水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓

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32話

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 魚人の長メバトとの戦闘が終わり、数日が経っていた。

 戦闘後に馬車の中で倒れてしまったカムル達だけど、今は全快している。

 今は国内で戦闘後に何が起きたのか報告を聞き、部屋でカムルは私に話してくれた。

 どうやらサーシャの昏睡魔法は特殊のようで、昏睡した人の魔力や知識を奪えるらしい。

 水神の巫女が生まれた影響と推測できて、4属性もの魔法が扱えたのもそれが理由のようだ。

 元婚約者ラルフは私に対する憎悪と一緒に魔力を全てサーシャに奪われたから、何もできなくなっている。

 サーシャは魚人と契約した際に呪いを受けて魚人化を自由に使えていたようで、メバトがやられたと同時に消滅した。

 消滅したから推測になるけど、メバトとの契約が関わっていそうで、呪いが解けていないから魚人扱いとなり地上で亡くなると消滅したようだ。

 魚人達についてはルアノから報告があり、新しい魚人の長は契約魔法を使い、絶対に関わらないことを約束してくれた。

 そこまでしたくなったのは、契約後に魚人が関与しない限り私の方から何もしないと決めて欲しかったらしい。

 その気になれば私達が魚人を滅ぼせるだけの力があると、新しい魚人の長は考えたようだ。

 報告を聞き安心していると、カムルが私に話す。

「優位な場所のメバトはとんでもない強さだったが、リリカの水魔法なら問題なかったな」

「私の限界を超えられる強化水を、受け入れてくれたからこそです」

「それもそうか。ジェイクはギルドマスターとして、ルアノは呪いをかけたメバトに対する復讐……そして俺は、リリカのためなら受け入れることができた」

「カムル殿下、ありがとうございます」

 婚約者になってから、カムルは私と一緒にいてくれる。

 今回は数日寝込むことになってしまい、それでも笑顔を浮かべていた。

「今回は敵が強すぎたから、危険な目にあってでも倒す必要があった。これからもリリカは、何も気にしなくていい」

「わかりました。これからも私は、水魔法を使っていきます」

 カムルが傍にいてくれるから、私は前世の知識による水魔法を使える。

 それが嬉しくて、これからも私達は幸せに暮らせそうだ。
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