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76話 フルディ視点
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数日後――フルディとミラーナは首輪をつけられ、魔獣人と化していた。
折の中に入れられているフルディは、同じ折に居るミラーナの肩を眺める。
鳥型モンスターのような翼……鳥人のように見えるも、モンスターの力を宿している化物だ。
「これが魔獣人、モンスターの力を得た、人間とは思えない化物……」
フルディの左腕は普通の人であるも、右腕は魚型のモンスターのように鋭いヒレが幾つもついていた。
こんな姿になれば、もう普通に生きてはいけない……これから一生、アイレス商会に頼ることとなる。
「この俺が、どうしてこんな目に……」
嘆きながら呟いていると、折の外からアイレスの声が響く。
「ミレイユと言う女のせいだ」
茫然と声がした方……アイレスを眺めていると、発言が続く。
「ミレイユがドルーダを抹殺できていれば、君が次の王になっていた……ミレイユが抵抗したからこそ、そんな目に合っている」
「ミレイユが、全て悪い……」
どう考えても悪いのはアイレスだと、頭の中ではわかっている。
それでも……つけられた首輪の効力か、アイレスの発言が全てだと思うようになっていた。
「トールズ魔道具店……ラッセルの魔道具は有名だから警戒していたが、まさか隣国で店を出すのは想定外だった」
急に語りだしたアイレスの発言を、フルディは黙って聞くしかない。
どうやらラッセルの魔道具店……トールズ魔道具店は、アイレスにとって非常に腹立たしい存在のようだ。
両手を握りしめて、苛立ちながらアイレスは告げる。
「立地が悪かったから冒険者達に気付かせないようにしたというのに、ミレイユの行動で結局繁盛してしまった……彼女は想定外だったな」
どうやらアイレスは、ラッセルとミレイユを警戒しているようだ。
そして利用できるものを全て利用することで、トールズ魔道具店を潰そうとしている。
最強の駒として魔獣人を作るために――人間のモンスター化、モンスターの人間化を行ったらしい。
結局モンスターは異種までが限界らしく、それでも人間と適合を可能とし――魔獣人は完成した。
「異種を作る魔道具も、魔獣人を作る魔道具の副産物だった……トールズ魔道具店に嫌がらせをしたけど、あまり効かなかったな」
そして次の手段として、フルディとミラーナを狙ったのだろう。
フルディ達を襲った盗賊達もアイレスが仕向けた可能性が高い……自作自演だとしても、今のフルディはアイレスを恨むことができなくなっている。
「ミラーナは失敗したが、フルディは完璧だ……これでトールズ魔道具店、ミレイユも終わりだな」
フルディの隣には、翼を生やしながら、何も言えなくなっているミラーナの姿があった。
まだ利用価値があるという発言が理解できないでいるも……その意味は、すぐに知ることとなっていた。
折の中に入れられているフルディは、同じ折に居るミラーナの肩を眺める。
鳥型モンスターのような翼……鳥人のように見えるも、モンスターの力を宿している化物だ。
「これが魔獣人、モンスターの力を得た、人間とは思えない化物……」
フルディの左腕は普通の人であるも、右腕は魚型のモンスターのように鋭いヒレが幾つもついていた。
こんな姿になれば、もう普通に生きてはいけない……これから一生、アイレス商会に頼ることとなる。
「この俺が、どうしてこんな目に……」
嘆きながら呟いていると、折の外からアイレスの声が響く。
「ミレイユと言う女のせいだ」
茫然と声がした方……アイレスを眺めていると、発言が続く。
「ミレイユがドルーダを抹殺できていれば、君が次の王になっていた……ミレイユが抵抗したからこそ、そんな目に合っている」
「ミレイユが、全て悪い……」
どう考えても悪いのはアイレスだと、頭の中ではわかっている。
それでも……つけられた首輪の効力か、アイレスの発言が全てだと思うようになっていた。
「トールズ魔道具店……ラッセルの魔道具は有名だから警戒していたが、まさか隣国で店を出すのは想定外だった」
急に語りだしたアイレスの発言を、フルディは黙って聞くしかない。
どうやらラッセルの魔道具店……トールズ魔道具店は、アイレスにとって非常に腹立たしい存在のようだ。
両手を握りしめて、苛立ちながらアイレスは告げる。
「立地が悪かったから冒険者達に気付かせないようにしたというのに、ミレイユの行動で結局繁盛してしまった……彼女は想定外だったな」
どうやらアイレスは、ラッセルとミレイユを警戒しているようだ。
そして利用できるものを全て利用することで、トールズ魔道具店を潰そうとしている。
最強の駒として魔獣人を作るために――人間のモンスター化、モンスターの人間化を行ったらしい。
結局モンスターは異種までが限界らしく、それでも人間と適合を可能とし――魔獣人は完成した。
「異種を作る魔道具も、魔獣人を作る魔道具の副産物だった……トールズ魔道具店に嫌がらせをしたけど、あまり効かなかったな」
そして次の手段として、フルディとミラーナを狙ったのだろう。
フルディ達を襲った盗賊達もアイレスが仕向けた可能性が高い……自作自演だとしても、今のフルディはアイレスを恨むことができなくなっている。
「ミラーナは失敗したが、フルディは完璧だ……これでトールズ魔道具店、ミレイユも終わりだな」
フルディの隣には、翼を生やしながら、何も言えなくなっているミラーナの姿があった。
まだ利用価値があるという発言が理解できないでいるも……その意味は、すぐに知ることとなっていた。
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