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20話
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イリスお母様が繰り出した魔法を全て吹き飛ばし、私は新しい水魔法の使い方を知ることができた。
これも強い魔力を振り回しているだけな気がしたけど、水魔法を大量に発生させ操作したことに周囲の人達が驚いている。
「ワイバーンに使った水魔法の攻撃よりも、遥かに性能のいい水魔法が使えるようになったわね。今日の目的だったけど、すぐに使えるようになるとは思わなかったわ」
「お母様が全力で魔法攻撃をしてきたからこそです……魔法攻撃を私が防げず直撃していたら、どうなっていたのでしょうか?」
褒めてくれたけど、本気の魔法攻撃に対して私はお母様に言いたいことがあった。
「急所は外していたし、怪我を治す水があったから大丈夫よ。それにリリカなら水の盾で防御できたから使ったけど、全て吹き飛ばして反撃もできそうな魔法を使ってきたことに驚くしかなかったわ」
「俺もイリス様と同意見だ。目的を果たしたのでしたら、俺の魔法も見てもらえないでしょうか?」
どうやら私の水魔法を見て満足したお母様はもう戦う気がないから、カムルが戦いたくなったらしい。
「カムル殿下。危険なのでやめた方がいいですよ」
「流石にカムル殿下を、私が魔法で攻撃することはできません。8属性を全て完璧に扱えていますし、何も気にしなくて大丈夫でしょう」
「そうですか……そう言ってもらえると、自信になります」
今日の予定が早く終わったから、その後は広場で私は新しい水魔法を試していく。
カムル王子は大量の魔法を複数同時に使えるし、どれも完璧に扱えている。
私は水魔法しか扱えないからこそ、ここまで使いこなせるのかもしれない。
8属性も使いこなすのはとんでもなく大変そうで、私はカムルを尊敬していた。
◇◆◇
その後は数日が経過し、私は城の部屋でカムルと一緒にジェイクの報告を聞いていた。
最近は魚の魔物サハギンが王都に向かう個体もいるようで、戦力的に厳しいから私達に協力し欲しいようだ。
危険だからジェイクは湖周辺の依頼を受ける冒険者を厳選しているけど、人を狙うサハギンは数が多く強いらしい。
依頼が達成できず犠牲者も出て数も増えているから、これ以上増えて人の元へ向かわないようしたいようだ。
「話を聞くにサハギンの群れは相当強そうだ。国のために俺は行くが、リリカは危険かもしれない」
「私の魔法で無理なら、どうしようもないのではありませんか?」
自分の力を過信しているとかではなくて、ワイバーン討伐による事実を話す。
私の次に強いのがジェイク、イリスお母様、カムル王子で、他の人は精鋭だけどワイバーンを倒した人はいなかった。
それでもワイバーンとの戦いで負傷しなかったから、元婚約者ラルフより間違いなく強いけど、私とはかなり魔法の実力に差がある。
心配されたことで尋ねると、サハギンとの戦いに連れて行きたくない理由があるらしい。
「サハギンには水魔法の耐性があり、リリカの水魔法が効かないかもしれない」
「そういうことですか。それならむしろ、効かないのか試したいです」
この世界は2つ以上の属性魔法を扱えるのが基本で、3つ扱えれば優秀、4つ以上から例外的存在となる。
水魔法しか扱えない私は悪い意味での例外的存在で、普通の魔法士は2つの属性魔法の1つを極めたりしない。
属性魔法は全て鍛えた方が1つを集中するよりいいとされていることもあるけど、一番の問題は属性魔法には耐性がある魔物がいるということだ。
「ワイバーンは火魔法が効かないようですが、カムル殿下の火魔法は僅かに効いていました」
「あの時は耐性がどれほどのものか、試したくなった……確かにダメージはあったが、あまり効いてなかっただろ」
だからこそ、水魔法しか使えない私は行くべきではないと考えているらしい。
普通なら無属性魔法で魔力を閃光にして飛ばす攻撃方法があるけど、属性魔法に比べたら威力は格段に落ちてしまう。
そもそも私は無属性魔法が何も使えないから、もし水魔法が全く効かないのなら攻撃が通じない。
