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5話

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 私はルドロス国に住んでいるから、3年前の時点では国の力になろうと思っていた。

 3年前――王都からやって来た使者に聖女になって欲しいと頼まれて、私はこの森を離れることにしていた。

 それをハロルドに伝えた時の返答は「強くなります!」だった気がするけど、あの時から騎士を目指したのだろうか?

 聖女して3年間問題なく過ごしていたのに、問題が起きなかったせいか、私は必要ないと言われてしまう。

 私としては、あんな態度になったルドロス国に協力する気は一切無くなっている。

 聖女となった3年間……昨日の話が主だったけど、私は一通りハロルドに話して。

「愚痴になっちゃったわね……ごめんなさい」

 ようやく冷静になれた私は頭を下げると、ハロルドは慌てた様子で。

「そんな! むしろ聖女となった3年間の話が聞けてよかったです!」

 そう言ってくれたことに安堵するしかない……ハロルドが居てくれて良かった。

 ハロルドは困惑した表情を浮かべたのが気になっていると、私に尋ねる。

「新聖女のリーノはただのお飾りですか……加護の力を失って、この国はどうなるのでしょうか?」

「それはルドロス国が考えることだから、ただの平民に戻った私には関係がないわ」

 忠告した上で拒み、私も二度と聖女になることはないとあの場で断言した。

 これからルドロス国は大変になるけど、この森に被害が出ることは絶対にない。 

 これから私を聖女に戻そう考え、この家にルドロス陛下の命令で誰かが来たとしても……対処する方法は幾らでもある。

 私の発言を聞いて、ハロルドが不満げになっているのが気になってしまう。

「ハロルド、どうしたの?」

 さっきの発言で失望させてしまったのかもしれないと、少し不安になった私は尋ねることにしていた。

 ハロルドは両手を強く握りしめて、テーブルを睨んで告げる。

「はい……聖女として最善を尽くしたエレナさんがそんな目に合うだなんて、俺はルドロス国を許せません!」

 ハロルドは私ではなく、私を追い出したルドロス国に対して激怒している。

 その姿を見て――私以外の人が今の状況を聞いて怒ってくれたのが、とても嬉しかった。
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