26 / 32
26話
しおりを挟む
ルアノから話を聞き、その日の内に私達は城の広場にやって来た。
今後の方針は決めたけど、魚人の長メバトと戦闘になるのは間違いない。
元魚人の冒険者ルアノは、魚人化の呪いを解いたことで自由に魚人の姿になれる。
水魔法を無効化することもできるから、早急に私は試しておきたいことがあった。
カムル殿下が訓練場にいた人達に話すことで、人払いをしてもらう。
そこから前のイリスお母様のように土魔法で壁を作ってもらい、ルアノが四肢にヒレを生やし魚人となった。
「魚人の状態になれば、水魔法を無効化する力は問題なく使える。水魔法を試すと言ったが、消滅するというのに試すことがあるのか?」
「私の水魔法はイメージ通りになるようなので、消滅できない水魔法を繰り出せるかもしれません。ルアノはとにかく水魔法の攻撃を打ち消してください」
そう言って距離が離れている私は水魔法の槍を正面のルアノに向かって放つと、迫っている途中に空中で止まる。
数秒ほど硬直した後は昨日と同じように消滅して、カムルは気になったようだ。
「水の槍が止まり、数秒経つと消えたがリリカは何をした?」
「消滅する力を無効化する水魔法をイメージしてみましたけど、流石に無理みたいです」
「私が手を剥けて消すと意識した瞬間に止まったから、消滅するタイミングを知ることができたな」
性能が落ちて消費魔力も普段より多かったから出すことはできたけど、消滅の力を受けると動かすことができず数秒しか保たなかった。
ルアノの言う通りで、水魔法の無効化は手を向けて消すと意識した瞬間に起こるらしい。
魔力の消費も必要ないようで、魚人と私の相性が最悪だと再確認もできている。
「次は威力よりも速度を重視した水魔法の攻撃で、ルアノが手を向けるより速く当てることができるか試します」
「よく思いつくな……リリカが最も危険だと魚人側は理解しているから、視認している状態で行うとしよう」
私が杖を繰り出したと同時にルアノは手を向けたけど、消すと意識するより早く私の水の槍がルアノに直撃する。
当てることはできたけど、ダメージはまったくなさそうだ。
「とんでもない速さで、目で追えなかったが……耐性があるから、ちょっと痛かった程度だ」
「何も知らなければ、困惑させることはできるかもしれない」
「問題があるとすれば、魚人の長メバトは手を向けず見ただけで水魔法を消滅できるということだ」
どうやらメバトは水魔法を無効化する技術を極めたようで、手を向ける必要はなく視認しただけで打ち消せるらしい。
速度を重視すれば反応する前に当てることができるかもしれないけど、ダメージがなければ無意味と確信できた。
「視認しすれば消滅できるのなら、私が何をしても厳しそうです」
ビナガが消える前の発言も、嘘ではなかったのかもしれない。
不安になってしまうけど、ルアノが魚人の実力について話してくれる。
「昨日倒したビナガは魚人の中で2番目に強い。メバトは更に強いが、ジェイクなら持ち堪えることはできるはずだ」
「ルアノは私と何度か戦っていますから、推測に間違いないはず……他国から応援を呼びたいのですが、その動きを見越して明日リリカ様を呼び出したのでしょう」
そうジェイクが言って、今日ルアノが話してくれた魚人側の連絡内容を思い返す。
明日の指定された時間に私が来なければ、レゾニス国の王都に魚人の長メバトが侵攻するらしい。
それが嫌なら湖で戦うよう命令してきて、有利な場所だからメバトは1人で戦うようだ。
魚人で2番目に強いビナガがやられて、他の同胞も消されることは避けたい。
元人間はどうでもいいからルアノを連絡役に使い、有利な湖の近くなら私達が相手でも勝てると確信しているようだ。
「私が行かなければ魚人を引き連れて王都に侵攻するつもりなら、行くしかないでしょう」
メバトは強欲な性格で水上の巫女である私の魂を取り込み、地上の支配が目的のようだ。
計画を全て知ることができたから、私達は指示通り動いた上で魚人の長メバトを倒そうとしていた。
今後の方針は決めたけど、魚人の長メバトと戦闘になるのは間違いない。
元魚人の冒険者ルアノは、魚人化の呪いを解いたことで自由に魚人の姿になれる。
水魔法を無効化することもできるから、早急に私は試しておきたいことがあった。
カムル殿下が訓練場にいた人達に話すことで、人払いをしてもらう。
そこから前のイリスお母様のように土魔法で壁を作ってもらい、ルアノが四肢にヒレを生やし魚人となった。
