22 / 27
第1章 勘当旅編
21話 竜の山
しおりを挟む
翌朝、といえるかどうかはわからないが、グッスリ眠ってから起床した。
そして隣のペッドに置かせてもらっていたラディウスとテネルを肩に乗せる。
以前のラディウスの主張を尊重して「寝ているときに潰してしまいそうで心配」とリンダさんに相談してみたら、
あっさり隣に置いていいと言ってくれたのだ。
「2人とも、寝れた?」
『文句ナシだ』
『はいー。ぐっすり眠れましたよー。フカフカでした』
小声で話しかけるとラディウスもテネルも満足そうに答えてくれた。
そのまま革袋を持ってカウンターで何かを書いているリンダさんに声をかける。
「リンダさん、おはようございまーす!」
「あら、おはよう。眠れた?」
「はい!」
元気よく答えるとリンダさんは笑顔で頷いた。そして何かを閃いたようで軽く手を叩く。
「あ、そうだ!よかったら朝ごはん食べていかない?」
「いいんですか?」
「ええ。ただ、夫がパンを買うの忘れてきちゃって。昨日お兄さんからもらっていたパンを2つ譲ってもらえないかしら?」
「どうぞどうぞ!」
「ありがとう!じゃあちょっと待っててね」
パンに挟むというので私の分も一緒に渡した。カウンターの前にあるテーブルで待っているとパンを乗せたお皿と水を運んできてくれた。
パンには切り込みが入れてあって、野菜や肉をスライスしたものが挟まれている。私が渡したものとは思えない。
「お待たせ!さ、めしあがれ」
「おいしそう!いただきまーす!」
『……もう俺は何も言わん』
『アハハッ!確かに匂いだけしか味わえないのはキツいですが、ワタシたちはぬいぐるみですからねー』
一口かじるとパンの甘みと肉の塩味がちょうどいい感じで口の中に広がる。
少し塩が強い気もしたが、問題はない。顔をほころばせているとリンダさんが外に出ていった。
しかしすぐに戻ってきて私の前に座るとパンを口に運ぶ。それを飲み込むと口を開いた。
「夫にも渡してきたの。
それにしてもあなた、本当においしそうに食べるわね。作りがいがあるわ」
「とってもおいしいので!ごちそうさまでした!」
「は~い」
あっという間に平らげてしまった私をリンダさんは嬉しそうに見ていた。
「じゃあ私行きますね。ありがとうございました!」
「どういたしまして。私たちも楽しかったわ。
そうそう、あなたが向かう山はね、「竜の山」って呼ばれているの。気をつけてね」
「「竜の山」?ホワイトドラゴンが住んでいたからですか?」
「それもあるけど、ワイバーンっていう魔物の巣になってるの。とても危険だから本当に気をつけてね」
「わかりました。ありがとうございます!」
外に出るとジェイドさんが斧を使って木を割っていた。朝ごはんを食べたばかりのはずなのにもう仕事に取り掛かっている。
タイミングを見計らって声をかけた。
「ジェイドさん、お世話になりました!」
「ああ、もう行くのかい?気をつけるんだよ」
「はい!」
リンダさんの達の宿屋から山までは街道が通っていたので迷うことなく辿り着くことができた。
しかし風景が一変して緑が一切なく、ゴツゴツとした岩と砂利道になり、なんだかブキミだ。周囲を見回しながら慎重に進む。
『なんか嫌な空気ですねー』
「洞窟よりも怖いかも」
『山だからな』
それに所々に握りこぶしほどの石が転がっていて歩きづらい。
ふと空を見上げると黒い鳥のような生き物がグルグル回っている。ラディウスたちに尋ねることにした。
「ねぇ、あれ何?」
『のんきなこと言ってんじゃねぇ!今すぐ物陰に隠れろ!』
「え」
『ラディウスさんに同意です!シーラちゃん、急いで!』
2人から追い立てられて近くの岩陰に隠れる。
よくわからないがこの2人がこれだけ焦っているということは危険な生き物なのだろう。
「あの生き物って危ないの?」
『箱入り娘が!
あれがワイバーンだ!遠かったから見えなかっただろうが、鋭い牙や爪を持ってる。
獰猛で相手が誰だろうと襲ってくるぞ』
『ドラゴンと言う人間もいるみたいですよー』
「え、じゃあラディウスと一緒?」
「そうたが!今はそんなこと話してる場合じゃねぇ!
