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64話 ディオン視点
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今までライオスの思い通りに動かされ、その結果ルドロス国がライオスのモノになろうとしている。
この国の切札と呼ばれる金色の杖の力が大きいようで……ディオンは信じられなかった。
粉々になったと報告したのが嘘だったのか。
それでも森の方向で感じた膨大な魔力は本物で、理解できないディオンが叫ぶ。
「馬鹿な……その杖は壊れたのではないのか!?」
「ラーゴアに使わせていたのは似たような力を持つ贋作です……そして、この杖が本物でした」
そう言うと、賢者ラーゴアが楽し気に叫ぶ。
「贋作でもあの杖の力は凄まじく、もう不要となったエレナを倒す予定でした……まさか受け流されるとは!!」
「受け流す手段をとられましたが、贋作よりも遙かに強いこの杖は受け流せすことはできません。いい収穫でしたよ」
ラーゴアとライオスが喜んでいた理由は、対策を知ったことで勝てると断言したからか。
悔しさと憎しみから歯を軋ませているディオンに対して、見下しながらライオスが告げる。
「自我の強い者には杖による洗脳が効きません……ルドロス陛下、貴方の息子はディオン殿下のみです。この意味が解りますか?」
「貴様……まさか、息子達を殺したというのか!?」
激高する父ルドロス王に対して、ライオスは楽しげに頷き。
「はい。私の計画に不要でしたから、杖の糧になってもらいました……陛下も王子達と同じ道を辿るのです」
「なに……ま、待て!?」
ルドロス王が焦るも、ライオスが杖を眉間に当てて。
「――杖に魔力と、憎しみと殺意を与えてください」
そう言って杖の先端をルドロス王に突き刺し……ルドロス王の肉体が、吸い込まれるように杖の中に取り込まれていく。
肉体が小さくなって杖の中に入っていくように消えていき……ルドロス王が居た場所には、何も残っていない。
元々魔力と意志を吸収する魔道具だ。
それを使いこなすことによって、杖を当てれば肉体ごと吸収することができるのだと、この場で証明してくる。
「信頼が強くなれば強くなるほど、裏切られた時の効力が増すものです……さて、次はディオン殿下、貴方の番ですね」
この杖の力によって、聖域の代わりも出来ていたのだと推測することができている。
兄弟、そして父ルドロス王が消えた今――これが最期の時だと理解したディオンは、笑みを浮かべていた。
この国の切札と呼ばれる金色の杖の力が大きいようで……ディオンは信じられなかった。
粉々になったと報告したのが嘘だったのか。
それでも森の方向で感じた膨大な魔力は本物で、理解できないディオンが叫ぶ。
「馬鹿な……その杖は壊れたのではないのか!?」
「ラーゴアに使わせていたのは似たような力を持つ贋作です……そして、この杖が本物でした」
そう言うと、賢者ラーゴアが楽し気に叫ぶ。
「贋作でもあの杖の力は凄まじく、もう不要となったエレナを倒す予定でした……まさか受け流されるとは!!」
「受け流す手段をとられましたが、贋作よりも遙かに強いこの杖は受け流せすことはできません。いい収穫でしたよ」
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悔しさと憎しみから歯を軋ませているディオンに対して、見下しながらライオスが告げる。
「自我の強い者には杖による洗脳が効きません……ルドロス陛下、貴方の息子はディオン殿下のみです。この意味が解りますか?」
「貴様……まさか、息子達を殺したというのか!?」
激高する父ルドロス王に対して、ライオスは楽しげに頷き。
「はい。私の計画に不要でしたから、杖の糧になってもらいました……陛下も王子達と同じ道を辿るのです」
「なに……ま、待て!?」
ルドロス王が焦るも、ライオスが杖を眉間に当てて。
「――杖に魔力と、憎しみと殺意を与えてください」
そう言って杖の先端をルドロス王に突き刺し……ルドロス王の肉体が、吸い込まれるように杖の中に取り込まれていく。
肉体が小さくなって杖の中に入っていくように消えていき……ルドロス王が居た場所には、何も残っていない。
元々魔力と意志を吸収する魔道具だ。
それを使いこなすことによって、杖を当てれば肉体ごと吸収することができるのだと、この場で証明してくる。
「信頼が強くなれば強くなるほど、裏切られた時の効力が増すものです……さて、次はディオン殿下、貴方の番ですね」
この杖の力によって、聖域の代わりも出来ていたのだと推測することができている。
兄弟、そして父ルドロス王が消えた今――これが最期の時だと理解したディオンは、笑みを浮かべていた。
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