それでも回復する水や強化する水は作れるから、攻撃がまったく効かなくても役立たずにはならないはずだ。
これも強い魔力を振り回しているだけな気がしたけど、水魔法を大量に発生させ操作したことに周囲の人達が驚いている。
「ワイバーンに使った水魔法の攻撃よりも、遥かに性能のいい水魔法が使えるようになったわね。今日の目的だったけど、すぐに使えるようになるとは思わなかったわ」
「お母様が全力で魔法攻撃をしてきたからこそです……魔法攻撃を私が防げず直撃していたら、どうなっていたのでしょうか?」
褒めてくれたけど、本気の魔法攻撃に対して私はお母様に言いたいことがあった。
「急所は外していたし、怪我を治す水があったから大丈夫よ。それにリリカなら水の盾で防御できたから使ったけど、全て吹き飛ばして反撃もできそうな魔法を使ってきたことに驚くしかなかったわ」
「俺もイリス様と同意見だ。目的を果たしたのでしたら、俺の魔法も見てもらえないでしょうか?」
どうやら私の水魔法を見て満足したお母様はもう戦う気がないから、カムルが戦いたくなったらしい。
「カムル殿下。危険なのでやめた方がいいですよ」
「流石にカムル殿下を、私が魔法で攻撃することはできません。8属性を全て完璧に扱えていますし、何も気にしなくて大丈夫でしょう」
「そうですか……そう言ってもらえると、自信になります」
今日の予定が早く終わったから、その後は広場で私は新しい水魔法を試していく。
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私は水魔法しか扱えないからこそ、ここまで使いこなせるのかもしれない。
8属性も使いこなすのはとんでもなく大変そうで、私はカムルを尊敬していた。
◇◆◇
その後は数日が経過し、私は城の部屋でカムルと一緒にジェイクの報告を聞いていた。
最近は魚の魔物サハギンが王都に向かう個体もいるようで、戦力的に厳しいから私達に協力し欲しいようだ。
危険だからジェイクは湖周辺の依頼を受ける冒険者を厳選しているけど、人を狙うサハギンは数が多く強いらしい。
依頼が達成できず犠牲者も出て数も増えているから、これ以上増えて人の元へ向かわないようしたいようだ。
「話を聞くにサハギンの群れは相当強そうだ。国のために俺は行くが、リリカは危険かもしれない」
「私の魔法で無理なら、どうしようもないのではありませんか?」
自分の力を過信しているとかではなくて、ワイバーン討伐による事実を話す。
私の次に強いのがジェイク、イリスお母様、カムル王子で、他の人は精鋭だけどワイバーンを倒した人はいなかった。
それでもワイバーンとの戦いで負傷しなかったから、元婚約者ラルフより間違いなく強いけど、私とはかなり魔法の実力に差がある。
心配されたことで尋ねると、サハギンとの戦いに連れて行きたくない理由があるらしい。
「サハギンには水魔法の耐性があり、リリカの水魔法が効かないかもしれない」
「そういうことですか。それならむしろ、効かないのか試したいです」
この世界は2つ以上の属性魔法を扱えるのが基本で、3つ扱えれば優秀、4つ以上から例外的存在となる。
水魔法しか扱えない私は悪い意味での例外的存在で、普通の魔法士は2つの属性魔法の1つを極めたりしない。
属性魔法は全て鍛えた方が1つを集中するよりいいとされていることもあるけど、一番の問題は属性魔法には耐性がある魔物がいるということだ。
「ワイバーンは火魔法が効かないようですが、カムル殿下の火魔法は僅かに効いていました」
「あの時は耐性がどれほどのものか、試したくなった……確かにダメージはあったが、あまり効いてなかっただろ」
だからこそ、水魔法しか使えない私は行くべきではないと考えているらしい。
普通なら無属性魔法で魔力を閃光にして飛ばす攻撃方法があるけど、属性魔法に比べたら威力は格段に落ちてしまう。
そもそも私は無属性魔法が何も使えないから、もし水魔法が全く効かないのなら攻撃が通じない。
それでも回復する水や強化する水は作れるから、攻撃がまったく効かなくても役立たずにはならないはずだ。
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