アイツに気づかれてねぇだろうな⁉」
少しだけ顔を出して上を見ると、ワイバーンの位置が地面に近くなっていて頭が下を向いていた。
なんとなくこっちを見ている気がする。
「バレてるかも……」
『あれまー、どうしましょう。ワイバーンってしつこかった気がしますが』
『どうするもなにも様子見るしかねぇだろ。真っ向から勝負しても勝てねぇよ』
「ダガー使ってもダメかな?」
革袋から取り出して見せるとラディウスとテネルは小さくため息をついた。
自分でもいい案だと思っていたので少しガッカリする。
『うーん、シーラちゃんが使い慣れているのなら勝てるかもしれませんが』
『ムリだな。ここ来て買ったんだぞ』
「じゃあ我慢して待つしかありませんねー」
「わかった、そうするね」
2人の意見を聞くことにした。ワイバーンはしばらくの間空中で翼を羽ばたかせていたが、
諦めたのかどこかへ飛び去っていってしまう。
「行っちゃったよ。もう出ても大丈夫だよね?」
『シーラちゃん、慎重に動いてくださいね。戻ってくる可能性もありますから』
今気づいたのだが、テネルの声が少し震えている。スライムの王でもワイバーンは怖いみたいだ。
ラディウスも気づいたようで指摘した。
『スライム、声が震えてるぞ』
『そりゃワタシだって怖いものはありますよ⁉と、いうよりドラゴンですよ⁉怖がらない方が珍しいですって!』
『俺は怖くねぇぞ。まぁ、同じ種族だからかもしれんがな』
「そういえばラディウスの故郷ってここで合ってるの?
岩場はあるみたいだけど」
『…………ここだ』
「本当⁉よかった!どこに置いたらいい?」
ルンルンでラディウスを降ろそうと手を伸ばすと避けられてしまった。
思いもしなかった行動をとられて固まる。
『あのな、俺にも決まった寝床があったんだ。
そこまで連れてってもらえるか?』
「いいけど、どこ?」
『ホワイトドラゴンの住処の近く』
「なんでそんな所に住んでたの⁉」
迫るように尋ねるとラディウスはボンボン飛び跳ねた。
少し怒っているみたいだ。
『アイツの食べ残しを狙ってたんだよ!メシ探すの面倒だったからな!』
「だからってそこに住むの⁉ホワイトドラゴンって、縄張り意識?が強かったんだよね?」
『当然アイツの留守狙いだ!真正面から挑むわけねぇだろ!!』
なぜかラディウスがムキになっている。住処である山にいるからだろうか。
もしかしたらさっきのワイバーンを見て何か思うことがあったのかもしれない。
『じゃーラディウスさん、そこまで案内できますよね?』
『それぐらいしてやるよ!ひとまずホワイトドラゴンの住処まで行くからな!』
「なんで?」
『なんでですか?』
私とテネルから同時に尋ねられてラディウスは少し固まったが、いつもより高く飛び跳ねると怒ったように低声で話しだした。
『記憶が曖昧なんだよ!ホワイトドラゴンの住処に行けば方角がわかるからな!』
『あー、方向音痴なんですね』
『方向音痴じゃねぇ!ここが複雑なだけなんだよ!』
確かに分かれ道も多いし、ラディウスは方向音痴ではないと思う。
またワイバーンに見つからないようにラディウスとテネルに空を見てもらいながら素早く移動した。
進むにつれて急な坂道が多くなり、何度も休憩しながら進む。やがて高い岩に囲まれた広い場所に出たが、行き止まりでこれ以上は進めない。
中央に大きな窪みがあるし、ホワイトドラゴンの住処なのだろうか。
「はー疲れた。ここホワイトドラゴンの住処かな?」
『そうだ』
「どこ行ったらいいの?」
『悪い、まだよくわからねぇから1周してくれ』
言われた通りグルリと1周してみると端の方の岩陰に隠すようにして巨大な氷塊があった。
立ち止まって目を凝らしてみたが、表面は白く中までは見えない。
「こんな所に氷?なんで?」
『ずいぶん大っきいですねー』
首を傾げる。リル村の村長さんは何もないと言っていたはずだ。嘘をつかれたのだろうか。
氷は息をのむほど美しいのだが、やっぱり不思議な点がある。
「それにあまり溶けてないね。凍ってから時間が経ってないのかな?」
『シーラちゃん、コレは――』
すると突然ラディウスの体が光に包まれて、玉のようなものが飛び出した。
白いぬいぐるみが抜け殻のように私の肩から落ちて地面に転がる。
「え?ラディウス?」
『やっと……やっとだ……』
戸惑っている間に、玉のようなものは氷塊に吸い込まれていった。
そして隣のペッドに置かせてもらっていたラディウスとテネルを肩に乗せる。
以前のラディウスの主張を尊重して「寝ているときに潰してしまいそうで心配」とリンダさんに相談してみたら、
あっさり隣に置いていいと言ってくれたのだ。
「2人とも、寝れた?」
『文句ナシだ』
『はいー。ぐっすり眠れましたよー。フカフカでした』
小声で話しかけるとラディウスもテネルも満足そうに答えてくれた。
そのまま革袋を持ってカウンターで何かを書いているリンダさんに声をかける。
