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第2章
第30録 期間限定のお手伝いさん
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ロイトは少しの間ベルゼブブを見つめていたが、諦めたように乾いた笑いを漏らした。
「はは……まいったな。見抜かれてたのか。使い魔くん、上位なんだね」
「あ゛?」
「ストップストップ!!ちゃんと理由話すから店壊そうとしないで!!」
険しい顔つきのまま両手に炎を宿したベルゼブブを見てロイトは慌てて止めに入る。
ベルゼブブはつまらなそうに鼻を鳴らすと炎を消した。
「察したかもしれないけど、僕も生まれつき魔力の高い家の生まれなんだ。でも期待の目で見られるし、
周りの勧誘はうるさいし、いいことなくてね。だから自分で自分を縛ったんだよ。
それにここは争いは悪だからね。僕にとって居心地がいいんだ」
「………………。最近噂とか聞いてないか?」
「いいや、噂が届いていたとしても誰も相手にしないだろうけどね。
エスがワケありなのはわかったよ。僕は卑怯なことが大っ嫌いなんだ。だからさっきの提案も本心。
疑ってもらってても構わないけどね」
「……だとよ」
ベルゼブブはため息をついてつまらなそうに呟くとエリスの真後ろに立った。
エリスは眉を下げるとロイトに謝る。
「すみませんでした。相棒が脅してしまって……」
「大丈夫大丈夫!気にしないで!
あ そうだ!じゃあエスは期間限定のお手伝いさんってことにしよう!
それなら突然いなくなっても大丈夫だし」
「お手伝いさん、ですか?」
「うん!」
笑顔で言うロイトにエリスは瞬きを繰り返した。そんなエリスの様子を気にしていないのか、ロイトはどんどん話を進めていく。
「まだ寝るまで時間があるし、今からお店を案内しようか。商品はお客さんが持ってきてくれるから、
お金の取り引きだけで大丈夫なんだけど……したことある?」
「はい。追われる前は薬を売っていたので」
「あ、そういえば前に言ってたね。なら、大丈夫かな」
お店に出るとロイトはだいたいの薬の位置をエリスに教える。なんとなく記憶したエリスは何度も薬の名前と場所を呟いていた。
「キッチンも2階にあるから、明日起きたら顔出してね」
「わかりました。よろしくお願いします」
ロイトは2階の空き部屋にエリスたちを案内すると自室に戻っていった。
翌朝、起床したエリスがキッチンに向かうと、すでにロイトが朝食の準備をしていた。
「お、おはようございます」
「あ、おはよう、エス。
イスに座ってていいからね」
「お言葉に甘えて……」
エリスが腰かけてから少ししてロイトがお皿をテーブルに置く。そこにはパンに似たの焼き菓子ようなものが乗せられており、
今までの主食はパンだったエリスはまじまじとそれを見つめた。
「これは何ですか?」
「初めて見る?パイっていって、2種類の小麦粉を混ぜて焼いたものなんだ。
こっちの大陸はパイが主流でね。ってあれ?使い魔くんは?」
「朝起きたら姿がなかったので、たぶん別の場所にいると思います」
「そ、そうなんだ。やっぱりよく思われてないのかなぁ……」
ロイトは苦笑しながら席につくとパイにかじりつく。エリスもおそるおそるかじると生地からチーズか溢れ出てお皿にいくつか点をつくった。
「パイはそのままでも美味しいんだけどね。みんな中にいろいろ入れて焼くんだよ。ちなみに僕はチーズが好きなんだ」
「な、なるほど」
朝食を終えるとロイトはバタバタと外出の準備をしながらエリスに声をかけた。
「じゃあ今日はよろしくね。僕は素材集めに行ってくるから」
「わかりました」
返事を聞くとロイトは手を振ってから店を出ていった。小さく息をついてからエリスは棚を見て回る。
「飲み薬、膏薬、この丸いのも薬?初めて見る」
棚の1番下、せり出した広い場所にいくつもの仕切りがある箱が置かれていた。
その中に人差し指ぐらいの大きさの薬がギッシリ詰まった小瓶が入れられていて、箱の近くに貼られている紙に薬の名前と効果が書かれていた。
エリスが真剣に眺めていると背後にベルゼブブが背後に姿を現す。気配を察して振り返り口を開いた。
「どこに行ってたの?」
「オレ様がどこ行こうと関係ねぇだろ。
薬屋は?」
「素材集めに行ったわ。私はお留守番」
「あっそう」
そっけなく言ったベルゼブブを複数な表情で見ながら、エリスは遠慮がちに言う。
「あの、あなたはお店には出ない方がいいと思う。お客さんがビックリして入って来ないかもしれないから」
「言われるまでもねぇよ!誰が出るか!」
すると突然ドアが開いて人間の女性が入ってきた。ベルゼブブはとっさに姿を消し、エリスは慌ててカウンターに戻る。
そんなエリスを見て女性は目を丸くした。
「あら、ロイトさんじゃないのね?」
「エスといいます。少しだけですがロイトさんにお世話になってるので
お礼にお留守番を……」
「そうだったの。偉いわねぇ。
じゃあ、この切り傷の薬をくださる?」
女性は手慣れた様子で棚からビンを取るとカウンターに置いた。エリスはそれを持って値段を確認すると女性に告げる。
「200オールになります……」
「はい、200オールちょうどよ。ロイトさんの薬、よく効くの」
「そ、そうなんですね。ありがとうございました」
エリスは女性を見送るとため息をついた。
追われ始めてからまだ少ししか経っていないのに、薬を売り歩いていた頃が遠い昔のように感じていたからだ。
「いざこざがなくなれば、また売り歩ける日が来るのかしら」
そんなエリスの呟きを店の奥に移動していたベルゼブブが聞いており、眉をしかめると壁にもたれかかった。
窓から夕陽が差し込み始めた頃、ロイトが帰ってくる。中に入るとテキパキと店じまいをした。
「あ、ロイトさん。おかえりなさい」
「ただいま。
エスがお留守番をしてくれてたから、たくさん採れたよ。
ほら」
ロイトがホクホクの笑顔で籠の中をエリスに見せた。
薬草や花等の植物と貝がごちゃ混ぜに入っている。
「たくさん……」
「おかげさまで……って、使い魔くん居たの⁉今日は初めて会うね」
奥から様子を伺っていたベルゼブブはチラリとロイトを見ると鼻を鳴らして腕を組んだ。
「まだ警戒されてる?」
「当たり前だ。だが、コイツを置いてくれていることには礼を言う」
「本当⁉ちょっとは気を――」
「許すわけねぇだろ。あとそんなに近づくんじゃねぇ!」
「わかったよ。
じゃあ僕は食事の準備をしてくるね」
少し背中を丸くして2階へ行くロイトをエリスは申し訳無さそうに見送る。
ベルゼブブは再び鼻を鳴らすと顔をそらした。
夜、エリスたちはキッチンでテーブルを囲んでいた。ベルゼブブは相変わらず隅に立っており、いつものように腕を組んで黙っている。
「今日はお疲れ様。エスがお留守番してくれたから素材集めに集中することができたよ」
「少しでもお役に立てたのならよかったです」
「あ、そうだ。ドワーフの集落には行った?」
「いいえ。名前は聞いたことがあるのですが」
エリスが首を傾げて答える。
ドワーフの名はアンスタン大陸でも有名で、裕福な家は高いお金を払って彼等が作った物を取り寄せていた。
エリスは評判は聞いていたので、気になってはいたのだった。
「なら、お使いついでに行ってみたらどうかな?」
「お使いですか?」
