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番外編
7話
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森での騒動から翌日。冒険者ギルドの職員ホルトが、保護した魔獣フロスを連れて私の屋敷にやって来た。
ホルトは契約獣の発言は感情しかわからないけど、フロスが何か伝えたいことだけわかったらしい。
そしてジリクは契約獣の発言がわかるから、フロスの話を聞いて欲しいようだ。
ウルルもフロスの発言がわかるから、翻訳してもらえば私も知ることができる。
テーブルの上に乗ったフェレットのフロスは、慌てた様子で私達に事情を話す。
これから向かって欲しい場所があること、助けて欲しいことだけは私にも理解できた。
そしてジリクが、フロスの話していた内容を説明してくれる。
「まず、フロスは家族を人質にとられている」
「そんな……」
「そして家族の中で一番魔法を扱えるフロスを、マーカスの契約獣にした奴がいるようだ」
それは、私が森でマーカスを見て気になっていたことでもあった。
マーカスがフロスと契約するには、実力が全然足りていない。
その疑問は、マーカスよりも上の人がいたことで解ける。
「魔獣を捕獲して売っていたみたいだけど、その関係者かしら?」
「推測になるが、それしか考えられないな」
『昨日マーカスを逃がしたのも、そいつかもしれない』
本来なら、ウルルは魔力とにおいで逃げたマーカスの居場所を知ることができた。
それを想定していたようで、逃げたと同時に魔力とにおいをわからなくした人がいるようだ。
「フロスの家族が心配だ。今なら拘束魔法に長けたホルトもいるし、マーカスを捕えるべきだろう」
「はい。本来なら冒険者ギルドが対処しなければならない問題、私は全力で行動いたします!」
『僕も、フロスを助けたいよ』
「私も同じ気持ち……それなら今すぐ、マーカスの屋敷に行こう」
フロスを酷い目に合わせたことは、絶対に許せない。
話を聞いて、私達はマーカスの屋敷に向かおうとしていた。
◇◆◇
私とジリクはウルルに乗り、平原を駆けてマーカスの屋敷に向かっている。
ホルトはフロスと一緒に別行動で、私はジリクに聞いておきたい。
「ジリク……フロスの家族は、無事だと思う?」
「私達と交渉する方法はそれしかないはずだから、大丈夫だ」
マーカスは逃げ去った後は何が起きているか知らないから、フロスが私達の元にいないと思わせる。
人質として価値があるのかわからなくして、私達に意識が向いた間にホルトがフロスの家族を解放する予定だ。
まだ遠いけど屋敷が見えてきた時、ウルルが急に足を止める。
「ウルル、何かあったの?」
『……なにか、変な感覚がしたよ』
「えっ?」
『魔法で作られた結界の中に入ったと思う。どうやら、僕達をおびき寄せる罠だったようだ』
聖域で魔力が強化された大地の力を利用して結界を張り、ウルルを倒そうしている?
そう考えた時、平原の上空から数人の青年が落下して現れた。
上空には人を何人も乗せられそうな大きい鳥が飛んでいて、誰かの契約獣だと推測できる。
私達の前にいる白い剣を持った青年は――以前、私達と戦ったことのあるガデクだった。
ガデクは魔剣ルキスと呼んでいた剣を破壊された後、白い剣を持つことにしたらしい。
腰には別の白い剣を備えているけど、あれは前に使った逃亡用の魔道具だ。
鞘から抜くことで発光して目を暗ませてくるけど、昨日マーカスを助けるために使っていそう。
今まで聞いた話から全ての元凶と私は確信すると、ガデクが話す。
「よう。今後こそ神獣ウルルを狩らせてもらうぜ」
「ガデク……そして、ガデクの後ろにいる2人。空を飛ぶ巨大な鳥の契約獣に乗って1人。先々代の神獣を狩った仲間達か」
「紹介はしなくてよさそうだな。神獣の力量も昨日把握できたし、魔剣ゼアで魔剣ルキスの仇を討つ時がきたのさ」
ガデクが話している間、後ろにいる2人の魔法士は私達に向かって魔法による攻撃を繰り出す。
ウルルは魔法による魔力の障壁を発生させることで防いでいると、剣を手にしているガデクがウルルに迫る。
