水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓

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31話

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 魚人の長であるメバトの力により、私は水魔法が何も使えない。

 更にサーシャはラルフの憎悪を利用してサハギンと契約することで、狂暴化させて私だけを狙うようにした。

 私の前にはカムル王子、ジェイク、ルアノがいて、メバトを迎え撃とうとしている。

「やはりルアノの言った通り、この場で私は役に立たないようです」

「ここまで予想していたからこそ、リリカの水魔法で倒すことができそうだ」

 そう言いカムルが複数の属性魔法を繰り出し、大量の魔法攻撃が飛び交う。

 圧倒的な威力によりサハギンを全て倒すことに成功して、唖然としているメバトの元にジェイクとルアノが迫った。

 メバトは魔力を籠めた手足で戦うようだけど、ジェイクとルアノは挟み込んで剣を振るう。

 湖の近くで有利なのはずのメバトが劣勢になり、今までの余裕を失ったようで叫び出す。

「馬鹿な!? 湖にいるオレと互角だと!?」

「驚いているのは私も同じだ。この状態で互角とはな」

「それでも問題ないでしょう。サハギンは全て倒し、サーシャという人もすでに倒しています」

「事前にリリカの水で強化したとしても、ここまで強くなれないだろ!? 何が起きている!?」

 メバトは何が起きているのか把握できているみたいで、サーシャは動揺した隙に接近したジェイクが気絶させている。

 動揺させるため、私はメバトに何が起きたのか教えることにした。

「メバトの言う通り、皆には私の強化する水を事前に飲んでもらいました……今日飲んでもらったのは、私の全力で作った強化する水です」

 イメージが大事ということで、徹夜した時に飲んだ栄養ドリンクをイメージしてから作ってみたら、とんでもない代物ができてしまった。

 飲んだ後どうなるのか、怖くて今まで試せなかったけど……もしイメージ通りなら、間違いなく限界を超えている。

 そしてその後は数日ぐらい倒れてしまう効果がありそうだけど、提案すると3人は迷うことなく馬車の移動中に飲んでくれた。

 戦闘の前に飲んでもらい、効力が発揮されているから魚人の力で無効化できない。

 メバトに全て話したのは、3人の攻撃を受けて追い詰められているから。

 どうやら私の水魔法を一瞬で打ち消せるようだけど、消すと意識する必要はあるらしい。

 追い詰められて私に意識を向けられなくなったからか、水の槍を発生させることができた。

「私が水神の巫女だとしても、この力はこれからも使っていきます」  

 全員の攻撃を受けて、魚人の長メバトは消滅していく。

 メバトは魚人の中でも規格外の強さのようだから、倒した後に他の魚人達が私を狙うことはないようだ。
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