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23話
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その後、リバイスは楽しそうにしながら、私達に複数の書類を見せて。
「さて――これからは、商売の話をするとしよう」
書類の目を通すけど、大体船でラッセルから聞いていた通りだ。
この家の家賃は毎月支払いみたいで、ラッセルと私が持ってきた通貨があれば何も売れなかったとしても、生活しながら半年は持つ。
どうやらこの金額は相場通りで、リバイスは友人だから安くしているとかではなくて、友人だから色々と手続きをしてくれたらしい。
むしろ魔道具の取引は安くするよう言われて、ラッセルも納得している……これがリバイスの目的なのでしょう。
「ラッセルの魔道具作成能力は知っているが……店の経営は腕があったとしても、うまくいかないことが多い」
「もしラッセルの魔道具が売れなくても、私が周辺のモンスターを倒してくるわ」
リバイスには敬語はいらないと言われたから、私は普通に話している。
その発言を聞いて、リバイスはラッセルの肩を何度も叩き。
「聞いたか。なんて健気なんだ……お前「俺がミレイユを養う」とか自信ありげに言っていたのに、実際はこうか」
ラッセル、私が居ないところでそんなことを言っていたようね。
まさか言われるとは思っていなかったのか、ラッセルは顔を赤くしながらリバイスの手を弾き。
「い、いや! お前がうまくいかないとか言ったせいだよ……」
ラッセルが呆れていると、リバイスが私の前に立って手を伸ばし。
「都市フーラスは初めてだろ? 君がよければだが、これから私が色々と案内しようではないか」
「え、えっと……」
これからって、もう夕暮れなんだけど……
「リバイス!」
そう考えていると、ラッセルがリバイスに叫ぶ。
伸ばした手を横からラッセルが払って、リバイスは楽し気な表情で。
「冗談……いや、最初はお前をからかいたかっただけだが、冗談だと口にした時は否定したくなった」
「おい」
「これも冗談にしておいてくれ……ミレイユ。もしラッセルが嫌になったら、私の元にいつでも来て欲しい」
「そ、それも冗談だよな……」
「冗談さ」
ラッセルが唖然としながらも、手をあげてリバイスが爽やかに店から出て行く。
「あれがラッセルの個人的な友人……遠くの私達の国の事情を知っていたり、凄い人のようね」
「公爵家の次男だけど、認めた人には対等で接して欲しいらしい……色んな国を巡っていて、態々俺に会いに来て、話している内に仲良くなっていた」
話を聞く限りリバイスはフットワークが軽すぎる気がするけど、1人でも問題なく生きていけるだけの魔力を宿していた。
恐らくリバイスも私の魔力に気付いていたけど、だからこそ認められたのかもしれない。
「もし家賃が払えなくなったら……怖いわね」
「そうだな。その時は俺も一緒にモンスターを狩るよ」
冒険者にならなくても、モンスターを狩って素材を買取ってもらうことはできる。
リバイスの発言で成功するか不安になってしまうけど……私とラッセルなら、大丈夫のはずだ。
「さて――これからは、商売の話をするとしよう」
書類の目を通すけど、大体船でラッセルから聞いていた通りだ。
この家の家賃は毎月支払いみたいで、ラッセルと私が持ってきた通貨があれば何も売れなかったとしても、生活しながら半年は持つ。
どうやらこの金額は相場通りで、リバイスは友人だから安くしているとかではなくて、友人だから色々と手続きをしてくれたらしい。
むしろ魔道具の取引は安くするよう言われて、ラッセルも納得している……これがリバイスの目的なのでしょう。
「ラッセルの魔道具作成能力は知っているが……店の経営は腕があったとしても、うまくいかないことが多い」
「もしラッセルの魔道具が売れなくても、私が周辺のモンスターを倒してくるわ」
リバイスには敬語はいらないと言われたから、私は普通に話している。
その発言を聞いて、リバイスはラッセルの肩を何度も叩き。
「聞いたか。なんて健気なんだ……お前「俺がミレイユを養う」とか自信ありげに言っていたのに、実際はこうか」
ラッセル、私が居ないところでそんなことを言っていたようね。
まさか言われるとは思っていなかったのか、ラッセルは顔を赤くしながらリバイスの手を弾き。
「い、いや! お前がうまくいかないとか言ったせいだよ……」
ラッセルが呆れていると、リバイスが私の前に立って手を伸ばし。
「都市フーラスは初めてだろ? 君がよければだが、これから私が色々と案内しようではないか」
「え、えっと……」
これからって、もう夕暮れなんだけど……
「リバイス!」
そう考えていると、ラッセルがリバイスに叫ぶ。
伸ばした手を横からラッセルが払って、リバイスは楽し気な表情で。
「冗談……いや、最初はお前をからかいたかっただけだが、冗談だと口にした時は否定したくなった」
「おい」
「これも冗談にしておいてくれ……ミレイユ。もしラッセルが嫌になったら、私の元にいつでも来て欲しい」
「そ、それも冗談だよな……」
「冗談さ」
ラッセルが唖然としながらも、手をあげてリバイスが爽やかに店から出て行く。
「あれがラッセルの個人的な友人……遠くの私達の国の事情を知っていたり、凄い人のようね」
「公爵家の次男だけど、認めた人には対等で接して欲しいらしい……色んな国を巡っていて、態々俺に会いに来て、話している内に仲良くなっていた」
話を聞く限りリバイスはフットワークが軽すぎる気がするけど、1人でも問題なく生きていけるだけの魔力を宿していた。
恐らくリバイスも私の魔力に気付いていたけど、だからこそ認められたのかもしれない。
「もし家賃が払えなくなったら……怖いわね」
「そうだな。その時は俺も一緒にモンスターを狩るよ」
冒険者にならなくても、モンスターを狩って素材を買取ってもらうことはできる。
リバイスの発言で成功するか不安になってしまうけど……私とラッセルなら、大丈夫のはずだ。
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