『うっ……攻撃の対処に精一杯で、反撃ができない』
「ガデクがいることは想像していなかった。距離をとろうにも結界を壊すのに時間がかかる」
結界は入った後、壊さない限り出ることができない。
ウルルの後ろには、見えない壁があるようなものだ。
ジリクと私は魔法を使い、ウルルを強化していく。
それが私達にできることでも、聖域を利用した結界のせいで効果が弱まっている。
ウルルは魔法士3人の魔法を魔法で防ぎ、ガデクの剣による攻撃は強化した肉体で弾いている。
敵は連携がとれていて、魔法士達の攻撃がガデクに当たることはない。
危険な状況で――ガデクは間違いなく、私とジリクの魔法も計算に入れて待っていた。
「この結界はウルルの力を弱める! 今までとは違う方法だからジリクの知識も無意味だ!」
「ウルルについて詳しく知ることができたからこそ、万全にして待ち構えていたということか」
膨大な魔力を使いウルルは攻撃を防ぐけど、魔力は急激に減っている。
どうすればいいのか考えて……私は、ガデク達を倒したいと明確な意志を持っていた。
今までの私は、人に向かって魔法を使うことに躊躇ってしまう。
攻撃魔法を使う適性がないと思っていたけど、ウルルを苦しめる人達は絶対に許せない。
強い意志を持ち――両手に、膨大な魔力が宿っていく感覚を受ける。
「ガデク。貴方達が備えていたように、私も備えていたわ」
私は今までと違い、授業で扱った魔法をイメージしてウルルの魔法を使おうとしていた。
授業で作ったことのある火球のように、手の平に魔力の球を作る。
それを前方に強く押し出すことを決意して、魔力を籠めた両手を前に突き出す。
ガデクの後方で魔法を繰り出している魔法士達は魔力の砲撃が直撃した後、意識を失い倒れていく。
私はウルルの魔法を使うことに成功して、予想外の攻撃を魔法士達は対処できなかったようだ。
「なっっ!? なんだそれは!?」
「ライラが今まで使ったことのある魔法を応用することで、ウルルの魔法が使えるようになったのか」
「ジリクがダナエルさまから話を聞いてくれて閃いたけど、成功してよかった」
万全の準備をしていたガデク達でも、私がウルルの魔法を使うことは予想外だったらしい。
膨大な魔力を使ってくらくらするけど、ジリクが支えてくれる。
魔力が回復する薬を飲ませてくれて、私は上空にも魔力の弾丸を繰り出した。
空を飛んでいた巨大な鳥の契約獣に直撃して、地面に落下していく。
支援を失ったガデクは、ウルルの魔法により追い詰められている。
魔剣ゼアと呼んでいた武器も砕けて、焦りながら腰に備えている白い剣を鞘から引き抜いた。
「クソッッ!! こうなったら――」
どうやらガデクは、また同じ方法で逃げるつもりのようだ。
白い剣が光り輝いて、剣の力で姿が見えなくなる。
即座にウルルが魔力による砲撃を前足から繰り出して、それが逃げようとしたガデクに直撃した。
「この前は万全じゃないから追えなかったけど、同じ手は食わないよ」
ガデクはウルルの対策を万全にしていたから、今回はにおいを消している。
それでも前回と同じように消えると考えていたから、ガデクが魔道具を使おうとした瞬間には攻撃を繰り出していた。
無防備な状態でウルルの魔法を受けたから、ガデクは意識を失い倒れている。
そして私達の元に、ホルトと連行されたマーカス、フロスとフロスの家族がやって来た。
「どうやらマーカスは、ガデクが全て対処すると考えていたようです」
そしてガデクが私達と戦闘になって、フロスがいないから人質にしなくていいと考えたらしい。
油断していた隙にホルトがフロスの家族を助けて、マーカスを捕えることに成功したようだ。
拘束魔法で縛られているマーカスは、倒れているガデク達を眺めて唖然としていた。
「そ、そんな……ガデクさまが、倒されるなんて――」
目の前の光景が信じられないのか、マーカスは泡を吹いて気絶している。
全身がずぶ濡れになっていたのは、フロスが水魔法で攻撃をした後のようだ。
肉体が弱っていた時に精神も弱ったようで、意識を保つことができなくなったらしいけど全て自業自得だ。
その後はホルトが、意識を失ったガデク達を捕らえている。
冒険者ギルドに連行した後、ガデク達は魔法が使えなくなる枷をつけて監獄送りになるらしい。
脱獄することは不可能と聞いているから、これで全てが解決していた。
ホルトは契約獣の発言は感情しかわからないけど、フロスが何か伝えたいことだけわかったらしい。
そしてジリクは契約獣の発言がわかるから、フロスの話を聞いて欲しいようだ。
ウルルもフロスの発言がわかるから、翻訳してもらえば私も知ることができる。
テーブルの上に乗ったフェレットのフロスは、慌てた様子で私達に事情を話す。
これから向かって欲しい場所があること、助けて欲しいことだけは私にも理解できた。
そしてジリクが、フロスの話していた内容を説明してくれる。
「まず、フロスは家族を人質にとられている」
「そんな……」
「そして家族の中で一番魔法を扱えるフロスを、マーカスの契約獣にした奴がいるようだ」
それは、私が森でマーカスを見て気になっていたことでもあった。
マーカスがフロスと契約するには、実力が全然足りていない。
その疑問は、マーカスよりも上の人がいたことで解ける。
「魔獣を捕獲して売っていたみたいだけど、その関係者かしら?」
「推測になるが、それしか考えられないな」
『昨日マーカスを逃がしたのも、そいつかもしれない』
本来なら、ウルルは魔力とにおいで逃げたマーカスの居場所を知ることができた。
それを想定していたようで、逃げたと同時に魔力とにおいをわからなくした人がいるようだ。
「フロスの家族が心配だ。今なら拘束魔法に長けたホルトもいるし、マーカスを捕えるべきだろう」
「はい。本来なら冒険者ギルドが対処しなければならない問題、私は全力で行動いたします!」
『僕も、フロスを助けたいよ』
「私も同じ気持ち……それなら今すぐ、マーカスの屋敷に行こう」
フロスを酷い目に合わせたことは、絶対に許せない。
話を聞いて、私達はマーカスの屋敷に向かおうとしていた。
◇◆◇
私とジリクはウルルに乗り、平原を駆けてマーカスの屋敷に向かっている。
ホルトはフロスと一緒に別行動で、私はジリクに聞いておきたい。
「ジリク……フロスの家族は、無事だと思う?」
「私達と交渉する方法はそれしかないはずだから、大丈夫だ」
マーカスは逃げ去った後は何が起きているか知らないから、フロスが私達の元にいないと思わせる。
人質として価値があるのかわからなくして、私達に意識が向いた間にホルトがフロスの家族を解放する予定だ。
まだ遠いけど屋敷が見えてきた時、ウルルが急に足を止める。
「ウルル、何かあったの?」
『……なにか、変な感覚がしたよ』
「えっ?」
『魔法で作られた結界の中に入ったと思う。どうやら、僕達をおびき寄せる罠だったようだ』
聖域で魔力が強化された大地の力を利用して結界を張り、ウルルを倒そうしている?
そう考えた時、平原の上空から数人の青年が落下して現れた。
上空には人を何人も乗せられそうな大きい鳥が飛んでいて、誰かの契約獣だと推測できる。
私達の前にいる白い剣を持った青年は――以前、私達と戦ったことのあるガデクだった。
ガデクは魔剣ルキスと呼んでいた剣を破壊された後、白い剣を持つことにしたらしい。
腰には別の白い剣を備えているけど、あれは前に使った逃亡用の魔道具だ。
鞘から抜くことで発光して目を暗ませてくるけど、昨日マーカスを助けるために使っていそう。
今まで聞いた話から全ての元凶と私は確信すると、ガデクが話す。
「よう。今後こそ神獣ウルルを狩らせてもらうぜ」
「ガデク……そして、ガデクの後ろにいる2人。空を飛ぶ巨大な鳥の契約獣に乗って1人。先々代の神獣を狩った仲間達か」
「紹介はしなくてよさそうだな。神獣の力量も昨日把握できたし、魔剣ゼアで魔剣ルキスの仇を討つ時がきたのさ」
ガデクが話している間、後ろにいる2人の魔法士は私達に向かって魔法による攻撃を繰り出す。
ウルルは魔法による魔力の障壁を発生させることで防いでいると、剣を手にしているガデクがウルルに迫る。
『うっ……攻撃の対処に精一杯で、反撃ができない』
「ガデクがいることは想像していなかった。距離をとろうにも結界を壊すのに時間がかかる」
結界は入った後、壊さない限り出ることができない。
