は春馬の方に振り向いていた。 それに、気付いた春馬。

「伊吹のココ……こういう時でも慣らしていかないとね……。 大丈夫ですよ……奥までは入れませんから……」

   ……そ、そういう問題じゃなーーい! 確かに入口付近で指を出したり入れたりしているだけだけど……お風呂に入ってる時位ゆっくり入りたいかと……。
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