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32話

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 私は森の中なら誰が来ても問題ないと考えているけれど、森の外になると膨大な力が使えない。

 森の中だと転移魔法の力を受けてしまう騎士隊と暗躍部隊の合同チームは、食材の買物、情報収集のために森の外に出ているウォルフとズビアのどちらかを捕らえようとしている。

「エレナ様が契約していますし、ウォルフとズビアなら問題ありませんね」

 ハロルドがそう告げるのは、あの2人が誰かにやられる姿を想像できないからでしょう。

 この森の長……力が強いウォルフと、魔力が凄いズビアに、私が契約することで更に力をつけている。

 森で暮らし始めた時――真っ先に黒兎のズビアが、契約獣にして欲しいと頼み込んできた。

 誰も居なくて寂しかったこともあり、私はズビアと契約して……私が森を支配しに来たのかを探ろうとしていたことを知る。

 結局、私がただこの森で生活したいとズビアが理解すると、森の長をしている白虎のウォルフを紹介してくれて……私がこの森で一番強いから忠誠を誓いたいって言ってたっけ。

 森を支配するつもりなら抗う気で契約してきた黒兎ズビアと、強さを認めて契約した白虎のウォルフ。

 私が契約したことで強化されて、人型の姿にもなることができている2人を倒すことはできないはずだ。

 それでも絶対ではない……屋敷内には入れないと考えていたのに、侵入を許してしまったこともある。

「ハロルドの言うとおり、問題はなさそうね……今回は一切侮っていないもの」

 暗躍部隊の襲撃を受けた時は、ズビアとウォルフを警護のために屋敷で待機させていなかった。

 王の間では暗躍部隊が動くことを知っていたのに、私達は余裕を持ってしまったからこそ、追い詰められている。

 そのことを反省して……今回は王の間で聞いた上で、対策を立てている。

 そしてウォルフとズビアは強く、隙がない以上……私とハロルドは大丈夫だと確信していた。
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