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12話

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 ワイバーンの群れは問題なく対処して、私達は馬車で城に戻っていた。

 倒したワイバーンは他の人が運び、意識が戻らない元婚約者ラルフは別の馬車が屋敷に運ぶようだ。

 私達が一番多くワイバーンを倒すことがきで、馬車の中で戦闘を思い返していた。

 ギルドマスターのジェイクとカムル王子の水魔法による連携が凄いと、一緒に戦った人達は思っている。

 私はワイバーンに恐怖せずに聖水を使える回復役のように、周囲からは見えたはず。

 それは一目散にワイバーンに向かって返り討ちに合い、重傷を負ったラルフに怪我を治す聖水をかけたからだ。

 城に戻っている馬車の中には私とカムル王子とジェイクがいて、今日の出来事を話していた。

「私は傍からみれば聖水でラルフを回復しただけにしか見えないはずですが、無様を晒したラルフより遥かにマシです」

「そうだな。リリカは水魔法でワイバーンを4頭倒し、イリス様は2頭倒して流石だった」

 グループに分かれ魔法で戦っていたけど、イリスお母様の奇麗な高笑いが山地に響いていた。

 強力な魔法攻撃を繰り出し、最後の方ではワイバーンは高笑いが聞こえると全身を硬直させはじめる。

 問題なく対処できたし重傷者はラルフだけで、だからこそラルフの愚行は目立っていた。

「リリカ様がいなければ、苦戦を強いられていたのは間違いありません……水魔法の槍で圧倒していたからこそ、イリス様やカムル殿下の魔法攻撃が効いていました」

「ラルフはリリカの水魔法でまだ強化されていたが、そのラルフの魔法を消し反撃できたワイバーンは相当強かったからな。リリカの水魔法で動揺させることができたのは大きい」

 昔イリスお母様から聞いたことがあるけど、複数を相手にすれば連携をとってくるワイバーンは脅威らしい。

 今回は本来なら国が滅ぶほどの出来事で、だからこそ周辺の国も無関係だから目撃情報は報告はするけどそれ以上の干渉はしていない。

 私の水魔法で撃退したことが異質のようで、だからこそラルフはワイバーンが弱かったと思い込んだようだ。

「もしリリカ様の水魔法による強化がなくなっていた場合、ラルフ様は亡くなっていてもおかしくありませんでした……これで、リリカ様の力を認めるしかないでしょう」

「今回の件で信頼を失っているし、もう俺達と関わることがなさそうだがな」

 ワイバーンの討伐に向かったラルフは、1人で倒せると断言して突撃したのに返り討ちにあっている。

 目撃者が多く、私の力を否定したとしてもラルフ自身の行動を否定することはできない。

 王家としては何か問題が起きてもラルフを要請する必要はなさそうで、それなら二度と会うことはなさそうだ。

「ラルフのことはもうどうでもいいですね。それよりも、倒したワイバーンはどうなりますか?」

 今の私はワイバーンを調理したくなり、ジェイクに尋ねる。

「これから解体して、明日の昼過ぎには2頭分を持って行けると思います」

「本当ですか! 明日って早いですね!」

「戦闘が短時間で終わりましたし、ワイバーンを倒した後の準備はしていましたからね」

「ありがとうございます!」

 ジェイクにお礼を伝えると、カムルは困惑しながら私に尋ねる。

「ワイバーン料理をしたいと言い食材も頼まれた通り用意したが、リリカが料理するのか?」

「はい。私の料理は作り方を話してもわからないと思いますし、偶には料理をしたいです」

 婚約する前までは目立たないようにしていたから料理をしていないし、婚約した時は料理をしたいと話すと「俺の婚約者がそんなことをするな」とラルフに言われできなかった。

 知られずに料理するつもりでいたけど、カムルに話してみると食材を用意してくれていた。

 料理することは問題ないようで、カムル殿下は笑顔を浮かべる。

「普通とは違うということか……どんな料理なのか楽しみだ」

「私も一緒に見学させてもらえるとのことで、ありがとうございます」

「それはいいんですけど、冒険者ギルドは大丈夫なんですか?」

「はい。本来なら今日のワイバーン討伐により死傷者が出て、その対応になる予定でしたが最悪の事態にならなかったので暇になります」

 私の魔法で余裕そうにみえたワイバーン討伐だけど、数十年前に起こった時は大惨事だったらしい。

 死者がでなかったことに安堵して、明日は前世の知識による料理ができそうで楽しみになっていた。
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