「うん。火傷の薬を頼まれていてね。できがったから届けにいかないといけなかったんだ」
「行きます」
「ありがとう!今日はもう遅いから道は明日話すね」
エリスたちは挨拶を交わすとそれぞれ部屋に戻っていった。
「はは……まいったな。見抜かれてたのか。使い魔くん、上位なんだね」
「あ゛?」
「ストップストップ!!ちゃんと理由話すから店壊そうとしないで!!」
険しい顔つきのまま両手に炎を宿したベルゼブブを見てロイトは慌てて止めに入る。
ベルゼブブはつまらなそうに鼻を鳴らすと炎を消した。
「察したかもしれないけど、僕も生まれつき魔力の高い家の生まれなんだ。でも期待の目で見られるし、
周りの勧誘はうるさいし、いいことなくてね。だから自分で自分を縛ったんだよ。
それにここは争いは悪だからね。僕にとって居心地がいいんだ」
「………………。最近噂とか聞いてないか?」
「いいや、噂が届いていたとしても誰も相手にしないだろうけどね。
エスがワケありなのはわかったよ。僕は卑怯なことが大っ嫌いなんだ。だからさっきの提案も本心。
疑ってもらってても構わないけどね」
「……だとよ」
ベルゼブブはため息をついてつまらなそうに呟くとエリスの真後ろに立った。
エリスは眉を下げるとロイトに謝る。
「すみませんでした。相棒が脅してしまって……」
「大丈夫大丈夫!気にしないで!
あ そうだ!じゃあエスは期間限定のお手伝いさんってことにしよう!
それなら突然いなくなっても大丈夫だし」
「お手伝いさん、ですか?」
「うん!」
笑顔で言うロイトにエリスは瞬きを繰り返した。そんなエリスの様子を気にしていないのか、ロイトはどんどん話を進めていく。
「まだ寝るまで時間があるし、今からお店を案内しようか。商品はお客さんが持ってきてくれるから、
お金の取り引きだけで大丈夫なんだけど……したことある?」
「はい。追われる前は薬を売っていたので」
「あ、そういえば前に言ってたね。なら、大丈夫かな」
お店に出るとロイトはだいたいの薬の位置をエリスに教える。なんとなく記憶したエリスは何度も薬の名前と場所を呟いていた。
「キッチンも2階にあるから、明日起きたら顔出してね」
「わかりました。よろしくお願いします」
ロイトは2階の空き部屋にエリスたちを案内すると自室に戻っていった。
翌朝、起床したエリスがキッチンに向かうと、すでにロイトが朝食の準備をしていた。
「お、おはようございます」
「あ、おはよう、エス。
イスに座ってていいからね」
「お言葉に甘えて……」
エリスが腰かけてから少ししてロイトがお皿をテーブルに置く。そこにはパンに似たの焼き菓子ようなものが乗せられており、
今までの主食はパンだったエリスはまじまじとそれを見つめた。
「これは何ですか?」
「初めて見る?パイっていって、2種類の小麦粉を混ぜて焼いたものなんだ。
こっちの大陸はパイが主流でね。ってあれ?使い魔くんは?」
「朝起きたら姿がなかったので、たぶん別の場所にいると思います」
「そ、そうなんだ。やっぱりよく思われてないのかなぁ……」
ロイトは苦笑しながら席につくとパイにかじりつく。エリスもおそるおそるかじると生地からチーズか溢れ出てお皿にいくつか点をつくった。
「パイはそのままでも美味しいんだけどね。みんな中にいろいろ入れて焼くんだよ。ちなみに僕はチーズが好きなんだ」
「な、なるほど」
朝食を終えるとロイトはバタバタと外出の準備をしながらエリスに声をかけた。
「じゃあ今日はよろしくね。僕は素材集めに行ってくるから」
「わかりました」
返事を聞くとロイトは手を振ってから店を出ていった。小さく息をついてからエリスは棚を見て回る。
「飲み薬、膏薬、この丸いのも薬?初めて見る」