「リンダさん、おはようございまーす!」
「あら、おはよう。眠れた?」
「はい!」
元気よく答えるとリンダさんは笑顔で頷いた。そして何かを閃いたようで軽く手を叩く。
「あ、そうだ!よかったら朝ごはん食べていかない?」
「いいんですか?」
「ええ。ただ、夫がパンを買うの忘れてきちゃって。昨日お兄さんからもらっていたパンを2つ譲ってもらえないかしら?」
「どうぞどうぞ!」
「ありがとう!じゃあちょっと待っててね」
パンに挟むというので私の分も一緒に渡した。カウンターの前にあるテーブルで待っているとパンを乗せたお皿と水を運んできてくれた。
パンには切り込みが入れてあって、野菜や肉をスライスしたものが挟まれている。私が渡したものとは思えない。
「お待たせ!さ、めしあがれ」
「おいしそう!いただきまーす!」
『……もう俺は何も言わん』
『アハハッ!確かに匂いだけしか味わえないのはキツいですが、ワタシたちはぬいぐるみですからねー』
一口かじるとパンの甘みと肉の塩味がちょうどいい感じで口の中に広がる。
少し塩が強い気もしたが、問題はない。顔をほころばせているとリンダさんが外に出ていった。
しかしすぐに戻ってきて私の前に座るとパンを口に運ぶ。それを飲み込むと口を開いた。
「夫にも渡してきたの。
それにしてもあなた、本当においしそうに食べるわね。作りがいがあるわ」
「とってもおいしいので!ごちそうさまでした!」
「は~い」
あっという間に平らげてしまった私をリンダさんは嬉しそうに見ていた。
「じゃあ私行きますね。ありがとうございました!」
「どういたしまして。私たちも楽しかったわ。
そうそう、あなたが向かう山はね、「竜の山」って呼ばれているの。気をつけてね」
「「竜の山」?ホワイトドラゴンが住んでいたからですか?」
「それもあるけど、ワイバーンっていう魔物の巣になってるの。とても危険だから本当に気をつけてね」
「わかりました。ありがとうございます!」
外に出るとジェイドさんが斧を使って木を割っていた。朝ごはんを食べたばかりのはずなのにもう仕事に取り掛かっている。
タイミングを見計らって声をかけた。
「ジェイドさん、お世話になりました!」
「ああ、もう行くのかい?気をつけるんだよ」
「はい!」
リンダさんの達の宿屋から山までは街道が通っていたので迷うことなく辿り着くことができた。
しかし風景が一変して緑が一切なく、ゴツゴツとした岩と砂利道になり、なんだかブキミだ。周囲を見回しながら慎重に進む。
『なんか嫌な空気ですねー』
「洞窟よりも怖いかも」
『山だからな』
それに所々に握りこぶしほどの石が転がっていて歩きづらい。
ふと空を見上げると黒い鳥のような生き物がグルグル回っている。ラディウスたちに尋ねることにした。
「ねぇ、あれ何?」
『のんきなこと言ってんじゃねぇ!今すぐ物陰に隠れろ!』
「え」
『ラディウスさんに同意です!シーラちゃん、急いで!』
2人から追い立てられて近くの岩陰に隠れる。
よくわからないがこの2人がこれだけ焦っているということは危険な生き物なのだろう。
「あの生き物って危ないの?」
『箱入り娘が!
あれがワイバーンだ!遠かったから見えなかっただろうが、鋭い牙や爪を持ってる。
獰猛で相手が誰だろうと襲ってくるぞ』
『ドラゴンと言う人間もいるみたいですよー』
「え、じゃあラディウスと一緒?」
「そうたが!今はそんなこと話してる場合じゃねぇ!
アイツに気づかれてねぇだろうな⁉」
少しだけ顔を出して上を見ると、ワイバーンの位置が地面に近くなっていて頭が下を向いていた。
なんとなくこっちを見ている気がする。
「バレてるかも……」
『あれまー、どうしましょう。ワイバーンってしつこかった気がしますが』
『どうするもなにも様子見るしかねぇだろ。真っ向から勝負しても勝てねぇよ』
「ダガー使ってもダメかな?」
革袋から取り出して見せるとラディウスとテネルは小さくため息をついた。
自分でもいい案だと思っていたので少しガッカリする。
『うーん、シーラちゃんが使い慣れているのなら勝てるかもしれませんが』
『ムリだな。ここ来て買ったんだぞ』
「じゃあ我慢して待つしかありませんねー」
「わかった、そうするね」
2人の意見を聞くことにした。ワイバーンはしばらくの間空中で翼を羽ばたかせていたが、
諦めたのかどこかへ飛び去っていってしまう。
「行っちゃったよ。もう出ても大丈夫だよね?」
『シーラちゃん、慎重に動いてくださいね。戻ってくる可能性もありますから』
今気づいたのだが、テネルの声が少し震えている。スライムの王でもワイバーンは怖いみたいだ。
ラディウスも気づいたようで指摘した。
『スライム、声が震えてるぞ』
『そりゃワタシだって怖いものはありますよ⁉と、いうよりドラゴンですよ⁉怖がらない方が珍しいですって!』
『俺は怖くねぇぞ。まぁ、同じ種族だからかもしれんがな』
「そういえばラディウスの故郷ってここで合ってるの?
