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第1部 魔族配下編 第1章
自分の在り方について考える
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「ちょっとビビりすぎらせたか?
悪かったな~、モトユウちゃん~」
デュークさんが俺の肩をバシバシ叩きながら言う。
情けないことにさっきの脅しが怖すぎて体の震えが
止まっていなかったのだ。
正直、魔王との決戦で1人取り残された時と
同じレベル
だった。
「い、いや、大丈夫……です……」
「大丈夫じゃないだろ~?どう見てもさ~」
(だったらなんで脅した⁉)
少し怒りを顔に出してデュークさんを見た。
無邪気に笑っているのを見ると怒りも冷めてくる。
「でも忠告って……」
「モトユウちゃんは大丈夫だとは思うけどね~。
念の為よ念の為~」
(それにしてはマジで脅しにきたよな?)
「「教会送り」の危険を感じたんですが……」
「ヒハハハッ、気のせいだろー」
(気のせいだったら震えてねぇよ!
でも、俺を信用しきれていないのは理解する……)
むしろ、今のようにあまり警戒せずに魔族と話せている事がスゴイと思っている。
逆の立場で人間の住処に魔族が加わってもみんな簡単に
警戒心を解かないだろう。
例え友好的だったとしても嘘をついている可能性が
あるからだ。
(俺が反抗しないのは、挑んでも無駄だとわかってるから。
それに裏切り者に居場所はない……)
1人だけ戻ってこない俺がどのように言われているのかは
わからないが、良い噂は広がってないだろう。
深く考え込んでいると頭を軽く揺らされた。
「おわ⁉」
「モトユウちゃ~ん、ま~た考え込んでるな?」
「す、すみません……ん?」
(あれ、語尾が伸びてる?)
目の前で考え込まれるのが1番嫌だったはずだ。
デュークさんは俺を睨むわけでもなく不思議そうに首を傾げでいる。
「どーした?何か思い出したかー?」
「いや、なんでもないです……」
(言わないでおこう。忘れてるだけかもしれないし)
それに、俺が指摘したことで思い出して機嫌が悪く
なったら困る。何をされるかわからない。
モヤモヤしたままでいると不意にデュークさんが口を開いた。
「確かに俺達も喋り過ぎなんだけどねー。
な~んかモトユウちゃんには喋りたくなっちゃうのよ」
「……………」
デュークさんが僅かに笑いながら俺の肩から手を離す。
「正直モトユウちゃん、3日も持たないと思ってたんだわ。でも実際どうよ?
幹部の信頼は得るし、気ぃきくし、
めちゃくちゃ優秀じゃねーか」
「ど、どうも……」
(褒めてくれてるんだよな?優秀かどうかは別として)
「でもそれはデュークさん達のおかげでもあります。
例えばですけど、毎日拷問三昧だったらここまで来れてないと思ってるんで……」
アパリシアさんの「サンドバッグ」で危ない目には合ったが、それぐらいだ。
俺の言葉を聞いたデュークさんが笑い出す。
「ヒハハハッ!マーさんから散々言われたからな~。
絶対に「教会送り」にするなって。
それに俺、モトユウちゃんに少しでも反抗の意思があったなら、ここまでしてなかったぜ。
モトユウちゃんの今の待遇は、モトユウちゃんの人柄によるもの」
(俺の人柄……)
「ビビリなのにですか?」
「ヒハハハハッ!そう!ビビリだからこそだ!」
デュークさんはそう言って俺を指さした。
指を差されるのは好きではないのだが、今は嬉しいと感じる。
「マーさんもそれを見抜いてモトユウちゃんを配下にしたのかもなー」
「……………………」
(だとしたらスゲェよ……)
魔族も悪いヤツらばかりではない。むしろイイヤツしか会っていない。
クセは強いが、逃げ出したくなるような状況ではない。
俺は居心地が良いと感じ始めている。
もしそれが魔王の計算内なら、そうとうなやり手だ。
悪かったな~、モトユウちゃん~」
デュークさんが俺の肩をバシバシ叩きながら言う。
情けないことにさっきの脅しが怖すぎて体の震えが
止まっていなかったのだ。
正直、魔王との決戦で1人取り残された時と
同じレベル
だった。
「い、いや、大丈夫……です……」
「大丈夫じゃないだろ~?どう見てもさ~」
(だったらなんで脅した⁉)
少し怒りを顔に出してデュークさんを見た。
無邪気に笑っているのを見ると怒りも冷めてくる。
「でも忠告って……」
「モトユウちゃんは大丈夫だとは思うけどね~。
念の為よ念の為~」
(それにしてはマジで脅しにきたよな?)
「「教会送り」の危険を感じたんですが……」
「ヒハハハッ、気のせいだろー」
(気のせいだったら震えてねぇよ!
でも、俺を信用しきれていないのは理解する……)
むしろ、今のようにあまり警戒せずに魔族と話せている事がスゴイと思っている。
逆の立場で人間の住処に魔族が加わってもみんな簡単に
警戒心を解かないだろう。
例え友好的だったとしても嘘をついている可能性が
あるからだ。
(俺が反抗しないのは、挑んでも無駄だとわかってるから。
それに裏切り者に居場所はない……)
1人だけ戻ってこない俺がどのように言われているのかは
わからないが、良い噂は広がってないだろう。
深く考え込んでいると頭を軽く揺らされた。
「おわ⁉」
「モトユウちゃ~ん、ま~た考え込んでるな?」
「す、すみません……ん?」
(あれ、語尾が伸びてる?)
目の前で考え込まれるのが1番嫌だったはずだ。
デュークさんは俺を睨むわけでもなく不思議そうに首を傾げでいる。
「どーした?何か思い出したかー?」
「いや、なんでもないです……」
(言わないでおこう。忘れてるだけかもしれないし)
それに、俺が指摘したことで思い出して機嫌が悪く
なったら困る。何をされるかわからない。
モヤモヤしたままでいると不意にデュークさんが口を開いた。
「確かに俺達も喋り過ぎなんだけどねー。
な~んかモトユウちゃんには喋りたくなっちゃうのよ」
「……………」
デュークさんが僅かに笑いながら俺の肩から手を離す。
「正直モトユウちゃん、3日も持たないと思ってたんだわ。でも実際どうよ?
幹部の信頼は得るし、気ぃきくし、
めちゃくちゃ優秀じゃねーか」
「ど、どうも……」
(褒めてくれてるんだよな?優秀かどうかは別として)
「でもそれはデュークさん達のおかげでもあります。
例えばですけど、毎日拷問三昧だったらここまで来れてないと思ってるんで……」
アパリシアさんの「サンドバッグ」で危ない目には合ったが、それぐらいだ。
俺の言葉を聞いたデュークさんが笑い出す。
「ヒハハハッ!マーさんから散々言われたからな~。
絶対に「教会送り」にするなって。
それに俺、モトユウちゃんに少しでも反抗の意思があったなら、ここまでしてなかったぜ。
モトユウちゃんの今の待遇は、モトユウちゃんの人柄によるもの」
(俺の人柄……)
「ビビリなのにですか?」
「ヒハハハハッ!そう!ビビリだからこそだ!」
デュークさんはそう言って俺を指さした。
指を差されるのは好きではないのだが、今は嬉しいと感じる。
「マーさんもそれを見抜いてモトユウちゃんを配下にしたのかもなー」
「……………………」
(だとしたらスゲェよ……)
魔族も悪いヤツらばかりではない。むしろイイヤツしか会っていない。
クセは強いが、逃げ出したくなるような状況ではない。
俺は居心地が良いと感じ始めている。
もしそれが魔王の計算内なら、そうとうなやり手だ。
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