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27話 ディオン視点
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敗走した暗躍部隊の報告を王の間で聞き、ディオンは呆然とするしかなかった。
それは父であるルドロス王も同じようで、全身を震えさせながら。
「ば、馬鹿な……騎士隊の犠牲から対策を立てた暗躍部隊でも、失敗しただと……」
敷地内の侵入を遮断する結界。
視認しただけで森の端まで飛ばす転移魔法。
エレナの扱う力はとてつもなく、まだ何か対処する方法があるかもしれない。
それでも……まだ何かエレナに使える魔法があったとしても、毒の武器で一瞬で意識を奪えば問題ないと考えていた。
実際、転移魔法と結界魔法を突破することには成功するも、あと一歩のところで邪魔が入ってしまう。
今までルドロス国を支えてきた最高戦力の暗躍部隊が倒されたことに絶望しながらも、ディオンは言わなければならいことがある。
「父上……リーノはもう限界が迫っています」
報告を聞く限り、リーノは必死に聖女としての役割を果たそうとしている。
まだルドロス国が無事なのは新聖女リーノの力によるもので、早急にエレナを連れ戻さなければルドロス国は終わる。
「ライオス、これからどうすればいい!?」
ルドロス王が宰相ライオスに向かって叫んだのは、まだライオスの表情に焦りが見えなかったから。
まだ何か策があると確信して尋ねるも、もう騎士隊と暗躍部隊が使えないのならどうしようもないはず。
それなのに……ライオスの表情には余裕があって、淡々と告げる。
「エレナを捕える方法は、まだあります」
そう断言するも、ルドロス王は歯を軋ませながら呟く。
「ライオスよ……貴様は二度、失敗しているのだぞ?」
「それなら、止めておきましょうか?」
「ぐっっ……」
ライオスの策は2度失敗しているも、エレナを追い詰めていたのは事実だ。
そのライオスが諦めていないのなら、ルドロス王は頼るしかない。
「いや……教えてくれ」
止めればこの国が滅ぶ以上、ライオスの策に頼るしかなかった。
それは父であるルドロス王も同じようで、全身を震えさせながら。
「ば、馬鹿な……騎士隊の犠牲から対策を立てた暗躍部隊でも、失敗しただと……」
敷地内の侵入を遮断する結界。
視認しただけで森の端まで飛ばす転移魔法。
エレナの扱う力はとてつもなく、まだ何か対処する方法があるかもしれない。
それでも……まだ何かエレナに使える魔法があったとしても、毒の武器で一瞬で意識を奪えば問題ないと考えていた。
実際、転移魔法と結界魔法を突破することには成功するも、あと一歩のところで邪魔が入ってしまう。
今までルドロス国を支えてきた最高戦力の暗躍部隊が倒されたことに絶望しながらも、ディオンは言わなければならいことがある。
「父上……リーノはもう限界が迫っています」
報告を聞く限り、リーノは必死に聖女としての役割を果たそうとしている。
まだルドロス国が無事なのは新聖女リーノの力によるもので、早急にエレナを連れ戻さなければルドロス国は終わる。
「ライオス、これからどうすればいい!?」
ルドロス王が宰相ライオスに向かって叫んだのは、まだライオスの表情に焦りが見えなかったから。
まだ何か策があると確信して尋ねるも、もう騎士隊と暗躍部隊が使えないのならどうしようもないはず。
それなのに……ライオスの表情には余裕があって、淡々と告げる。
「エレナを捕える方法は、まだあります」
そう断言するも、ルドロス王は歯を軋ませながら呟く。
「ライオスよ……貴様は二度、失敗しているのだぞ?」
「それなら、止めておきましょうか?」
「ぐっっ……」
ライオスの策は2度失敗しているも、エレナを追い詰めていたのは事実だ。
そのライオスが諦めていないのなら、ルドロス王は頼るしかない。
「いや……教えてくれ」
止めればこの国が滅ぶ以上、ライオスの策に頼るしかなかった。
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