ウルルの後ろには、見えない壁があるようなものだ。
ジリクと私は魔法を使い、ウルルを強化していく。
それが私達にできることでも、聖域を利用した結界のせいで効果が弱まっている。
ウルルは魔法士3人の魔法を魔法で防ぎ、ガデクの剣による攻撃は強化した肉体で弾いている。
敵は連携がとれていて、魔法士達の攻撃がガデクに当たることはない。
危険な状況で――ガデクは間違いなく、私とジリクの魔法も計算に入れて待っていた。
「この結界はウルルの力を弱める! 今までとは違う方法だからジリクの知識も無意味だ!」
「ウルルについて詳しく知ることができたからこそ、万全にして待ち構えていたということか」
膨大な魔力を使いウルルは攻撃を防ぐけど、魔力は急激に減っている。
どうすればいいのか考えて……私は、ガデク達を倒したいと明確な意志を持っていた。
今までの私は、人に向かって魔法を使うことに躊躇ってしまう。
攻撃魔法を使う適性がないと思っていたけど、ウルルを苦しめる人達は絶対に許せない。
強い意志を持ち――両手に、膨大な魔力が宿っていく感覚を受ける。
「ガデク。貴方達が備えていたように、私も備えていたわ」
私は今までと違い、授業で扱った魔法をイメージしてウルルの魔法を使おうとしていた。
授業で作ったことのある火球のように、手の平に魔力の球を作る。
それを前方に強く押し出すことを決意して、魔力を籠めた両手を前に突き出す。
ガデクの後方で魔法を繰り出している魔法士達は魔力の砲撃が直撃した後、意識を失い倒れていく。
私はウルルの魔法を使うことに成功して、予想外の攻撃を魔法士達は対処できなかったようだ。
「なっっ!? なんだそれは!?」
「ライラが今まで使ったことのある魔法を応用することで、ウルルの魔法が使えるようになったのか」
「ジリクがダナエルさまから話を聞いてくれて閃いたけど、成功してよかった」
万全の準備をしていたガデク達でも、私がウルルの魔法を使うことは予想外だったらしい。
膨大な魔力を使ってくらくらするけど、ジリクが支えてくれる。
魔力が回復する薬を飲ませてくれて、私は上空にも魔力の弾丸を繰り出した。
空を飛んでいた巨大な鳥の契約獣に直撃して、地面に落下していく。
支援を失ったガデクは、ウルルの魔法により追い詰められている。
魔剣ゼアと呼んでいた武器も砕けて、焦りながら腰に備えている白い剣を鞘から引き抜いた。
「クソッッ!! こうなったら――」
どうやらガデクは、また同じ方法で逃げるつもりのようだ。
白い剣が光り輝いて、剣の力で姿が見えなくなる。
即座にウルルが魔力による砲撃を前足から繰り出して、それが逃げようとしたガデクに直撃した。
「この前は万全じゃないから追えなかったけど、同じ手は食わないよ」
ガデクはウルルの対策を万全にしていたから、今回はにおいを消している。
それでも前回と同じように消えると考えていたから、ガデクが魔道具を使おうとした瞬間には攻撃を繰り出していた。
無防備な状態でウルルの魔法を受けたから、ガデクは意識を失い倒れている。
そして私達の元に、ホルトと連行されたマーカス、フロスとフロスの家族がやって来た。
「どうやらマーカスは、ガデクが全て対処すると考えていたようです」
そしてガデクが私達と戦闘になって、フロスがいないから人質にしなくていいと考えたらしい。
油断していた隙にホルトがフロスの家族を助けて、マーカスを捕えることに成功したようだ。
拘束魔法で縛られているマーカスは、倒れているガデク達を眺めて唖然としていた。
「そ、そんな……ガデクさまが、倒されるなんて――」
目の前の光景が信じられないのか、マーカスは泡を吹いて気絶している。
全身がずぶ濡れになっていたのは、フロスが水魔法で攻撃をした後のようだ。
肉体が弱っていた時に精神も弱ったようで、意識を保つことができなくなったらしいけど全て自業自得だ。
その後はホルトが、意識を失ったガデク達を捕らえている。
冒険者ギルドに連行した後、ガデク達は魔法が使えなくなる枷をつけて監獄送りになるらしい。
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