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第1章 勘当旅編
8話 お手伝いでお金稼ぎ
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翌朝、起床した私はベッドの上で唸っていた。長期の滞在で銀貨が6枚しか残っていないのだ。
これからどうなるのか全くわからないので10枚を下回るのは
危険だと思う。
「さすがにこのまま船に乗るのはマズいよね……。
船に乗るのにお金取られるかもしれないのに」
『ハハハッ!6枚キッカリだったら笑うよな!』
「笑いごとじゃないよ!
でもお金ってどうやってもらうんだろう?」
お小遣いは父から貰っていた。無限に出てくる物ではないことは知っているがそれだけで、
手に入れる方法がわからない。
『俺は知らんぞ』
「そっか。おじいさんに聞いてみよっか?」
もはや相談相手になってしまっている。
パンを1つ食べて、おじいさんのところに行くと白髪頭の女性と楽しそうに話していた。お友達みたいだ。
お話が終わって別れたのを見計らっておじいさんに声をかける。
「おはようございます」
「おや、おはよう。何か用事かい?」
「はい。聞きたいことがあって。
お、お金ってどうやったら貰えるんですか?」
「…………………………」
おじいさんは眉をひそめて口を閉じてしまった。やっぱり個人の問題だし
尋ねたことを後悔する。ラディウスもポツリと呟いた。
『じいさんも商売人だからな。聞かない方がよかったんじゃないか?』
「すみません、やっぱり聞かなかったことに――」
「お金は仕事の対価で支払われることが多い。
この町は裕福な人が多いけど、けっこうお金に困っている人はいるんだ。
だから酒場で時々お手伝いの募集が出てるんだよ」
「酒場……」
また名前を聞くことになるとは思わなかった。正直、苦手な場所なので行きたくないがワガママを言っている場合ではない。
私の様子を見ていたおじいさんは何かを閃いたようで
微笑むと声をかけてくる。
「そうだ、少し待ってくれるかな?」
小走りで外に出て行った。少ししてさっきのお友達を連れて戻ってくる。
彼女は私を見ると駆け寄って口を開いた。
「初めまして、私はアランよ」
「は、はじめまして。シーラと言います」
「シーラさんね。あなた、お手伝いをしてみたいって?
よかったら家の掃除を手伝ってもらえないかしら?」
「ぜ、ぜひお願いします!」
理解が追いついていないが頭を下げた。
するとラディウスが耳打ちしてくる。
『じいさんが気ぃきかせてくれたんだな。よかったじゃねぇか』
「アランさんについていきなさい」
「はい!ありがとうございます。
あと、言いにくいこと聞いてしまってごめんなさい」
おじいさんの返事はもらえなかったが、微笑んでいた。
許してはくれているのだろうけど、念のため戻ってきたらもう1度謝っておこうと思う。
アランさんの家は町の端っこにあった。小さな庭付きの平屋で資産があることが伺える。
居間に通された。ここだけでもじゅうぶん広いのに、家の大きさからするとまだあるだろう。
「広いけど私1人しか住んでないのよ」
「そうなんですね……」
『うまいこといけば住まわせてもらえるかもな』
笑顔で頷きながらラディウスを軽く握った。今の私にそんな余裕はない。
ラディウスを故郷に連れて行くという目的があるのだから。
「そうなのよ。だいぶ年だし、掃除が大変になっちゃってねぇ。
とりあえずの床を掃いてもらえるかしら?」
「わ、わかりました」
「わからないことがあったら聞いてちょうだいね。台所にいるから」
「はい!」
ホウキを受け取ってさっそく廊下を掃き始める。軽くホウキをすべらせただけでもホコリが舞った。なかなか掃除できていなかったようだ。
『ゲホッ。けっこうホコリ溜まってんな――ハックション!!』
「クシャミするんだ……」
『しちゃ悪いか⁉五感はあるって言っただろ⁉』
自分で作ったのにますます仕組みがわからないが、魂が乗り移った影響だろうか。
「でも、掃除頑張ったらお小遣い貰えるから頑張るよ!」
『ガンバレガンバレ――ヘックション!!』
私は自分とラディウスのクシャミの音楽を聞きながら、無事に掃除を終わらせた。
台所に戻るとアランさんがお茶を出してくれる。革のイスに腰かけて
さっそくいただく。スッキリとしたハーブが鼻を抜けた。
「ありがとうございます。掃除、終わりました……」
「ご苦労様でした。とても助かったわ。ありがとう
これ、お礼よ」
アランさんはそう言って銀貨を5枚も私の手に握らせてくれた。
しかし明らかに貰いすぎなので慌てて声をかける。
「こ、こんなに貰っていいんですか⁉」
「ええ。シーラさん、あなた、大陸を渡りたいんでしょう?
キールさんから聞いたのよ」
「そ、そうだったんですか?」
確かに大陸に興味は示したものの渡るなんて一言も言っていないが、
彼にはバレていたらしい。
「そうよ。自分でもお金は使っているのだけど、親が遺した量が多くてね。
せっかくだからあなたに使ってほしいのよ」
『もう少しねだってみたらどうだ?』
再びラディウスを軽く握る。そんな図々しいことはできない。
アランさんに何度もお礼を言って帰路についた。
宿屋に戻るとおじいさん――キールさんが出迎えてくれる。
「お疲れ様。どうだったかな?」
「いろいろ勉強になりました。
ありがとうございました!」
「それはよかった。今回はアランさんのお手伝いがあったからよかった
けど、次からは自分で探すんだよ」
「はい!本当にありがとうございました!」
「そう言えば今日はまだ料金を貰っていないけど、泊まらないのかい?」
「ノレトスに行こうと思うので!」
元気よく答えるとキールさんは少し目を伏せた。
「そうかい。まだ日は高いけど、今から行くなら休まずに歩いて
夜になるかならないか辺りに着くと思うよ」
「あ、ありがとうございます……?」
首を少し傾げてお礼を言う。宿屋の主人と客という関係にも関わらず、
キールさんはいろいろ助けてくれた。こんなも親切にしてくれるなんて何か理由があるに違いない。
尋ねてみることにする。
「キールさん、どうして私のことをこんなに助けてくれたんですか?」
「……老婆心。君はまだ若い。それなのに1人で旅をしている。
余計なお世話とは思ったんだが、どうも抑えられなくてね」
「とんでもないです!キールさんが助けてくれなかったら、
私、倒れてたと思います!」
『ハハハハ!確かにな!』
笑っているラディウスをスルーしてキールさんの言葉を待つ。
彼はどこか満足そうに微笑んで口を開いた。
「役に立てたのならよかった。
さあ、行っておいで。夜になってしまうよ」
「本当にお世話になりました!帰ってきたらまた寄りますね!
行ってきまーす!」
キールさんに大きく手を降ると宿屋を後にした。
所持通貨 銀貨11枚 食料 パン3つ
これからどうなるのか全くわからないので10枚を下回るのは
危険だと思う。
「さすがにこのまま船に乗るのはマズいよね……。
船に乗るのにお金取られるかもしれないのに」
『ハハハッ!6枚キッカリだったら笑うよな!』
「笑いごとじゃないよ!
でもお金ってどうやってもらうんだろう?」
お小遣いは父から貰っていた。無限に出てくる物ではないことは知っているがそれだけで、
手に入れる方法がわからない。
『俺は知らんぞ』
「そっか。おじいさんに聞いてみよっか?」
もはや相談相手になってしまっている。
パンを1つ食べて、おじいさんのところに行くと白髪頭の女性と楽しそうに話していた。お友達みたいだ。
お話が終わって別れたのを見計らっておじいさんに声をかける。
「おはようございます」
「おや、おはよう。何か用事かい?」
「はい。聞きたいことがあって。
お、お金ってどうやったら貰えるんですか?」
「…………………………」
おじいさんは眉をひそめて口を閉じてしまった。やっぱり個人の問題だし
尋ねたことを後悔する。ラディウスもポツリと呟いた。
『じいさんも商売人だからな。聞かない方がよかったんじゃないか?』
「すみません、やっぱり聞かなかったことに――」
「お金は仕事の対価で支払われることが多い。
この町は裕福な人が多いけど、けっこうお金に困っている人はいるんだ。
だから酒場で時々お手伝いの募集が出てるんだよ」
「酒場……」
また名前を聞くことになるとは思わなかった。正直、苦手な場所なので行きたくないがワガママを言っている場合ではない。
私の様子を見ていたおじいさんは何かを閃いたようで
微笑むと声をかけてくる。
「そうだ、少し待ってくれるかな?」
小走りで外に出て行った。少ししてさっきのお友達を連れて戻ってくる。
彼女は私を見ると駆け寄って口を開いた。
「初めまして、私はアランよ」
「は、はじめまして。シーラと言います」
「シーラさんね。あなた、お手伝いをしてみたいって?
よかったら家の掃除を手伝ってもらえないかしら?」
「ぜ、ぜひお願いします!」
理解が追いついていないが頭を下げた。
するとラディウスが耳打ちしてくる。
『じいさんが気ぃきかせてくれたんだな。よかったじゃねぇか』
「アランさんについていきなさい」
「はい!ありがとうございます。
あと、言いにくいこと聞いてしまってごめんなさい」
おじいさんの返事はもらえなかったが、微笑んでいた。
許してはくれているのだろうけど、念のため戻ってきたらもう1度謝っておこうと思う。
アランさんの家は町の端っこにあった。小さな庭付きの平屋で資産があることが伺える。
居間に通された。ここだけでもじゅうぶん広いのに、家の大きさからするとまだあるだろう。
「広いけど私1人しか住んでないのよ」
「そうなんですね……」
『うまいこといけば住まわせてもらえるかもな』
笑顔で頷きながらラディウスを軽く握った。今の私にそんな余裕はない。
ラディウスを故郷に連れて行くという目的があるのだから。
「そうなのよ。だいぶ年だし、掃除が大変になっちゃってねぇ。
とりあえずの床を掃いてもらえるかしら?」
「わ、わかりました」
「わからないことがあったら聞いてちょうだいね。台所にいるから」
「はい!」
ホウキを受け取ってさっそく廊下を掃き始める。軽くホウキをすべらせただけでもホコリが舞った。なかなか掃除できていなかったようだ。
『ゲホッ。けっこうホコリ溜まってんな――ハックション!!』
「クシャミするんだ……」
『しちゃ悪いか⁉五感はあるって言っただろ⁉』
自分で作ったのにますます仕組みがわからないが、魂が乗り移った影響だろうか。
「でも、掃除頑張ったらお小遣い貰えるから頑張るよ!」
『ガンバレガンバレ――ヘックション!!』
私は自分とラディウスのクシャミの音楽を聞きながら、無事に掃除を終わらせた。
台所に戻るとアランさんがお茶を出してくれる。革のイスに腰かけて
さっそくいただく。スッキリとしたハーブが鼻を抜けた。
「ありがとうございます。掃除、終わりました……」
「ご苦労様でした。とても助かったわ。ありがとう
これ、お礼よ」
アランさんはそう言って銀貨を5枚も私の手に握らせてくれた。
しかし明らかに貰いすぎなので慌てて声をかける。
「こ、こんなに貰っていいんですか⁉」
「ええ。シーラさん、あなた、大陸を渡りたいんでしょう?
キールさんから聞いたのよ」
「そ、そうだったんですか?」
確かに大陸に興味は示したものの渡るなんて一言も言っていないが、
彼にはバレていたらしい。
「そうよ。自分でもお金は使っているのだけど、親が遺した量が多くてね。
せっかくだからあなたに使ってほしいのよ」
『もう少しねだってみたらどうだ?』
再びラディウスを軽く握る。そんな図々しいことはできない。
アランさんに何度もお礼を言って帰路についた。
宿屋に戻るとおじいさん――キールさんが出迎えてくれる。
「お疲れ様。どうだったかな?」
「いろいろ勉強になりました。
ありがとうございました!」
「それはよかった。今回はアランさんのお手伝いがあったからよかった
けど、次からは自分で探すんだよ」
「はい!本当にありがとうございました!」
「そう言えば今日はまだ料金を貰っていないけど、泊まらないのかい?」
「ノレトスに行こうと思うので!」
元気よく答えるとキールさんは少し目を伏せた。
「そうかい。まだ日は高いけど、今から行くなら休まずに歩いて
夜になるかならないか辺りに着くと思うよ」
「あ、ありがとうございます……?」
首を少し傾げてお礼を言う。宿屋の主人と客という関係にも関わらず、
キールさんはいろいろ助けてくれた。こんなも親切にしてくれるなんて何か理由があるに違いない。
尋ねてみることにする。
「キールさん、どうして私のことをこんなに助けてくれたんですか?」
「……老婆心。君はまだ若い。それなのに1人で旅をしている。
余計なお世話とは思ったんだが、どうも抑えられなくてね」
「とんでもないです!キールさんが助けてくれなかったら、
私、倒れてたと思います!」
『ハハハハ!確かにな!』
笑っているラディウスをスルーしてキールさんの言葉を待つ。
彼はどこか満足そうに微笑んで口を開いた。
「役に立てたのならよかった。
さあ、行っておいで。夜になってしまうよ」
「本当にお世話になりました!帰ってきたらまた寄りますね!
行ってきまーす!」
キールさんに大きく手を降ると宿屋を後にした。
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