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第2章

デュークに同行依頼をする

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 城内を歩いていた俺はふと足を止める。
前方からよく知った人物が歩いてきていたからだ。

 「ヤッホ~、モトユウちゃ~ん」

 「あ、デュークさ――」

 (ん?何か怖ぇ)

 言いかけて笑顔で近づいてくるデュークさんから少しずつ後退する。
至っていつも通りのはずなのだが、何か違うような気がしたのだ。

 (怒ってる?静かな怒りみたいな感じが……)

 「モトユウちゃんー?何で下がるワケー?」
 
 「えーっと、もしかして怒ってます?」

 「ンー、怒るまではいってねぇけど少しキゲンは悪いな」

 「な、何でですか?」

 おそるおそる尋ねるとデュークさんは頭の後ろで
手を組んで小さく息をついた。

 「何でってそりゃ100パー俺んとこ入ると思ってたからさ~。
ちょっとショックー」

 (あ、部隊のことか。ってもう知ってるのかよ⁉早ぇ⁉)

 てっきり無意識のうちに何かヤラかしたのではないかと
思ったが違って安心した。
 それにしても情報伝達が早い。魔王のところに寄ったのだろうか。
それかテナシテさんから報告を受けた魔王が魔法か何かでリーダーたちに伝えたのかもしれない。

 「すみません……」

 「別に謝るようなことじゃないんだけどなー。
なんか不満でもあった~?」

 「不満はないです。正直、俺もかなり迷ったんですけど
俺は防御のやり方なんとなくしか知らないから、今から知っておけば役に立つかなって」

 「あっそう~。でも俺んとこくれば剣技増えるぜ?
やられる前にやればいいだろ~?」

 (あ、まだ諦めてない?)

 確かにやられる前にやるのも立派な戦闘方法だ。
でも俺がへネラルさんを選んだ理由は別にあるわけで。

 「フォルスさんに迷惑かかりますし……」

 「どして?」

 「俺、嫌われてるみたいですから」

 そう言いながら初めて会ったときのことを思い出していた。
双斧でモンスターを討伐していたフォルスさん。戸惑いながらも手伝おうとはしたが突き放され、信用しないと言われた。
 人間なのだからそのような態度をとられるのは仕方のない
ことなのだが、正直ショックだった。

 「そう?警戒してるだけだと思うぜ~」

 (俺の考えすぎなんだろうけど)

 それでも不安は拭えない。目線を下に向けていると
デュークさんが覗き込んでくる。

 「っ⁉」 

 「ビックリすることでもないだろ~。こうやって覗き込むのも久しぶりだな。
 で、どうするよ?今ならまだ間に合うんじゃない~?」

 「いえ、へネラルさんところで」

 「あっそう~。変えたくなったらいつでも言えよ?」

 「は、はい……」

 (そうか、入った部隊変えるなとは言われてないんだ)

 魔王から絶対に部隊に入れとは言われたがそれだけだ。
おそらく途中で変えたいと言っても承諾してくれると思う。
 ふと、1つ疑問が思い浮かんだ。

 「あ、そういえば俺の教育係どうなるんですか?」

 「ン?教育係?」

 デュークさんは俺が魔王に命乞いした翌日から教育係として世話を焼いてくれていた。
へネラルさんも幹部なのでバトンタッチするのではないかと不安になったのだ。 

 「はい。へネラルさんの部隊に入ることになるし、
もしかしたら変わるのかなって」

 するとデュークさんは少し考えてニンマリと笑った。

 「俺、続投じゃね?マーさんから何も言われてないし~。
ヘネちゃんからも音沙汰なし」

 「なら、1つお願いがあるんですけど」

 「お、なになに~?」

 嬉しいようでデュークさんは満面の笑みで距離を詰めてくる。ノリがいいのは助かるが相変わらず近い。
また少し距離をとって話を続ける。

 「い、今から食料集めに行くので、
ついてきてもらえませんか?」

 それにデュークさんから監視として城の外に出るときは
ついていくと言われていたのだった。
 
 「おう、リョーカイッ!俺もそろそろ何か食おうかと思ってたしー。どこ行く~?」

 「じゃあ、迷幽の森に」

 俺がそう提案したのはキングベアを狩ろうと思ったからだ。
しかし同時に嫌な記憶が蘇る。以前同じ目的で行ったときに冒険者パーティに遭遇してしまい、
俺の存在はバレずに済んだものの、デュークさんにケガをさせてしまった。
最終的にケガは完治したし、運が悪かっただけなのだろうがまだ申し訳なさが残っている。

 (しかも俺があまりにも落ち込みすぎて、次話題に上げたら殴るって言われたからな。
うっかり話さないようにしないと)

 「リョーカイ!なら、さっそく行こうぜー!
ゴーゴー!」

 「おわっ⁉」

 デュークさんはわかっているのかそうでないのか、俺の背中をグイグイ押してきた。
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