「魚人の状態になれば、水魔法を無効化する力は問題なく使える。水魔法を試すと言ったが、消滅するというのに試すことがあるのか?」
「私の水魔法はイメージ通りになるようなので、消滅できない水魔法を繰り出せるかもしれません。ルアノはとにかく水魔法の攻撃を打ち消してください」
そう言って距離が離れている私は水魔法の槍を正面のルアノに向かって放つと、迫っている途中に空中で止まる。
数秒ほど硬直した後は昨日と同じように消滅して、カムルは気になったようだ。
「水の槍が止まり、数秒経つと消えたがリリカは何をした?」
「消滅する力を無効化する水魔法をイメージしてみましたけど、流石に無理みたいです」
「私が手を剥けて消すと意識した瞬間に止まったから、消滅するタイミングを知ることができたな」
性能が落ちて消費魔力も普段より多かったから出すことはできたけど、消滅の力を受けると動かすことができず数秒しか保たなかった。
ルアノの言う通りで、水魔法の無効化は手を向けて消すと意識した瞬間に起こるらしい。
魔力の消費も必要ないようで、魚人と私の相性が最悪だと再確認もできている。
「次は威力よりも速度を重視した水魔法の攻撃で、ルアノが手を向けるより速く当てることができるか試します」
「よく思いつくな……リリカが最も危険だと魚人側は理解しているから、視認している状態で行うとしよう」
私が杖を繰り出したと同時にルアノは手を向けたけど、消すと意識するより早く私の水の槍がルアノに直撃する。
当てることはできたけど、ダメージはまったくなさそうだ。
「とんでもない速さで、目で追えなかったが……耐性があるから、ちょっと痛かった程度だ」
「何も知らなければ、困惑させることはできるかもしれない」
「問題があるとすれば、魚人の長メバトは手を向けず見ただけで水魔法を消滅できるということだ」
どうやらメバトは水魔法を無効化する技術を極めたようで、手を向ける必要はなく視認しただけで打ち消せるらしい。
速度を重視すれば反応する前に当てることができるかもしれないけど、ダメージがなければ無意味と確信できた。
「視認しすれば消滅できるのなら、私が何をしても厳しそうです」
ビナガが消える前の発言も、嘘ではなかったのかもしれない。
不安になってしまうけど、ルアノが魚人の実力について話してくれる。
「昨日倒したビナガは魚人の中で2番目に強い。メバトは更に強いが、ジェイクなら持ち堪えることはできるはずだ」
「ルアノは私と何度か戦っていますから、推測に間違いないはず……他国から応援を呼びたいのですが、その動きを見越して明日リリカ様を呼び出したのでしょう」
そうジェイクが言って、今日ルアノが話してくれた魚人側の連絡内容を思い返す。
明日の指定された時間に私が来なければ、レゾニス国の王都に魚人の長メバトが侵攻するらしい。
それが嫌なら湖で戦うよう命令してきて、有利な場所だからメバトは1人で戦うようだ。
魚人で2番目に強いビナガがやられて、他の同胞も消されることは避けたい。
元人間はどうでもいいからルアノを連絡役に使い、有利な湖の近くなら私達が相手でも勝てると確信しているようだ。
「私が行かなければ魚人を引き連れて王都に侵攻するつもりなら、行くしかないでしょう」
メバトは強欲な性格で水上の巫女である私の魂を取り込み、地上の支配が目的のようだ。
計画を全て知ることができたから、私達は指示通り動いた上で魚人の長メバトを倒そうとしていた。
554
お気に入りに追加
2,221
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです
神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。
そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。
アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。
仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。
(まさか、ね)
だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。
――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。
(※誤字報告ありがとうございます)