岩場はあるみたいだけど」
『…………ここだ』
「本当⁉よかった!どこに置いたらいい?」
ルンルンでラディウスを降ろそうと手を伸ばすと避けられてしまった。
思いもしなかった行動をとられて固まる。
『あのな、俺にも決まった寝床があったんだ。
そこまで連れてってもらえるか?』
「いいけど、どこ?」
『ホワイトドラゴンの住処の近く』
「なんでそんな所に住んでたの⁉」
迫るように尋ねるとラディウスはボンボン飛び跳ねた。
少し怒っているみたいだ。
『アイツの食べ残しを狙ってたんだよ!メシ探すの面倒だったからな!』
「だからってそこに住むの⁉ホワイトドラゴンって、縄張り意識?が強かったんだよね?」
『当然アイツの留守狙いだ!真正面から挑むわけねぇだろ!!』
なぜかラディウスがムキになっている。住処である山にいるからだろうか。
もしかしたらさっきのワイバーンを見て何か思うことがあったのかもしれない。
『じゃーラディウスさん、そこまで案内できますよね?』
『それぐらいしてやるよ!ひとまずホワイトドラゴンの住処まで行くからな!』
「なんで?」
『なんでですか?』
私とテネルから同時に尋ねられてラディウスは少し固まったが、いつもより高く飛び跳ねると怒ったように低声で話しだした。
『記憶が曖昧なんだよ!ホワイトドラゴンの住処に行けば方角がわかるからな!』
『あー、方向音痴なんですね』
『方向音痴じゃねぇ!ここが複雑なだけなんだよ!』
確かに分かれ道も多いし、ラディウスは方向音痴ではないと思う。
またワイバーンに見つからないようにラディウスとテネルに空を見てもらいながら素早く移動した。
進むにつれて急な坂道が多くなり、何度も休憩しながら進む。やがて高い岩に囲まれた広い場所に出たが、行き止まりでこれ以上は進めない。
中央に大きな窪みがあるし、ホワイトドラゴンの住処なのだろうか。
「はー疲れた。ここホワイトドラゴンの住処かな?」
『そうだ』
「どこ行ったらいいの?」
『悪い、まだよくわからねぇから1周してくれ』
言われた通りグルリと1周してみると端の方の岩陰に隠すようにして巨大な氷塊があった。
立ち止まって目を凝らしてみたが、表面は白く中までは見えない。
「こんな所に氷?なんで?」
『ずいぶん大っきいですねー』
首を傾げる。リル村の村長さんは何もないと言っていたはずだ。嘘をつかれたのだろうか。
氷は息をのむほど美しいのだが、やっぱり不思議な点がある。
「それにあまり溶けてないね。凍ってから時間が経ってないのかな?」
『シーラちゃん、コレは――』
すると突然ラディウスの体が光に包まれて、玉のようなものが飛び出した。
白いぬいぐるみが抜け殻のように私の肩から落ちて地面に転がる。
「え?ラディウス?」
『やっと……やっとだ……』
戸惑っている間に、玉のようなものは氷塊に吸い込まれていった。
1
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
【完結】『サヨナラ』そう呟き、崖から身を投げようとする私の手を誰かに引かれました。
仰木 あん
ファンタジー
継母に苛められ、義理の妹には全てを取り上げられる。
実の父にも蔑まれ、生きる希望を失ったアメリアは、家を抜け出し、海へと向かう。
たどり着いた崖から身を投げようとするアメリアは、見知らぬ人物に手を引かれ、一命を取り留める。
そんなところから、彼女の運命は好転をし始める。
そんなお話。
フィクションです。
名前、団体、関係ありません。
設定はゆるいと思われます。
ハッピーなエンドに向かっております。
12、13、14、15話は【胸糞展開】になっておりますのでご注意下さい。
登場人物
アメリア=フュルスト;主人公…二十一歳
キース=エネロワ;公爵…二十四歳
マリア=エネロワ;キースの娘…五歳
オリビエ=フュルスト;アメリアの実父
ソフィア;アメリアの義理の妹二十歳
エリザベス;アメリアの継母
ステルベン=ギネリン;王国の王
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる