【R18/完結】放課後君と2人で

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　恋をするということは何だか仕事も手につかない。

　俺は席についても、いつもの自分ではないような気がする。

　ただ机の前に座ってボッーとしているだけだ。

　体育教師だから他の教師に比べたら資料とか用意するような教科ではない。　それに今日は保健の授業がある訳ではないのだから特に何もする必要はないのだけど遅刻はしたくないという気持ちはあった。

　とりあえず机の前でただボッーとしている訳には行かず俺は校庭で部活動に励んでいるサッカー部の所へと向かう。

　要は気分転換だ。

　サッカーに夢中になっていれば、きっとあの音楽教師のことは忘れていられて仕事モードになるであろう。　そう思ってサッカー部の様子を見に来たのだけど俺の様子は変わることはなかった。

　寧ろ余計なことをしたという事だ。

　校庭に出ると窓を開けられた音楽室からは吹奏楽部が練習をしているのか色々な楽器の音色が聞こえてくる。

　トランペット、トロンボーン、クラリネット、フルート……。

　一応、母親が音楽教師だったのだから楽器の音で何の楽器だか分かってしまう。

　そういう楽器の音を聞くと逆にあの音楽教師のことを思い出してしまっていた。

　そう昨日聞いたあの音楽教師のピアノのことをだ。

　綺麗な音色……そして、艶やかで……でも、なんだか嬉しそうで楽しそうに俺は聞こえてくる。

　作品とかって、その人の心の中を表しているということを聞いたことはあるけど、まさに昨日聞いたあの音色はそんな感じだった。

　そう考えていると何か俺の頭に衝撃があった気がする。

　次の瞬間には俺の体は地面に倒れていたのだから。

　人間というのは痛いと無意識にそこを押さえてしまう。

　俺は頭を押さえていた。

　気付くと生徒達が俺の周りに集まって来ていて、

「先生！　大丈夫ですか？」

　と聞いてくる生徒もいる位だったのだから。