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

この国では魔力を譲渡できる
ととせ
恋愛
「シエラお姉様、わたしに魔力をくださいな」
無邪気な笑顔でそうおねだりするのは、腹違いの妹シャーリだ。
五歳で母を亡くしたシエラ・グラッド公爵令嬢は、義理の妹であるシャーリにねだられ魔力を譲渡してしまう。魔力を失ったシエラは周囲から「シエラの方が庶子では?」と疑いの目を向けられ、学園だけでなく社交会からも遠ざけられていた。婚約者のロルフ第二王子からも蔑まれる日々だが、公爵令嬢らしく堂々と生きていた。

【完結】で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?
Debby
恋愛
キャナリィ・ウィスタリア侯爵令嬢とクラレット・メイズ伯爵令嬢は困惑していた。
最近何故か良く目にする平民の生徒──エボニーがいる。
とても可愛らしい女子生徒であるが視界の隅をウロウロしていたりジッと見られたりするため嫌でも目に入る。立場的に視線を集めることも多いため、わざわざ声をかけることでも無いと放置していた。
クラレットから自分に任せて欲しいと言われたことも理由のひとつだ。
しかし一度だけ声をかけたことを皮切りに身に覚えの無い噂が学園内を駆け巡る。
次期フロスティ公爵夫人として日頃から所作にも気を付けているキャナリィはそのような噂を信じられてしまうなんてと反省するが、それはキャナリィが婚約者であるフロスティ公爵令息のジェードと仲の良いエボニーに嫉妬しての所業だと言われ──
「私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
そう問うたキャナリィは
「それはこちらの台詞だ。どうしてエボニーを執拗に苛めるのだ」
逆にジェードに問い返されたのだった。
★★★★★★
覗いて下さりありがとうございます。
女性向けHOTランキングで最高20位までいくことができました。(本編)
沢山の方に読んでいただけて嬉しかったので、続き?を書きました(*^^*)
★花言葉は「恋の勝利」
本編より過去→未来
ジェードとクラレットのお話
★ジェード様の憂鬱【読み切り】
ジェードの暗躍?(エボニーのお相手)のお話

婚約していないのに婚約破棄された私のその後
狭山ひびき@バカふり200万部突破
恋愛
「アドリエンヌ・カントルーブ伯爵令嬢! 突然ですまないが、婚約を解消していただきたい! 何故なら俺は……男が好きなんだぁああああああ‼」
ルヴェシウス侯爵家のパーティーで、アドリーヌ・カンブリーヴ伯爵令嬢は、突然別人の名前で婚約破棄を宣言され、とんでもないカミングアウトをされた。
勘違いで婚約破棄を宣言してきたのは、ルヴェシウス侯爵家の嫡男フェヴァン。
そのあと、フェヴァンとルヴェシウス侯爵夫妻から丁重に詫びを受けてその日は家に帰ったものの、どうやら、パーティーでの婚約破棄騒動は瞬く間に社交界の噂になってしまったらしい。
一夜明けて、アドリーヌには「男に負けた伯爵令嬢」というとんでもない異名がくっついていた。
頭を抱えるものの、平平凡凡な伯爵家の次女に良縁が来るはずもなく……。
このままだったら嫁かず後家か修道女か、はたまた年の離れた男寡の後妻に収まるのが関の山だろうと諦めていたので、噂が鎮まるまで領地でのんびりと暮らそうかと荷物をまとめていたら、数日後、婚約破棄宣言をしてくれた元凶フェヴァンがやった来た。
そして「結婚してください」とプロポーズ。どうやら彼は、アドリーヌにおかしな噂が経ってしまったことへの責任を感じており、本当の婚約者との婚約破棄がまとまった直後にアドリーヌの元にやって来たらしい。
「わたし、責任と結婚はしません」
アドリーヌはきっぱりと断るも、フェヴァンは諦めてくれなくて……。

父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。

幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる