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14話 王子視点

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 あれからフルディは勘当と国外追放を言い渡され、暗殺未遂のミラーナもマルーア家から勘当されることとなっていた。

 第一王子暗殺未遂でもマルーア家が没落しなかったのは、ドルーダの発言が大きかった。

 姉は行方不明になるも、その原因は家族にあり、後悔しながらもこれからの生活にミラーナの父と母は怯えるしかなく、今になってミレイユに対する発言を後悔している様子だ。

 もうミラーナにとっては関係なく、先に勘当されて玉座の間から出て行ったフルディを探していた。

「もう私には、フルディ殿下しか居ない……いいえ、フルディ殿下と一緒なら……」

 きっと準備をしているはずで、城を出る前に見つけないと全てが終わる。

 姉と違って何も準備していなかったミラーナは、必死になってフルディを探していた。

 × × ×

 呆然としながら、フルディは城の廊下を歩いていた。

「この、俺が……国外追放だと……」

 どうやらフルディは死んだことにするらしく、証拠があるから言い訳の余地がない。

 今まではミレイユに守られているようなもので、忠告を何度も聞いていたことを思い返す。

 そんな中――フルディにとっては他の女性より使えない女性程度にしか思えず、どうでもいいとすら考えていた。

 従順な妹ミラーナの方が遙かに使える……その選択によって、こんな目に合っている。

「ミレイユ……お前の忠告は正しかった。クソッ……」

 今更後悔しても遅いというのはわかっている。

 今までのことを思い返してから――フルディには疑問が浮かぶ。

「それにしても、兄上は我慢していた年月があまりにも長すぎる」

 王座の間で、ミレイユから妹のミラーナを婚約者にしたことで決意したと言っていた。

 それでも、最初にドルーダを失墜させようと女性を利用して行動にでたのは約4年前で、ミレイユが婚約者になる少し前のことだ。

 約4年もの間、実の弟に暗殺されそうになっているのを、我慢していた?

 それが信じられないでいると――フルディの目の前に、ドルーダの姿があった。

「兄上……」

 追ってきたということは、許してくれるのかもしれない。

 そう考えていたフルディは――腹部に受けた衝撃で蹲り、激痛で立ち上がることができず。

「ごほっっ……あ、兄上……」

「もう私とお前は兄弟という関係ではない。未だに助けてもらえるかもと考えているようだが、甘えるな」

 胸ぐらを捕まれて持ち上げられ……フルディは、兄ドルーダの双眸に恐怖するしかない。

 今までは人が多くて怒りを抑えていたようだけど、今は違う。

 完全に激高しているドルーダはフルディを投げ飛ばし、床に背を打ちつけて悶えるしかない。

「ぐぅっっ……」

「フルディ。貴様はなぜ、4年以上もの間、私が耐えることができたのかが気になっているのではないか?」

「っっ!?」

 いきなり心を見通したかのように話すドルーダに、フルディは恐怖が増していると。

「それを教えてやろうと思ってな……私は、ミレイユのことが好きだった」

 どうやらそれが、今までフルディを糾弾しなかった理由らしい。

「……なんだって?」

 王座の間でミレイユに免じて行動しなかったと言っていたのは、建前だとばかり思っていた。

 こうして対面している状況で、ドルーダがフルディに嘘をつくとは思えない。

 どうやら本心のようで……ドルーダはミレイユのことが好きになっていたという発言が、フルディには理解できなかった。
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