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21話 ゴルドー視点
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魔法学園は休日で、婚約者のギーナは昨日、騎士団の入団試験を受けていた。
昨日と今日が休日となり、本来なら2日かけて試験は行われる。
それなのに……ギーナは昨日の時点で不合格を言い渡され、ショックを受け自室から出なくなっていた。
今日は城に呼び出されたゴルドーは、訓練と称しながら他の騎士団員から暴行を受けている。
1対1の試合形式で反撃しても構わないが、ゴルドーはいつも通りの実力を発揮できていない。
今まで圧倒できた他の騎士達に普通に負け続け、暴言を吐かれてしまう。
「ゴルドーは急に弱くなったな」
「どうしてガノザ殿下は解雇しないのか……まだ元に戻ると機会を与えているようだが、俺達の評判が悪くなるだけだ」
木刀による攻撃を防げず、倒れながらゴルドーは現状に憤るしかない。
他の騎士団員から嫌われているのは、今まで態度が悪かったから。
更に婚約者のギーナを騎士団に入れようとして、実力の低さから足手纏いを入れようとしたと思われている。
入団試験を受けさせて欲しいと推薦したのはゴルドーで、すぐに不合格を言い渡されてしまう。
このままだと解雇されるのは時間の問題で、その後はどうなってしまうのか。
今まで暴言を吐き続けてきた魔法学園の教師や生徒から、どんな目に遭うかわからない。
最悪の事態を想像して、ゴルドーは騎士を辞めるわけにはいかなくなっていた。
◇◆◇
ボロボロの状態で城内を歩き、部屋に入りゴルドーの前には第三王子ガノザがいる。
短い金髪と長身の青年で、いつでもゴルドーを騎士から解雇できる人だ。
「ガノザ殿下。どうか俺を騎士でいさせてください!」
「むしろ辞めたいのではないかと思っていたよ。騎士団内であそこまで嫌われているのに、まだ騎士でいたいのか」
嘲笑するガノザだが、確かにその通りだ。
今まで王子の騎士だからと横暴な態度をとっていなければ、辞めていたに違いない。
それも見通しているように眺めるガノザ王子は、ゴルドーの腕輪を指差す。
「お前が実力を発揮できなくなったのは、その腕輪が力を発揮しなくなったからだ」
「……ガノザ殿下は、何を仰っているのですか?」
「いいから聞け。お前が見下し婚約者を変えたケイトだが、彼女は優秀な魔法士だった……金属魔法について調べたが、現状から間違いない」
相手が王子だから、否定することなくゴルドーは話を聞く。
認めたくないが……全てケイトの力によるもので、腕輪に魔力を流せるのもケイトだけらしい。
それほどまでの力を持つ腕輪を作れる人は珍しいようで、ガノザ王子はケイトの力が欲しくなったようだ。
昨日と今日が休日となり、本来なら2日かけて試験は行われる。
それなのに……ギーナは昨日の時点で不合格を言い渡され、ショックを受け自室から出なくなっていた。
今日は城に呼び出されたゴルドーは、訓練と称しながら他の騎士団員から暴行を受けている。
1対1の試合形式で反撃しても構わないが、ゴルドーはいつも通りの実力を発揮できていない。
今まで圧倒できた他の騎士達に普通に負け続け、暴言を吐かれてしまう。
「ゴルドーは急に弱くなったな」
「どうしてガノザ殿下は解雇しないのか……まだ元に戻ると機会を与えているようだが、俺達の評判が悪くなるだけだ」
木刀による攻撃を防げず、倒れながらゴルドーは現状に憤るしかない。
他の騎士団員から嫌われているのは、今まで態度が悪かったから。
更に婚約者のギーナを騎士団に入れようとして、実力の低さから足手纏いを入れようとしたと思われている。
入団試験を受けさせて欲しいと推薦したのはゴルドーで、すぐに不合格を言い渡されてしまう。
このままだと解雇されるのは時間の問題で、その後はどうなってしまうのか。
今まで暴言を吐き続けてきた魔法学園の教師や生徒から、どんな目に遭うかわからない。
最悪の事態を想像して、ゴルドーは騎士を辞めるわけにはいかなくなっていた。
◇◆◇
ボロボロの状態で城内を歩き、部屋に入りゴルドーの前には第三王子ガノザがいる。
短い金髪と長身の青年で、いつでもゴルドーを騎士から解雇できる人だ。
「ガノザ殿下。どうか俺を騎士でいさせてください!」
「むしろ辞めたいのではないかと思っていたよ。騎士団内であそこまで嫌われているのに、まだ騎士でいたいのか」
嘲笑するガノザだが、確かにその通りだ。
今まで王子の騎士だからと横暴な態度をとっていなければ、辞めていたに違いない。
それも見通しているように眺めるガノザ王子は、ゴルドーの腕輪を指差す。
「お前が実力を発揮できなくなったのは、その腕輪が力を発揮しなくなったからだ」
「……ガノザ殿下は、何を仰っているのですか?」
「いいから聞け。お前が見下し婚約者を変えたケイトだが、彼女は優秀な魔法士だった……金属魔法について調べたが、現状から間違いない」
相手が王子だから、否定することなくゴルドーは話を聞く。
認めたくないが……全てケイトの力によるもので、腕輪に魔力を流せるのもケイトだけらしい。
それほどまでの力を持つ腕輪を作れる人は珍しいようで、ガノザ王子はケイトの力が欲しくなったようだ。
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