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79話
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あれから私は飛行魔法を使って、ラッセル、ノーチスと共に最新の目撃地点に向かう。
クイムの時は尾行だから目立つ飛行魔法は使えなかったけど、今は向かうだけ。
目撃地点に到着して着地し……ノーチスが周囲を探索して、ラッセルは私の傍で守ってくれている。
これからフルディと再会することが不安になっていると、ラッセルが私の肩に触れて。
「……ミレイユ、大丈夫か?」
「えっ?」
「何か思い悩んでいそうだったからな……フルディは元婚約者で今は無関係、気にすることは何もない」
ラッセルはそう言ってくれるけど、私は首を左右に振って。
「それはわかってるけど……フルディがアイレスに利用されているのは、私が原因だとしか思えないわ……」
危険過ぎてフルディは妹に譲ったけど、それが原因でトールズ魔道具店が潰されようとしている。
「フルディとミラーナはどうでもいい……私のせいで、トールズ魔道具店が終わるかもしれないのが、何より嫌なの」
「ミレイユ……安心してくれ。フルディは俺達が倒す!」
倒す。
フルディもクイムのように、負ける時は存在が消える時でしょう。
問題はアイレス商会が冒険者ギルドを利用して、トールズ魔道具店を潰そうとしている点にある。
フルディが消えたとしても、トールズ魔道具店が全ての元凶と判断される可能性があって……そうなれば終わりだ。
アイレス商会が原因だとフルディに証明してもらうしかないけど、クイムのように消滅するのは目に見えている。
どうすればいいのか……考えても答えが出ないでいると、ノーチスの叫び声が耳を打つ。
「魔獣人だ!」
その叫びと同時に、ゆっくりと私達の元へ歩いてく人影があった。
「フルディ……」
「もう殿下とは呼んでくれないか。お前が幸せだった時、俺達は苦しんでいたぞ」
そんな発言はどうでもいい……問題はその見た目にある。
鬼人のような角を生やし、右腕は魚のヒレが幾つもついていて、足は豹のものらしい。
クイム達よりも奇抜で……それよりも、フルディから感じ取れる膨大な魔力に、私達は驚くしかない。
「最後の戦いを始めよう……俺が勝ったとしても負けたとしても、お前達は終わりだがな!」
どうやらフルディは事情を全て知っているようで、勝ち誇った笑みを浮かべている。
フルディの言うとおりかもしれない……それでも私は、この状況を打破しようと考えていた。
クイムの時は尾行だから目立つ飛行魔法は使えなかったけど、今は向かうだけ。
目撃地点に到着して着地し……ノーチスが周囲を探索して、ラッセルは私の傍で守ってくれている。
これからフルディと再会することが不安になっていると、ラッセルが私の肩に触れて。
「……ミレイユ、大丈夫か?」
「えっ?」
「何か思い悩んでいそうだったからな……フルディは元婚約者で今は無関係、気にすることは何もない」
ラッセルはそう言ってくれるけど、私は首を左右に振って。
「それはわかってるけど……フルディがアイレスに利用されているのは、私が原因だとしか思えないわ……」
危険過ぎてフルディは妹に譲ったけど、それが原因でトールズ魔道具店が潰されようとしている。
「フルディとミラーナはどうでもいい……私のせいで、トールズ魔道具店が終わるかもしれないのが、何より嫌なの」
「ミレイユ……安心してくれ。フルディは俺達が倒す!」
倒す。
フルディもクイムのように、負ける時は存在が消える時でしょう。
問題はアイレス商会が冒険者ギルドを利用して、トールズ魔道具店を潰そうとしている点にある。
フルディが消えたとしても、トールズ魔道具店が全ての元凶と判断される可能性があって……そうなれば終わりだ。
アイレス商会が原因だとフルディに証明してもらうしかないけど、クイムのように消滅するのは目に見えている。
どうすればいいのか……考えても答えが出ないでいると、ノーチスの叫び声が耳を打つ。
「魔獣人だ!」
その叫びと同時に、ゆっくりと私達の元へ歩いてく人影があった。
「フルディ……」
「もう殿下とは呼んでくれないか。お前が幸せだった時、俺達は苦しんでいたぞ」
そんな発言はどうでもいい……問題はその見た目にある。
鬼人のような角を生やし、右腕は魚のヒレが幾つもついていて、足は豹のものらしい。
クイム達よりも奇抜で……それよりも、フルディから感じ取れる膨大な魔力に、私達は驚くしかない。
「最後の戦いを始めよう……俺が勝ったとしても負けたとしても、お前達は終わりだがな!」
どうやらフルディは事情を全て知っているようで、勝ち誇った笑みを浮かべている。
フルディの言うとおりかもしれない……それでも私は、この状況を打破しようと考えていた。
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