棚の1番下、せり出した広い場所にいくつもの仕切りがある箱が置かれていた。
その中に人差し指ぐらいの大きさの薬がギッシリ詰まった小瓶が入れられていて、箱の近くに貼られている紙に薬の名前と効果が書かれていた。
エリスが真剣に眺めていると背後にベルゼブブが背後に姿を現す。気配を察して振り返り口を開いた。
「どこに行ってたの?」
「オレ様がどこ行こうと関係ねぇだろ。
薬屋は?」
「素材集めに行ったわ。私はお留守番」
「あっそう」
そっけなく言ったベルゼブブを複数な表情で見ながら、エリスは遠慮がちに言う。
「あの、あなたはお店には出ない方がいいと思う。お客さんがビックリして入って来ないかもしれないから」
「言われるまでもねぇよ!誰が出るか!」
すると突然ドアが開いて人間の女性が入ってきた。ベルゼブブはとっさに姿を消し、エリスは慌ててカウンターに戻る。
そんなエリスを見て女性は目を丸くした。
「あら、ロイトさんじゃないのね?」
「エスといいます。少しだけですがロイトさんにお世話になってるので
お礼にお留守番を……」
「そうだったの。偉いわねぇ。
じゃあ、この切り傷の薬をくださる?」
女性は手慣れた様子で棚からビンを取るとカウンターに置いた。エリスはそれを持って値段を確認すると女性に告げる。
「200オールになります……」
「はい、200オールちょうどよ。ロイトさんの薬、よく効くの」
「そ、そうなんですね。ありがとうございました」
エリスは女性を見送るとため息をついた。
追われ始めてからまだ少ししか経っていないのに、薬を売り歩いていた頃が遠い昔のように感じていたからだ。
「いざこざがなくなれば、また売り歩ける日が来るのかしら」
そんなエリスの呟きを店の奥に移動していたベルゼブブが聞いており、眉をしかめると壁にもたれかかった。
窓から夕陽が差し込み始めた頃、ロイトが帰ってくる。中に入るとテキパキと店じまいをした。
「あ、ロイトさん。おかえりなさい」
「ただいま。
エスがお留守番をしてくれてたから、たくさん採れたよ。
ほら」
ロイトがホクホクの笑顔で籠の中をエリスに見せた。
薬草や花等の植物と貝がごちゃ混ぜに入っている。
「たくさん……」
「おかげさまで……って、使い魔くん居たの⁉今日は初めて会うね」
奥から様子を伺っていたベルゼブブはチラリとロイトを見ると鼻を鳴らして腕を組んだ。
「まだ警戒されてる?」
「当たり前だ。だが、コイツを置いてくれていることには礼を言う」
「本当⁉ちょっとは気を――」
「許すわけねぇだろ。あとそんなに近づくんじゃねぇ!」
「わかったよ。
じゃあ僕は食事の準備をしてくるね」
少し背中を丸くして2階へ行くロイトをエリスは申し訳無さそうに見送る。
ベルゼブブは再び鼻を鳴らすと顔をそらした。
夜、エリスたちはキッチンでテーブルを囲んでいた。ベルゼブブは相変わらず隅に立っており、いつものように腕を組んで黙っている。
「今日はお疲れ様。エスがお留守番してくれたから素材集めに集中することができたよ」
「少しでもお役に立てたのならよかったです」
「あ、そうだ。ドワーフの集落には行った?」
「いいえ。名前は聞いたことがあるのですが」
エリスが首を傾げて答える。
ドワーフの名はアンスタン大陸でも有名で、裕福な家は高いお金を払って彼等が作った物を取り寄せていた。
エリスは評判は聞いていたので、気になってはいたのだった。
「なら、お使いついでに行ってみたらどうかな?」
「お使いですか?」
「うん。火傷の薬を頼まれていてね。できがったから届けにいかないといけなかったんだ」
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